【医学博士監修!ハイキングの痛み・疲れを取る方法】登山後に必至で必須な12のストレッチ
これらのヨガのポーズは、痛みを和らげ、次の登山を攻略するための準備となる。
登山をしていると、毎日が「レッグデー(脚のトレーニングの日)」だ。パタゴニアでトレッキング中、私は時々、脚の痛みが無くなることなどもう無いのだろうか、と思うことがあった。登山は臀筋、大腿四頭筋、ハムストリングス、ふくらはぎを使い、足首、足、股関節、そして膝、と全ての関節の丈夫さが求められる。また、荷物を背負うことは首に緊張をつくり、ハイキングポールは腕の痛みを生み出す。
各登山の前後にターゲットを絞ったストレッチをすることで、怪我を予防し、回復の促進ができることが明らかになった。「 Wilderness Environmental Medicine Journal 」に掲載された最近の研究調査によると、ヨガとストレッチはハイカーの怪我の軽減と関連していることが示されたのだ。
パタゴニアで毎日15マイルの登山を終えた後、私はエコキャンプに戻り、ヨガドームでヨガの練習をした。毎日のヨガは私の体に安らぎと恵みを与えつつ回復させ、筋肉に水分を補給し、乳酸の蓄積を解消する機会を与えてくれた。翌日の登山では、関節の抵抗の軽減、そして一歩一歩により意志を持つ感覚を味わうことができた。次の登山の後(または前、できれば両方!)に、このシークエンスを試してみよう。何マイルも続く上り坂からどれだけ早く回復できるか、きっと感動することだろう。
前腕を曲げたバラーサナ(チャイルドポーズ)
何マイルもトレイルを歩いた後は、全身に緊張と痛みを感じることがある。そんな登山後の練習はチャイルドポーズから始め、神経系と筋肉組織にリラックスをもたらそう。肘と額をブロックに置き、肘を曲げ、指先を肩に当てると、胸も開くこともできる。ハイキングポールの使用で痛みが出る、上腕三頭筋のストレッチにもなる。
アドームカシュヴァーナーサナ (ダウンドッグ)
一日の登山後、特に大きな荷物を背負っていた場合は、背骨にかかった圧を解放することが大きな安らぎを与えてくれる。それはダウンドッグを含む、あらゆる種類の逆転で可能になる。ダウンドッグは重力によって背骨を伸ばすことができる、とても取り組みやすい逆転のポーズだ。また、手首やふくらはぎのストレッチにもなる。山を登ったり下ったりでふくらはぎが痛む場合は、ブランケットを丸めてかかとの下に敷くとさらにサポートが得られる。
首のストレッチを加えたヴァジュラーサナ(稲妻のポーズ)
登山では、下を向いて歩くことが多いので、頭を支える筋肉の緊張が強くなる。頸椎をあらゆる方向に優しく動かし、牽引もすることで、今ある様々な首の痛みを和らげることができる。マットに膝をつき、すねを地面につけ、膝を腰幅に開き、かかとの上にお尻を下ろす。(股関節、膝、足首に違和感がある場合は、お尻の下にブロックを置く)。背骨を伸ばして座り、首のストレッチを行う。
マルジュリャーサナ / ビティラーサナ(キャットアンドカウ)
キャットアンドカウは、背骨の一体性に触れ、呼吸とつながり直すことに思いを向ける、私のお気に入りのポーズの一つだ。肩甲骨の突出と後退はバックパックを背負っていたことからの痛みを落ち着かせてくれる。リズミカルな動きは、背骨全体に沿って硬くなった筋肉を優しくほぐし、肩の後ろにあるスペースを開くのに役立つ。
アンジャネーヤーサナ(ローランジ)
登山中は股関節屈筋群が一生懸命に働き、一歩一歩足を上げ前に進む助けをしている。股関節屈筋群が硬いと歩幅が狭くなり、臀筋群を酷使することになる。そのため、股関節屈筋群はできるだけ柔軟で滑らかな状態に維持したい。アンジャネーヤサナは、硬さを緩め、股関節の前後のバランスを整えるのに効果的なポーズだ。胸の開きを加えるために、クライミングポールを持って頭上に上げ、両腕を耳の少し後ろで伸ばす。
大腿四頭筋ストレッチを加えたアンジャネーヤーサナ(ローランジ)
登山をしたことがある人は、大腿四頭筋にどれだけの負担がかかるかを知っているはずだ。このバージョンのアンジャネーヤーサナは、すべてのハイカーにとって必須のストレッチでありながら、しばしばおろそかにされがちなものでもある。足をお尻に近づけるとより深いストレッチになり、お尻から離すと股関節屈筋群に焦点が当たる。膝の下にブランケットを敷いてさらにサポートにしよう。腕を伸ばして足をつかむと、胸と肩の前面にストレッチを付加してくれる。
アルダハヌマナーサナ(ハーフスプリット)
