失敗の原因は「数字」にあった!パーソナルトレーナーが指摘する「人気ダイエットの矛盾点」
ボディメイクや健康的なライフスタイルを心掛ける上で、「目標の数字を追うこと」が1番の目的になっている人も多いのではないでしょうか?人生を充実させるために始めたはずなのに、数字の追いかけっこに心を消費されている...。そんなあなたに「数字では測れないものに焦点を当ててみませんか?」という提案です。
私たちの人生の質は「数字では表すことができないもの」で決まることがほとんどです。自信とか、幸福感とか、自己肯定感とか、人生の満足度とか、生きがいとか、人から与えられる愛とか、人に与える愛とか、毎日の生活の充実度とか。
あなたが「自分磨きをしよう!」と一念発起して運動や食事改善を始めた目的は、本来、そういった「数字では表せないもの」を得るためだったはず。でも、話題のダイエットの内容を見てみると、数字の話ばかり出てきますよね。
「体重が何kg減った」
「体脂肪率が何%減った」
「今日は何カロリー摂った」
「消費カロリーは何だった」
「PFCバランスはどれくらいだった」
こうした傾向もあって、ダイエットに失敗する人の多くが「数字では表せないもの」を得るために”数字を使って”目的を達成しようとしています。この矛盾点に気付かぬままダイエットの沼にはまり、心や身体のバランスを崩してまうんです。
数字を使ったダイエットの問題点
数字を使った指標は、科学的知識をより多くの人が参考にできるように、いたるところで使われます。適正体重、適正体脂肪率、BMI、1日の摂取カロリー、PFCバランス、1日の歩数、など、ダイエットをしたことがある人なら聞いたことがあるものばかりだと思います。
しかし、こうした数字には問題点もあります。例えば、家庭用体組成計の精度。現在の家庭用体組成計の精度は、±5%程度。つまり、本当は25%の人でも、20%で表示されている可能性もあれば、30%で表示されている可能性もあるということ。あまり話題にはなりませんが、意外と低いんです。
技術が発達したといえど、1%の増減で悲鳴をあげるような私たちにとっては、この程度の精度では天地の差がありますよね。お風呂の前後で数%変わったり、トイレの前後で変わったり、汗をかいているかによっても変わったりします。そのため、科学研究で使うことは推奨されていません。正確な体脂肪率を取るためには、病院や大学機関にある1台数千万円もする機械を使う必要があるんです。
それにもかかわらず、私たちは毎日のように体脂肪率を測っては、微々たる数字の増減に一喜一憂しています。この時間が私たちにもたらしてくれるものは何でしょうか?「人生をより充実させる」という目標とはかけ離れている生活のような気もします。
教科書の知識は、そのままでは使えない
”教科書に載っている数字“は、あくまで目安であり、その数字を達成したからといって理想の身体が手に入るとは限りません。
例えば、体重。
体重計の数字は容姿を反映しません。筋肉は脂肪よりも重たいため、筋肉質な人は体重の割にシュッとして見える傾向があります。相撲の力士とラグビー選手では、体重が同じ100kgでも見た目が異なるのもそのためです。私自身も、筋トレを始めてから体重が10kg増えても同じサイズの服を着ています。
健康的な方法でダイエットをすれば「体重計の数字は変わらないけど、服のサイズが変わった!」なんてことも頻繁に起こります。反対に、不健康なダイエットをしたら「体重計の数字は減ったけど、筋肉が落ちて見た目がたるんだ」なんてことも。
日常会話で「おはようございます!あ、あなたの体重は55kgですね。そんなあなたのMサイズの服が素敵です!」なんて話があるわけでもないのに、なぜ私たちはそんなに数字にこだわる必要があるのでしょうか?
ダイエットは科学の知識を元に話が進むことがほとんどですが、教科書に答えが書いてある数学や歴史よりは、自分で自分なりの答えを見つける道徳とか美術に近いです。教科書に載っている知識はあくまでも目安で、それを参考にして自分なりの最善を探した結果が、あなたにとっての正解。パーソナルトレーナーとして指導をしていても、そこを勘違いして教科書の知識を鵜呑みにしている人が本当に多いと感じています。
AUTHOR
mikiko
パーソナルトレーナー|自身の失敗経験を元に個人差や体質を重視した『mikiko式フィットネス論』を提唱|身体と人生観が変わるフィットネス哲学で、一生ブレないための視野と学びを発信しています|流行を根拠と本質で斬る人| 筑波大学健康増進学修士|NZベストトレーナー入賞
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