医師監修【油(脂)の性質と摂り方】腸にダメージ?「油もの」の摂りすぎで起こる身体への影響とは?

 医師監修【油(脂)の性質と摂り方】腸にダメージ?「油もの」の摂りすぎで起こる身体への影響とは?
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半田葉子
半田葉子
2022-08-29
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4.注意すべき「油(脂)」とは  

脂質の中でも特に注意すべきなのは「トランス脂肪酸」「動物性の脂(肉)」「加工品・外食」です。

①トランス脂肪酸

トランス脂肪酸は 「マーガリン」「ショートニング」「精製された油」、それらを含む食品(焼き菓子・パン・揚げ物など)に多く含まれています。元々は液体である油。「マーガリン」や「ショートニング」はその液体油脂に水素を添加した「水素添加法(PHO)」により、半固形または固形に加工されています。 この「水素添加法」をする際に生じるのが「トランス脂肪酸」。天然の油脂にはあまり存在しない特殊な構造をしていて、食品の保存期間や風味の安定性を高めるために 作られた人工的な、加工品の油を作る際に生じます。

マーガリン
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トランス脂肪酸は脳の神経伝達の邪魔をし、細胞同士の連絡がうまくできずあらゆる病気にかかりやすくなります。多く摂取すると、血中の悪玉コレステロール(LDL)が増加、 善玉コレステロール(HLD)が減少するため、そのため心臓病脳卒中2型糖尿病などの動脈硬化心冠動脈性心疾患のリスクを高めるなどの生活習慣病のリスクが高まると言われています。 体重増加や記憶力の低下につながることも指摘されています。

アメリカ・カナダ・タイ・アルゼンチン・中国・サウジアラビア・シンガポール・デンマーク・ノルウェー…さまざまな国でトランス脂肪酸に関する何かしらの制限がかかっていますが、 日本では他国のような規制やトランス脂肪酸の使用を禁止する規制はがないのが現状です。

※トランス脂肪酸については||食品に含まれる【トランス脂肪酸】ってどれくらい体に悪い? 使用を制限している国々とその理由は?||でも詳しく解説しています。
 

②動物性の脂(肉)

植物性の油と動物性の脂、調理をした後に洗浄するカトラリーやフライパンの洗剤の量や水温を想像してみてください。植物性の液体の油汚れに対し、バターや牛脂、肉の脂はとても頑固な汚れですよね。 そして、水ではなかなか落ちずにお湯で洗うことも多いこの「脂」、この脂が体内に入ったらどうなるのでしょうか。

腸
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体内にこびりついた脂を洗剤の代わりに落とす助けとなるのが「食物繊維」「発酵食品」「オリゴ糖」「腸マッサージ」などですが、洗剤のようにきれいに取り去ってくれるわけではなく、少しずつ少しずつ微生物や外からの刺激により「汚れ」を落とし、約37℃の腸内温度で 脂をゆっくりと溶かしてくれているのです。
また、動物性の肉は食べ物の中でも消化にとても時間がかかります。野菜が1~2時間の消化時間に対し、炭水化物は約8時間たんぱく質(肉や魚)は12~24時間とも言われています。魚の油はフィッシュオイルとも言われ、身体に良い成分が多く含まれていますが、鶏・牛・豚などの肉の脂はトランス脂肪酸と同じく、悪玉菌を増やしさまざまな病気のリスクを高める恐れがあります。

③加工品・外食

揚げ物は家でせずお惣菜を購入するという方、コンビニのお弁当や外食の多い方は注意が必要です。

家庭で使用する油は植物性の油が多いですが、加工品や外食には、動物性の脂を使用することが多く、特にマーガリンやショートニングなどのトランス脂肪酸を含む脂や、牛脂、 その他パーム油などの安価な油を使用している可能性がとても高いです。
理由は、ショートニングや牛脂が冷めると固まる性質を利用し、時間が経っても揚げ物からの水分が外に出にくく、揚げ物がいつまでもカリっと仕上がるため。 脂の風味で「コク」を出すという点でも、お惣菜や外食では当たり前のように脂が使用されています。また、そういったものは添加物や塩分・糖分も多く含まれており、スーパーによっては傷がついた野菜や一部が悪くなって売れ残ってしまった野菜をお惣菜に加工することがあるのも事実です。

そして、油は「熱しやすく冷めやすい」性質があります。油ものを好み、夏に冷たいものばかり摂取している場合は、内臓の冷えにも繋がります。
胃や腸に手を当ててみてください、周りの体温よりも冷たく感じる場合は、内臓が冷えている証拠です。温かい飲み物や、湯舟にゆっくり浸かるなど、身体を内側から温める必要があります。

5.油・塩・砂糖・うまみ調味料『マイルドドラッグ』  

油や塩、砂糖やうまみ調味料を多く使用した中毒性のある飲料や食べ物のことを「マイルドドラック」と言います。これらは、脳に快楽を与えて中毒のような常習性を持ち、 ポテトチップスやフライドポテト、揚げパンやドーナッツをはじめ、甘い炭酸飲料やチョコレート、アイス、お菓子全般に当てはまります。

