【意外と知らない雑学】似て非なる調味料「本みりん」「みりん風調味料」「発酵調味料みりん」違いは?
毎日使う調味料。「毎日使うから」とついつい安価なものを選びがち。しかし「毎日使うものだからこそ」気をつけたいところですよね。「本みりん」「みりん風調味料」「みりんタイプ(発酵調味料)」、実はこれらが「似て非なるもの」であることをご存知でしょうか。調味料の多くは「発酵食品」でもあり、私たちの腸内環境を整えてくれる大切な役割があります。今回はそんな発酵調味料の中の「みりん」について、腸セラピストでvegan菓子 [素果子 | sugashi ] 店主でもある、半田葉子さんが解説。
みりんをはじめ、醤油・酒・味噌・酢など、保存食として昔から料理に使われてる「調味料」。
現代の調味料売り場には、昔ながらの製法のものから、その過程を経ずに似たような風味を感じることのできる調味料などが同じ棚に陳列され、価格もそれぞれ。
それら調味料には、名前が同じでも原材料や製法などが違うものがあることをご存知でしょうか。
特にみりんはわかりやすく、似て非なる調味料の一つでもあります。和食には欠かせない「みりん」。今回は「本みりん」と「みりん風調味料」「みりんタイプ(発酵調味料)」の違いについてお伝えします。
「本みりん」とは
原材料…もち米・米麹・アルコール・糖類
これらを数ヶ月の時間をかけゆっくりと糖化・熟成・発酵させて造られた調味料。
みりんはお料理の「照り」としてだけでなく、天然の甘みやうまみ成分としても使われる調味料。
本みりんが米・麹・アルコールだけで甘いのは、麹が持つ消化酵素が米に含まれているデンプンをブドウ糖という糖に分解され甘みを作るためです。
調味料の多くは長い年月をかけ、ゆっくりと熟成し発酵をうながすことで、菌がうまみ成分を作り出しています。
甘酒も同じく米と麹と水から作られますが、これも同じ作用で麹菌が米を酵素分解、米に含まれるデンプンをブドウ糖に変え、強い甘みを作り出しています。
※甘酒は、米麹から作る甘酒以外に酒粕から作る甘酒もあります。
この様な発酵食品は発酵の力で野菜やお肉などの酵素を分解、味の浸透が良くなるため味が染み込みやすくなります。またみりんは、うまみ成分により奥深い味を出るので、京料理をはじめ和食では欠かせない調味料のひとつです。
また天然の発酵食品は腸の善玉菌を増やす役目もあり、みりんや甘酒だけでなく、味噌や醤油・漬物など昔から作り続けられている保存食でもあります。
ゆっくりと熟成させた本みりんは、実はアルコール度数が14%前後あり、「酒」に分類されています。
みりん風調味料とは
原材料…水あめ・米・米麹・食塩・酒精・アミノ酸・酸味料・甘味料(ステビア)・着色料など
酵母によるアルコール発酵工程がなく、本みりんよりも糖度が高い。
みりん風調味料は、本みりんと同じように照りや甘みとして使用される調味料です。
アルコール発酵がないため、アルコール度数が1%前後と低く、酢味噌や白和えなど火を通さない料理に一度火を通してアルコールを飛ばす(煮切り)をせずに使用できることで知られています。
この「みりん風調味料」は名前や原材料からもわかるように、みりん「風」の調味料です。
人工の甘味料や添加物を加え、時間をかけずにみりん風のうまみを加えた調味料で、グルタミン酸ナトリウムなどで味付けされたものや、カラメル色素で色を付けたものもあります。
ゆっくりと発酵させる手間がないため、その分安価で量産ができる調味料として市場に多く出回っています。
用途は本みりんと同じように使われていますが、原材料や製造過程は似て非なるもの。
みりん風調味料は発酵食品ではないので、腸への作用も期待はできません。逆にみりん風調味料に含まれる添加物により、下痢など腸への不調の原因になってる場合もあります。
また、本みりんはアルコール度数が14%前後あるため「酒」の部類に含まれ、販売価格に「酒税」が含まれていますが、みりん風調味料はアルコール度数が1%前後と酒税がかからず、販売価格の違いとしても大きく差があるのも特徴です。
AUTHOR
半田葉子
バウエル腸セラピスト/vegan菓子 [ 素果子|sugashi ] 店主 幼い頃から環境問題に興味を持つ。20代に心身のバランスを崩したことをきっかけに「からだに入れる選択」「免疫力」「心と身体のバランス」「出す力」の大切さに気づき、自然生活に活かせる食や腸を学びはじめる。会社員、自身のカフェでの菜食調理、地方veganカフェの立ち上げやメニュー提供、海外のオーガニック事情調査、腸講師などを経て、「からだ想いのお菓子を」とオンラインストア [ 素果子|sugashi ] を始動。お菓子作りを続ける傍ら、 長年のマクロビオティック生活と自身の経験や知識を活かし、個人の体質改善カウンセリング・腸マッサージの施術を行っている。InstagramID:kurashinotane_
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