両足院の副住職が教える、機嫌良い人と悪い人の「たったひとつの違い」とは?
いつもネガティブな感情を抱えている「もやだるさん」と、いつもごきげんで元気な人「ごきげんさん」との違いは何でしょうか。心がいつまでもすっきり晴れないのは、ネガティブな感情のかたまりが心に残っているからです。今回は、『もやだるさんのリセットスイッチ』(ディスカヴァー・トゥエンティワン刊)著者であり、臨済宗建仁寺派 両足院の伊藤東凌副住職に、機嫌良い人と悪い人の「たったひとつの違い」を伺いました。
「もやだるさん」は切り替えが苦手、「ごきげんさん」は切り替えが得意
もやだるさんと、いつもごきげんで元気な人「ごきげんさん」との違いは、端的にいってしまうと、切り替えが得意か、苦手かということです。
例えば、2週間前に仕事で任せられた説明会でのスピーチに失敗してしまった、もやだるAさんと、ごきげんBさんがいたとします。そして、その失敗したスピーチに再度チャレンジするときを迎えました。
スピーチに再度チャレンジ、話し始める前の2人の心の状態は?
もやだるAさん
「前回失敗してマネージャーに怒られてしまったからな。今回も失敗したら、チームでの居場所がなくなるかもしれない。みんなからも、期待されなくなるかも。でも、自信ないな。やっぱりまた失敗してしまうのかな。」
ごきげんBさん
「最初のつかみはあの話で大丈夫だから、あとは予定している流れで話すだけだな。うまくいったら、マネージャー、評価してくれるかな。」
Bさんは前回の失敗を忘れたわけではありません。Aさんと同じように、スピーチ前は不安な感情になる瞬間もありました。ネガティブな感情に紐づいている記憶は、簡単には消えてくれないからです。しかし、Bさんは、スピーチ直前には、その不安をスパッと断ち切っています。これが、ごきげんな人たちの特徴です。感情がネガティブに振れても、引きずらないのです。
他にも例えば、友だちとの食事会のときに、同じような嫌味をいわれた、もやだるCさんと、ごきげんDさんがいたとします。
食事会が終わって帰宅途中、2人の心の状態は?
もやだるCさん
「何か悪いこと言ったかな。でも、あの言い方はないな。しかも、食事会はもう終わろうとしてたのに。あ~、むかついてきた。」
ごきげんDさん
「デザートで出てきたプリンおいしかったなあ。あれが食べられただけでも、今日はラッキーだったかも。」
Dさんが嫌みを言われたときにイラッとこなかったわけではありません。Cさんと同じように「そんなことを今話すのか」と、瞬間的に怒りの感情が生まれたことでしょう。それでもDさんは、怒りをスパッと断ち切っています。
これもまた、ごきげんな人たちの特徴です。感情がネガティブに振れても引きずらないから、そのことであれこれ心がざわつくことはないのです。私たちの感情は、どれだけ心を鍛えている人でも、ポジティブに振れたり、ネガティブに振れたりしています。ネガティブに振れたときに、どれだけ早く心をリセットできるか。それが、もやだるさんから抜け出す方法なのです。
著者/伊藤東凌(いとう・とうりょう)
臨済宗建仁寺派 両足院副住職。1980年生まれ。建仁寺派専門道場にて修行後、15年にわたり両足院での坐禅指導を担当。現代アートを中心に領域の壁を超え、伝統と繋ぐ試みを続けている。アメリカFacebook本社での禅セミナーの開催やフランス、ドイツ、デンマークでの禅指導など、インターナショナルな活動も。2020年グローバルメディテーションコミュニティ「雲是」、禅を暮らしに取り入れるアプリ「InTrip」をリリース。海外企業のウェルビーイングメンターや国内企業のエグゼクティブコーチも複数担当する。
AUTHOR
ヨガジャーナルオンライン編集部
ストレスフルな現代人に「ヨガ的な解決」を提案するライフスタイル&ニュースメディア。"心地よい"自己や他者、社会とつながることをヨガの本質と捉え、自分らしさを見つけるための心身メンテナンスなどウェルビーイングを実現するための情報を発信。
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