「強い自分も弱い自分も、受け入れる」アーティストRina Lilaの表現活動とセルフラブ

 「強い自分も弱い自分も、受け入れる」アーティストRina Lilaの表現活動とセルフラブ
写真提供: Rina Lila
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——自分の弱い部分を表現するのはとても勇気がいると思いますが、それを表現するのに葛藤はありますか?

Rinaさん:例えば、自分の弱い部分を言葉にして発信することには葛藤はするんですけど、アートにするとそれがすごくスムーズで出しやすいです。自分でも、それが弱い部分だと気づかずに表現していることもあります。後から絵を見返してみると「あの時、迷っていたから、こういう絵が描けたんだ」と思うことも。あとは、友達や周りの人から言われて気づくこともあります。

やっぱり「出すこと」で消化されますよね。私にとってはその方法が「絵を描くこと」なんですが、人によって違うとは思います。それこそヨガだったり、言葉にして表現して消化することがしっくりくる人もいれば、人ぞれぞれですよね。

セルフラブは自分と向き合うこと

——Rinaさんはセルフラブについての発信も精力的にされていますね。 

Rinaさん: 大学で「英語で自己実現」という授業を受けていたんです。すごい変わった授業で、引き寄せの法則だったり、ビジョンボードを作ったりする授業で。 

——今どきな授業ですね。

Rinaさん: その時は、そういったことを何も知らなかったんですけど、その授業がおもしろかったんですよね。それで、自分でも英語を勉強するつもりで、情報を集めるようになりました。そういったことをシェアしている人達の多くが、「セルフラブ」や「自分を大切にする」「自分を許す」といったことを話していて、それがセルフラブを知ったきっかけです。

——アートを始める前からセルフラブに興味を持ち始めたんですね。セルフラブとアートの関係性で、Rinaさんが考えていることはありますか?

Rinaさん: 私が絵の具を最初に使い始めた頃は、自分のことを許せず、受け入れていませんでした。自分に完璧を求めていたので、描いた絵に対しても批判的になってしまったり、「これが違う」「こういうのが描きたかったんじゃない」など、自分の絵に対して否定的に感じていました。そういうプロセスを経て、これはその時の自分が表現したかったものなんだ、描きたかったものなんだ、とその時の自分と自分の表現を認める練習をしていったら、納得ができるようになってきました。 

何かを生み出すと、その作品に対して批判的な意見や感情が自分の中に生まれることがあります。けど、その批判的な気持ちも、受け止めることができるようになってきたと思います。アートという表現活動や、そこで生み出される作品に投影される自分に対しても「セルフラブ」できるようになって、自分や自分の表現に対して納得できるようになり、これでいいんだ、これが私なんだって思えることが増えてきました。

 

——Rinaさんは、昔は完璧主義の志向が強かったですか?

Rinaさん: そうですね。完璧主義でしたし、自分の意志で何かを生み出すというより、例えば絵を描くにしても、イラストを真似することが中心だったので…。

——お手本通りにできないと悔しいですよね。アートに加えて、りなさんがセルフラブを深めるためにしていることってありますか?

Rinaさん: 色々あるんですけど...。日常の中で「何を選択するか」を気にするようにしています。例えば、ランチを選ぶ時に、「これを食べたら太る」「これが健康だから」といった理由ではなくて、自分の体や心の声をまずは聞くようにします。あとは、スキンケアをするとか、自分を労ることも大事にしています。体など見える部分も大切にすることで心も変わってくるという考えです。私、もともとはスキンケアに全然興味がなくて、ボディクリームを使ったこともなかったんですよ。でも、自分の体に話しかけるみたいに、自分の体に対して「ありがとう」って思いながらボディクリームを塗ると、自分の体に対してのありがたみが全然違うなと感じています。

——素敵ですね。Rinaさんにとって、セルフラブを実践することってどんなことでしょう?

Rinaさん: 自分と向き合う時間を作ることだと思います。 

——セルフラブの実践を「対・自分」として捉える方も多いと思うのですが、対人関係で何か変化はありましたか?

Rinaさん: 自分を許せるようになってから、周りも許せるようになりました。例えば、ドタキャンされた時。以前は「何で?」って怒りがこみ上げてくることがありましたが、今は「そうだよね。そういう時間が必要だよね。私もそういう時間が必要だったのかも」って思えるようになりましたね。

——どんな時でも、自分にも他人にも思いやりや優しさを持てるようになったんですね。Rinaさんの絵からは優しさや愛情がすごく感じ取れるので、よく分かります。今後の活動や今後、こうなりたいという目標はありますか?

Rinaさん: 去年はイベントや展示が多かったですが、今年は自分と向き合う年にしたいと思っています。何かを生み出す時、自分と向き合う時間がどうしても必要だなと感じていて、今年はそういう年だなと感じているんです。自分と向き合いながら、来年に向けて生み出していきたいなと思っています。来年以降は、空間全体を使ってアートを作りたいです。絵画の展示だと壁に絵が飾ってあることが多いですが、五感で感じられるようなアート空間を作り出したいと思っています。

——素敵!どんなふうに自分と向き合っていきたいと思いますか?

Rinaさん: 情報を吸収しすぎないようにしたいですね。今って情報が本当にたくさんあるじゃないですか。例えば、何かに対しての意見が自分の持っている意見なのか、どこかで見た誰かの意見なのか、分からなくなってしまうことがあります。それが、私のクリエーションにもつながってくると感じることがあり、影響を受けること自体は悪いことではないと思いますが、影響されすぎてしまわないようになりたいですね。情報が溢れているからこそ、自分を持つ練習をしたいです。 

 

——分かります!私は、時々自分が誰なのか迷子になってしまうこともあります(笑)情報の取捨選択は、誰もが必要なことですよね。

Rinaさん: そうですよね。あとは、リアルな体験を増やしたいですね。旅に出て、見るもの、触れるものなど、リアルな体験を増やしていきたいです。場所によって、得られるインスピレーションって違うんですよ。それは、すごく面白いなって思っているので、色々なものを見て感じていきたいですね。

ライター取材後期

良くも悪くも多くの情報にアクセスすることができる現代は、何かと自分を見失うことに陥ることも少なくありません。自分ではない誰かになっても、それは自信にも幸せにもつながらないと、Rinaさんとお話していて強く感じました。自尊心や自信とは、どこかで見た憧れの誰かになろうとするのではなく、ありのままの自分を受け入れて自分という個、つまりオリジナリティーを確立することで、生まれてくるものなのかもしれません。

プロフィール|Rina Lilaさん

写真提供: Rina Lila
写真提供: Rina Lila

兵庫県出身。2019年、バリ島一人旅中にふと入った美術館で「絵を描きたい」という衝動にかられ、独学で絵を描き始める。旅好きで、日本国内のみならず、旅で得たインスピレーションをもとに絵の創作活動に励む。

Instagram: @rina_lila_art

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桑子麻衣子

桑子麻衣子

1986年横浜生まれの物書き。2013年よりシンガポール在住。日本、シンガポールで教育業界営業職、人材紹介コンサルタント、ヨガインストラクター、アーユルヴェーダアドバイザーをする傍、自主運営でwebマガジンを立ち上げたのち物書きとして独立。趣味は、森林浴。



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