高校の「授業」としてヨガを取り入れてもらうまで【高校の授業にヨガという選択肢を vol.3】
現在愛知県にある豊川高校、豊橋西高校の2校でヨガを「授業」として取り入れてもらったそのきっかけを今日はご紹介します。「授業」であれ「部活動」であれ、「レッスン」を行う時でも共通することは同じかなと思っています。
学校の授業をする上で一番聞かれる質問
現在、愛知県にある高校2校で「授業」としてヨガを取り入れてもらい、多い時は週に3日間、5コマの授業を2校で行なっている私ですが、同業者であるヨガインストラクターからも、今回こうやって記事を書かせていただいているヨガジャーナルさんからも、開口一番「どういうきっかけで授業を持てるようになったんですか?」とご質問をいただきました。今日はそんなお話を書いていこうと思います。
高校の「授業」としてヨガを取り入れてもらう、きっかけは15年前から
高校時代の恩師である樽谷先生から愛知県東三河地区の体育科教員が集まる「東三河保健体育研究会の講師をしてみないか?」という3年ほど前のお声がけから全てが始まりました。
そもそもきっかけは大袈裟に言えば15年前からのご縁です。私自身の話をすると、中学校で大して成績も良くなかったのですが、いわゆる受験勉強を詰め込みでグッと頑張ったら、一気に成績が上がりそのままの勢いだけで、愛知県東三河地区の進学校である時習館高校に入学をしました。一応ちゃんと一般入試で入ったのですが、当日の学力試験を必要としない「推薦入試で入ったのかと思った〜」と友人に言われるほどに勉強はできず、部活動も中学校時代に陸上をやっていたにも関わらず、「何か違うことしたいな〜」という曖昧な気持ちでフラフラしていたところ、”背が高い”という理由だけで、当時バレーボール部顧問の樽谷先生から誘われバレーボール部に入部をしました。特にやったこともないスポーツで、ただ走るのだけが速く、背が高いという、バレーボールに使えそうで使えない私を誘ってしまった当時の樽谷先生にとっては貧乏くじだったかもしれません(しかも成績が非常に悪い)。
兎にも角にも、学業成績をとっても「心配」、部活動をとっても「もう少しできるだろ」という、手のかかる高校時代を過ごした私ですが、手がかかるが故に学生時代にお世話になった先生方からは、卒業後もとてもよくして頂くという「運」だけは持ち合わせています。友人の結婚式をきっかけに樽谷先生と再会をし、「ヨガを教えること」「学校で教える機会があれば嬉しい」ということを伝えたところ、「東三河保健体育研究会」で、講師としてヨガを体育科の先生方に教える機会を頂きました。
一回のチャンスでヴィジョンを共有する
「学校で教える機会があれば嬉しい」この言葉は私の本心です。私自身「受験」「就活」と期限や型にはまった普通の人生を歩いてきて、どこかで息苦しさを感じていたのですが、ヨガを学ぶ中で、「今すぐできなくてもいい」「人生という大きなスパンで物事を捉える」など、学校教育では触れられなかったけど「こういうことが知りたかった!」という考え方にたくさん触れてきました。大人になってから思う、「もっと早く知りたかった」これを学生に届けたいと思っていたのです。
保健体育研究会では講義の場も頂けたので、「学生にとってヨガがどう役立つか、どういう効果があるか」「ヨガ哲学というフィルターを通して先生という視点から学校教育にどう活かせるか」この2点にフォーカスして、ヨガを授業に取り入れた後を、先生方に想像していただけるようなお話をさせて頂きました。これは会社員時代にもプレゼンテーションの場で意識していたこと、理想を共有するということ。同じヴィジョン、目標に、「ヨガ」という方法を選択肢として一緒に向かってくれる先生が一人でもいたらいいな、そんな気持ちでした。その「場」は、授業でも、部活動をはじめとした課外授業でも、とりあえず一歩が踏み出せたら。
描いたヴィジョンの共有が運と縁を繋ぐ
保健体育研究会終了後すぐに、当時愛知県立豊橋西高校の体育科の長谷先生(現:愛知教育大付属高等学校)から「総合学科改変に伴い、学外の講師に担当してもらう“フィットネス科目”を2年後にやりたいのです」というお電話をもらったのです。週3時間、年間105時間分の授業を継続して担当させてもらえる、想像していた以上にありがたい、このお話。
ここから、2年間という準備期間を挟むのですが、長谷先生との出会いとなった保健体育研究会で理想像を共有できていたので、同じ方向を向いてカリキュラム作りを進めていけたことがとてもよかったと思っています。この科目の大きなテーマは「自己実現」。学校という現場を担当する教師と、学外の会社員を経験した一人のヨガ講師、それぞれの立場から学生が高校を卒業した後にも自信を持って将来の夢に向かって歩んでいってもらえたら。常にこの視点で「ヨガ」を方法としてカリキュラム作りを行なっていきました。
東三河保健体育研究会、学科改変など、いろんな運とタイミングが繋がり、ここまで漕ぎ着けています。
準備をし始めると違う形でもチャンスは舞い込む
お話をいただいてから2年かけ準備をしている最中、同じく東三河にある私立豊川高校から、所属しているヨガスタジオ「Seeds Yoga」へ授業の依頼が舞い込んできました。体育科の山本先生、加藤先生から「スポーツで高みを目指す学生に、体の使い方やメンテナンスという観点から、ヨガを授業で行なってほしい。」スタジオのオーナーである、中島ちあき先生とこちらも二つ返事で快諾し、去年から2年生、3年生に「ヨガ入門」「ヨガ実践」という授業を担当させていただいています。
豊川高校も、豊橋西高校も、「縁」や「運」、そして「偶然」が重なり担当させていただけている、「ヨガの授業」という新しい取り組み。両校の生徒にとって、新しい気づきや経験をたくさん提供できるように、一回一回の授業を全力で準備し、届けていく、その「実践」の積み上げがこれからの「ヨガの授業」の土台になるでしょう。これは、ヨガのレッスンを行うヨガ講師のみなさんと全く同じだと思っています。
AUTHOR
白井美穂
セルフケア・ヨガ講師として活動中。会社員時代に”ネフローゼ症候群”という難病を患い、ヨガと季節のセルフケアを学び始める。その後ヨガ講師へ転身、初心者にもわかりやすいレッスンを行う。2021年度より愛知県内の高校にてヨガの授業を開始し、現在は県内2校で授業を担当。10代にヨガを通して体と心を整えることの大切さ、自分の心と向き合いやりたいことや目標に向かって進んでいくことの大切さを伝えている。
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