【人間関係】相手が不機嫌にならないように気を使いすぎる人が意識すべき4つのこと|臨床心理士が解説

 【人間関係】相手が不機嫌にならないように気を使いすぎる人が意識すべき4つのこと|臨床心理士が解説
canva
石上友梨
石上友梨
2022-06-29

あなたは「人を不機嫌にしてはいけない」「人を楽しませないといけない」と過度に責任を感じていませんか? もしそのために対人関係が苦しくなっている人は今回の記事を参考にしてください。

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もし相手の機嫌を取ることを子供のころから習慣的に行っている場合は、ほぼ無意識でやってしまい、機嫌を取っていることにすら気づかないかもしれません。例えば、「理想の彼女の役を演じる」「理解のある友達の役を演じる」「相手の求めるようにふるまう」など、先回りして相手の機嫌を取ってしまうこともあるでしょう。相手の機嫌を損ねずに、関係を良好に保つことは、一見自分のための行動にみえます。しかし、その時に犠牲になっているものは何でしょうか。相手の反応を気にし続けることは、とてもエネルギーを使うことです。そして、自分の気持ちを抑えたり、無視したりする分、気付かぬうちにストレスを溜めてしまいます。あなたが気持ちを先回りしてケアする分、相手はあなたを分かってくれる存在のように感じることでしょう。しかし、あなたが先回りのケアをしなくなった時、あなたが苦しくなって本当の気持ちを出した時、ふたりの関係性は突然崩れてしまうかもしれません。

自他の境界線とは

自他の境界線とは、「自分と他人は別のもの」という感覚です。生まれたての赤ちゃんは自他の境界がはっきりしていなく、養育者と一体化した状態です。どこまでが自分でどこからが自分ではないのか曖昧です。そのため、自分の欲求は養育者が満たしてくれ、それは自分の力だという万能感をもっています。しかし、発達していく中で欲求は必ず満たされるわけではなく、段々と自分と養育者は別のものであると気づくようになります。

自他の境界線が曖昧なままだと、気持ちの不安定さや、対人関係で様々なトラブルが起きやすくなります。他者からの影響を受けやすく、振り回されたり、傷つきやすいです。そして、自分の考えを他者に押し付けてしまうことや、人の問題を自分のせいのように感じ、なんとかしなきゃと責任をおってしまいます。人がつらいときに自分も一緒につらさを感じるべきだと思ったり、他者から嫌われることが過剰に不安になったりします。

自他の境界線は曖昧で変化しやすいものです。例えば、ストレスが強い時、相手が近しい関係の時に曖味になりやすいです。また、他者からの評価を重視する文化や環境だと自他の境界線も育ちにくいでしょう。このように、自他の境界線の曖昧さは誰にでも起こりえることで、状況や相手によって変化がしやすいことを自覚し、以下の対処法を参考にしていきましょう。

自他の境界線を意識するためにできる4つのこと

自他の境界線が曖昧だと、「相手の顔色を窺い、相手の機嫌に振り回される」「自分のことを分かってもらえないと敏感に反応する」など、対人関係で疲弊しやすくなります。気づかないままだと巻き込まれてしまうので、自他の境界線という考え方があると知り、まずは意識してみしょう。そして、「これは自分の問題」「これは相手の問題」ときちんと分けます。理想は、「他人の問題」を1人で責任を負わずになんとかしようとしないことですが、まずは意識してみるところから始めましょう。

何を心配して自己犠牲的になるのか考える

あなたは何を心配して自己犠牲をしてまで相手の機嫌を取るのでしょうか。例えば、相手の気持ちをケアしないことで、「嫌われること」「見捨てられること」など、何を心配しているのか考えてみましょう。あなたが相手の感情に巻き込まれたり、自己犠牲してしまったりするときに、あなたの心の奥にある気持ちや想いに注目してみましょう。

中心に自分自身を置く

自分を中心に置き、何をする時でも必ず自分の心の声を聴くようにしましょう。心が苦しいときは、「機嫌を取るのは苦しい」「自分のことも見てほしい」「本当は〇〇したくない」など、どのような心の声があるでしょうか。自分はどのような気持ちを感じているのか、すぐに分からなくても大丈夫です。まずは、「どんな気持ちだろう」と自分に投げかけてみてください。地道に続けていると段々と自分の心の声が分かるようになります。

「あえて機嫌を取るんだ」と意識をして選択する

基本的に自分の機嫌は自分で取るものなので、あなたがいつもどんな時でも、先回りをして相手の気持ちのケアをしたり、相手の機嫌を直すような行動を取る必要はありません。頼まれたらケアをするくらいでいいのです。しかし、円滑な対人関係を続ける上で、他者の顔色を窺う必要もあるでしょう。その際は、あなたには、あえて機嫌を取らない選択肢も、あえて機嫌を取る選択肢も、どちらも持っていることを忘れないようにしましょう。そして、必要に応じて、今回はあえて相手の機嫌を取っていると意識しながらその行動を選びましょう。

「私」を主語にした会話を心がける

他者を主語にするのではなく、「私はこう思う」「私はこう感じる」と自分の意見を少しずつ伝えみましょう。他者と違う考えを持つこと、違う気持ちでいることは、普通のことで、悪いことではありません。相手を否定することでも、相手との関係を壊すものでもありません。それで壊れてしまう関係は健康的なものではないと思います。練習しやすい会話から自分を主語にして話してみましょう。

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石上友梨

石上友梨

大学・大学院と心理学を学び、心理職公務員として経験を積む中で、身体にもアプローチする方法を取り入れたいと思い、ヨガや瞑想を学ぶため留学。帰国後は、医療機関、教育機関等で発達障害や愛着障害の方を中心に認知行動療法やスキーマ療法等のカウンセリングを行いながら、マインドフルネスやヨガクラスの主催、ライターとして活動している。著書に『仕事・人間関係がラクになる「生きづらさの根っこ」の癒し方: セルフ・コンパッション42のワーク』(大和出版)がある。



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