ハムストリングスは、大腿四頭筋と協力して歩行時に膝を曲げる。そしてこれらは登る動作の際に特に重要となる。膝が伸展し、かつ股関節が屈曲しながら足が地面についている状態においては、ハムストリングスはかなり伸びることが必要となる。そのため、登山にはハムストリングスの健康が不可欠となるのだ。ハムストリングスが硬いと、膝がうまく伸びず、歩行に影響を及ぼし、膝や股関節、背面の痛みの原因になることがある。ハーフスプリットの練習は、ストレッチの深さをコントロールしながら、ハムストリングスを開くのに素晴らしい方法である。より背面や臀部のストレッチがしたい場合は、手の下にブロックを置く。すねの筋肉のストレッチを加えるには、前の足のかかとを地面の方に押すようにする。
背中で合掌したヴィーラバッドラーサナI(戦士のポーズI )
戦士のポーズIは、股関節と脚の強化をするポーズと捉えられることが多い。確かにその通りだ。しかし、後ろ足のポジションは、股関節屈筋群、ハムストリングス、ふくらはぎの筋肉のストレッチも与えてくれる。前脚の負担を減らすために、膝の曲げ具合を緩める。(前脚の太ももはいつも地面と平行である必要はない。登山で脚が疲れている場合はなおさら!)背中で両手を合掌にしたり、拳と拳を合わせると、肩と胸のストレッチを加えることができる。
エーカパーダラージャカポタアーサナ(鳩のポーズ)
臀部の筋肉について説明しよう。臀筋群は、毎日毎日、私たちのために多くの仕事をしている。そして本当に、ハイカーが坂を上るのを助けるよう作られている。重力や重いバックパックの力を計算に入れると、臀筋群や大腿四頭筋にかかる負荷は、平地での歩行に比べてかなり大きくなる。ピジョンは臀部の筋肉をストレッチし、その負荷から解放するための優れたポーズとなる。後ろ脚の大腿四頭筋にさらにストレッチを加えるには、膝を曲げて、かかとをお尻の方に引き寄せる。
アルダマッツェーンドラーサナ(半分の魚の王のポーズ)
ハイカーはITバンドが硬いことが多く、この硬さが膝の外側の痛みとして現れることがよくある。臀部の筋肉が硬すぎると(上記のピジョンを参照)、さらにITバンドが硬くなる原因になり得る。半分の魚の王のポーズは、ITバンドの緊張を和らげ、胸を開く背骨のねじりも与えてくれる良い方法となる。
ゴムカーサナ(牛の顔のポーズ)の腕で行うヴァジュラーサナ(稲妻のポーズ)
速いスピードで登山をした場合、足首が絶えず背屈した状態になることがある。これは、前脛骨筋(すねの筋肉)が硬くなり、足首が不安定になる原因にもなる。膝下の前面をストレッチすることは、健康的な歩幅でトレイルを歩くのに役立つ。そしてとても気持ちが良い。このポーズで膝や足首がきついと感じる場合は(上記の首のストレッチを参照)、ブロックの上に座ってサポートしよう。また、上腕三頭筋と前腕をストレッチするために、ストラップの代わりにハイキングポールを使って両手を背面で近づけ、ゴムカーサナを加えるのもよい方法だ。
呼吸法
登山中は景色を眺めたり、足元に目を配ったりすることに忙しく、美しい森や山の空気を吸い込むことを忘れてしまいがちだ。呼吸法の練習をして、自分が達成したこと、そしてこれから起こることに対し、完全に心を開き、今ここに在り、気づきを持つことを自分にリマインドする時間を取ろう。
教えてくれたのは・・・イングリッド・ヤン
イングリッド・ヤン医学博士は、ヨガジャーナルのレギュラー寄稿者。 内科医、ヨガセラピストであり、「Adaptive Yoga」と「Hatha Yoga Asanas」の著者でもある。ヤン博士は20年以上にわたってヨガの指導を行い、世界中でトレーニングやリトリートを開催している。特に運動感覚生理学、及び呼吸法、瞑想、心と体のつながりを通じた治癒に重点を置いている。詳細はwww.ingridyang.com またはInstagramへ。
モデルのハヴィエラ・フィゲロアは、チリ・サンティアゴ出身のヨガインストラクター。チリのパタゴニアにあるロッジで1日3回のヨガクラスを提供する「エコキャンプ」の専属ヨガ講師を務めている。コスタリカでトレーニングを受けたハヴィエラは、動き、呼吸、マインドフルネスを通して自分自身に意識を向けることの指導に重点を置いている。ハヴィエラの冒険はInstagramの@Javinyasayogaでチェック。
ヨガジャーナルアメリカ版 / 「12 Stretches for Hiking That You (Desperately) Need After a Day on the Trail」
AUTHOR
ヨガジャーナルアメリカ版
全米で発行部数35万部を超える世界No.1のヨガ&ライフスタイル誌。「ヨガの歴史と伝統に敬意を払い、最新の科学的知識に基づいた上質な記事を提供する」という理念のもと、1975年にサンフランシスコで創刊。以来一貫してヨガによる心身の健康と幸せな生き方を提案し続けている。
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