ドーナッツ
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飲食業界では、これらマイルドドラックを上手に利用し、消費者が何度でも食べたくなるような製品を作り出しています。 なかでも「油(脂)と塩」「油(脂)と砂糖」など、油と調味料を組み合わせることで、中毒性が増すともいわれています。

また、油と炭水化物の組み合わせは血糖値があがり、120度以上の高温で調理したものを食べるとがんの発症リスクが高まるという研究結果も出ており、味付けの濃い食品や調味料などを意識せずに欲するままに食べてしまうと、必要以上の油を摂取している可能性があるので、注意が必要です。

6.揚げ物と『フリーラジカル』『メイラード反応』  

フリーラジカルを多く含む食品として「油」が挙げられ、特に揚げ物料理は心血管疾患のリスクが高いと言われています。

フリーラジカルとは

ヒトの細胞は電子と言う2つ1組に対になった分子からできているのですが、時々対になっていない電子を持つ分子が存在します。それをフリーラジカルと言います。対でない電子は不安定なため、他の分子から電子を取り対になることで安定させようとします。しかしもともと対だった分子が1つになることで、また細胞が不安定になります。それが繰り返されることにより、私たちのからだは細胞レベルでバランスが崩れてしまいます。

酸化
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繰り返し使用される市販の揚げ油は、食材からタンパク質脂質アミノ酸などが油へ移行することで油の酸化(熱酸化)を促進させます。熱変化をして劣化をした油は、複雑な化学変化により酸化ストレスの原因となります。
それらが原因となり、トランス脂肪酸同様、高血圧や動脈硬化、糖尿病や心血管疾患のリスクが高くなるという研究が多く出ています。 また、メイラード反応と言われる「糖化」も老いの原因のひとつとされています。

これらはタンパク質と脂質が多い動物由来の食品に焼き色がつくことで起こる現象ですが、特に揚げ物に多いとされています。 このように油の中でも特に揚げ物は身体を急速に老いさせ、さまざまな病気を引き起こす原因となっています。

「フリーラジカル」「メイラード反応」については||医師監修【実年齢よりも若く見える・老けない体を作る食事法】老化の原因「糖化」「酸化」を防ぐ食べ方||で詳しく解説しています。

7.油(脂)との上手なつきあいかた

私たち自身が生成できない脂質はいくつかあり、それらは食事から摂る必要があります。その脂質のことを「必須脂肪酸」といい、よく耳にする「オメガ3脂肪酸」「オメガ6脂肪酸」がそれにあたります。オリーブオイルや亜麻仁油、フィッシュオイル、ごま油、アボカドオイルなどは積極的に摂取するのと同時に、揚げものや動物性の脂、加工品や外食などは週に一度にする、できだけ自炊を心掛けるなど、油の質を良くするように心がけましょう。

また、薬味や調味料を上手に摂り入れることもおすすめです。

薬味
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揚げ物にレモン、フライドポテトにケチャップ、とんかつときゃべつ、天麩羅に大根おろしや生姜、南蛮漬けの玉ねぎとお酢などは、とても有効です。レモン・トマト・きゃべつ・大根・たまねぎ・お酢・薬味などは油の毒消しとも言われ、油と一緒に摂ることで胃腸への負担を軽くする役割があります。他にも腸内環境を整えるために、発酵食品やオリゴ糖を多く含む食品の摂取も良いでしょう。

他にも、天麩羅を作る時の衣を薄くしたり、汁にくぐらせ油を落として食べたり、唐揚げをみぞれ煮にしたり、揚げ油をオリーブオイルやごま油にしたり、ドレッシングを手作りにしてみたり…と、できることからはじめてみましょう。

医師監修/佐藤瑠美先生
内科医として朝倉医師会病院に勤務。医学博士、内科認定医、総合内科専門医、感染症専門医、感染症指導医、呼吸器専門医、呼吸器指導医、アレルギー専門医、化学療法認定医、化学療法指導医、抗酸菌症認定医、抗酸菌症指導医、インフェクションコントロールドクター、肺がんCT検診認定医

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半田葉子

半田葉子

バウエル腸セラピスト/vegan菓子 [ 素果子|sugashi ] 店主 幼い頃から環境問題に興味を持つ。20代に心身のバランスを崩したことをきっかけに「からだに入れる選択」「免疫力」「心と身体のバランス」「出す力」の大切さに気づき、自然生活に活かせる食や腸を学びはじめる。会社員、自身のカフェでの菜食調理、地方veganカフェの立ち上げやメニュー提供、海外のオーガニック事情調査、腸講師などを経て、「からだ想いのお菓子を」とオンラインストア [ 素果子|sugashi ] を始動。お菓子作りを続ける傍ら、 長年のマクロビオティック生活と自身の経験や知識を活かし、個人の体質改善カウンセリング・腸マッサージの施術を行っている。InstagramID:kurashinotane_



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