「友人関係に悩む思春期の娘。親ができることは?」友達付き合いに悩む子供にしてあげたい3つのこと

 「友人関係に悩む思春期の娘。親ができることは?」友達付き合いに悩む子供にしてあげたい3つのこと
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南 舞
南 舞
2022-04-13

臨床心理士でありヨガ講師である筆者が皆さんの悩みにお答えするシリーズ。カウンセリングやクラス、SNSなどの中で皆さんから頂いた質問について、心理学の知識やカウンセリングの手法、ヨガのマインドに基づきながらお話ししていきます。

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友達の輪の中に入れないと訴える娘、何もできない親の自分・・・

「思春期の娘がいます。学校で同性の友達の輪の中になじめず、居場所がなくてつらそうです。『みんなと同じことに興味が持てない自分はおかしいのかな?』『みんなの話の輪の中に入るのが違和感』と話す時もあります。なんとかしてあげたいと思い、励ましたり、アドバイスしたりするのですが、あまり効果はなく…どうしたら良いでしょうか」

臨床心理士からのアドバイス

学校は家と同じくらいの長い時間を過ごす場所なので、そこで苦痛な時間を過ごすのはとてもしんどいことですよね。また、親御さんの立場としては、娘さんのつらそうな様子を見ることや、なんとかしてあげたいと色々やってもうまくいかないことで、とてもやるせない気持ちになっているのではないかとお察しします。

思春期の女の子同士の付き合いってとても難しいですよね。思春期の女の子たちの友達付き合いについて、発達心理学の視点からお話しすると、キーワードは【チャムグループ】。チャムグループとは、自分と同じもの・共通のもので、あるいは秘密を共有することで繋がる関係性のことです。よく思春期の女の子たちがお揃いのものを持ちたがる、同じテレビやアイドルの話題で盛り上がりたがる、廊下や教室の隅でコソコソ話をしたがるなどの行動は、このチャムグループの性質によるもの。チャムグループの厄介なところは、【みんなと同じである】ということが大切で、異質なものは認めない、集団を維持するためには誰かを仲間外れにすることもいとわないというところにあります。その背景には、この頃の子どもたちは自分を理解して自分を表現するという術が未熟であり、【他人と同じか違うか】を基準に人間関係を築いていくということがあるからです。とはいえ、異質だと仲間外れにされるのは、お子さんにとってはとてもつらいことですよね。なんとか自信を取り戻してもらえるような声かけや対応をしていきたいものです。では、親御さんができる具体的な声かけや行動についてお話ししていきましょう。

友人関係に悩む子へに、ついついやりがちな言動や行動

声かけや行動の正解を知る前に、ついついやりがちな行動や言動について考えることも大切なことです。思春期のお子さんを持つ親御さんとのカウンセリングの中でよく聞かれる、『それ、変えた方が良いかも』という対応についてお話しします。

『友達なんていなくてもなんとかなるよ』という声かけ

高校生くらいになっていくと、【ピアグループ】といって、お互いの趣味や価値観に興味を抱くように、同じであることよりも、自分と異なるところも少しずつ受け入れられるような関係づくりをしていくようになっていきます。そういった過程を歩んできた大人たちがよくやりがちなのは、『友達なんて、いなくたってなんとかなるよ』という言葉がけ。自分の価値を【友人がいるかどうか】で測っている思春期の子どもたちからすると、一緒に過ごす友人がいないというのは、自分への評価や自尊心を下げることにつながる死活問題なのです。

無理やり友達を作らせようとする

お子さんに友達がいないとなると、なんとか友人関係を築かせてあげようと親御さんの方が必死になってしまう、感情的になって本人の意思を理解せずに先回りして行動してというケースも少なくありません。親御さんの方が『友達がいないのはかわいそう』という価値観に囚われてしまうことによって、それがかえってお子さんへのプレッシャーになり、『友達がいない自分はダメなんだ』という意識を強めてしまうことに。

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南 舞

南 舞

公認心理師 / 臨床心理士 / ヨガ講師 中学生の時に心理カウンセラーを志す。大学、大学院でカウンセリングを学び、2018年には国家資格「公認心理師」を取得。現在は学校や企業にてカウンセラーとして活動中。ヨガとの出会いは学生時代。カラダが自由になっていく感覚への心地よさ、周りと比べず自分と向き合っていくヨガの姿勢に、カウンセリングの考え方と近いものを感じヨガの道へ。専門である臨床心理学(心理カウンセリング )・ヨガ・ウェルネスの3つの軸から、ウェルビーイング(幸福感)高めたり、もともと心の中に備わっているリソース(強み・できていること)を引き出していくお手伝いをしていきたいと日々活動中。



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