【食の豆知識】植物油に書かれている「圧搾法」「玉締めしぼり」「一番搾り」の違いを知ってる?

 【食の豆知識】植物油に書かれている「圧搾法」「玉締めしぼり」「一番搾り」の違いを知ってる?
AdobeStock
半田葉子
半田葉子
2021-12-11

植物油に表記された「玉締め圧搾法」やそこに書き添えられた「一番搾り」。良く目にするし、なんとなく身体に良さそうなのはわかる…。そんな方も多いのではないでしょうか。それとは逆に現代の油の抽出の主流が、原材料には書かれていない薬品(食品添加物)が使われていることをご存知でしょうか。 今回は油の搾油方法や風味の違い、「普通の」油との違いをマクロビオティック歴15年で腸セラピストでもある、vegan菓子[素果子|sugashi]店主の半田葉子さんが解説します。

広告

ごま油やなたね油で良く見る圧搾方法の表記。金額が少し高く「玉締めしぼり」や「低温圧搾法」などのこだわりが商品の表に書いてある油を一度は見たことがあるのではないでしょうか。
油は私たちの身体になくてなならないもの。「良い油」は身体の潤滑油にもなり、悪玉コレステロール値の調整をしたり、脳や神経系の機能を保ったりと私たちの身体を正常に保ってくれる効果がある反面、「悪い油」は身体を酸化させたり胃や腸・血液に大きな負担がかかります。それでは私たちはどのようにして油を選べば良いのでしょうか。

今回はその表現方法や製造工程をご説明します。

[ 目次 ]

1)油の搾り方:伝統的な「圧搾法」と溶剤を使用した「抽出法」について
2)ごま油:「玉締めしぼり」とは・・・玉締めしぼりの工程
3)「一番搾り」とは「温水洗い」とは

4)まとめ

油の搾り方

油の搾り方には大きく分けて2種類、中間を入れて3種留の方法があります。

①圧搾法
油の原料に圧力をかけて丁寧に油を搾り取る方法。手間や時間がかかる上に採れる油の量も少ない。しかし、余分な脱色・脱臭などの精製をしないため、油に原料本来の風味や栄養分がそのまま残され、自然の味や香りを楽しむことができる。

②抽出法
油の原料をヘキサン注1)などの溶媒(食品添加物)に溶かし油を抽出、その後、油に溶けたヘキサンなどを溶媒を蒸留装置で揮発性の溶剤と油分とに分けて、油を取る、もしくは溶媒を蒸発させ油だけを残す方法。このようなヘキサンなどの溶媒を使用すると、原料の油分をほぼ搾り取ることができ、生産性を重視した現代では抽出法が主流になっています。
油分の比較的少ない大豆などに用いることも多く、油分が抜けた【脱脂粕】は醤油や味噌、配合飼料、有機肥料などの原料に使用されています。
※「丸大豆醤油」と記載されていない醤油は、この脱脂粕を使用して作られた醤油のことであり、味噌もまたこの脱脂粕を使用している味噌が安価で売られています。
注)1ヘキサン…常温では無色透明で、灯油のような臭いがする液体。

③圧抽法
(圧搾法+抽出法)圧搾で残った原料残油(10~20%)を抽出法によって最後まで絞り出す方法。圧搾法と抽出法の両方の方法で搾油する方法を圧抽法と呼びます。なたねなどの油分の多い原料はこの方法で搾油することが多くあります。
昔は圧搾法がほとんどでしたが、非常に手間のかかる作業ということもあり、現在は食品添加物である溶剤抽出法が主流になってきています。しかし、商品裏の原材料表示を見ても溶剤を確認することはできません。その理由はヘキサンは「蒸発すると製品には残留しないから」なのです。

広告

AUTHOR

半田葉子

半田葉子

バウエル腸セラピスト/vegan菓子 [ 素果子|sugashi ] 店主 幼い頃から環境問題に興味を持つ。20代に心身のバランスを崩したことをきっかけに「からだに入れる選択」「免疫力」「心と身体のバランス」「出す力」の大切さに気づき、自然生活に活かせる食や腸を学びはじめる。会社員、自身のカフェでの菜食調理、地方veganカフェの立ち上げやメニュー提供、海外のオーガニック事情調査、腸講師などを経て、「からだ想いのお菓子を」とオンラインストア [ 素果子|sugashi ] を始動。お菓子作りを続ける傍ら、 長年のマクロビオティック生活と自身の経験や知識を活かし、個人の体質改善カウンセリング・腸マッサージの施術を行っている。InstagramID:kurashinotane_



RELATED関連記事

Galleryこの記事の画像/動画一覧

ごま油
abura
ごま