「どこにいてもヨガをすればそこがHOMEになる」旅するヨガ夫婦yogabeyondインタビュー

 「どこにいてもヨガをすればそこがHOMEになる」旅するヨガ夫婦yogabeyondインタビュー
RIKA KELLY
RIKA KELLY
2022-06-30

普段はビバリーヒルズでセレブたちにヨガレッスンを提供、一方でヨガジャーナル公認インストラクターとして日本向けにオンラインヨガクラスを開催するヨガ講師RIKA KELLYが、世界で活躍するヨガ講師たちにインタビューする本企画「#With Yoga(ヨガとともに)」。第一回目となる今回は、オーストラリアを拠点にヨガをしながら世界を旅する夫婦「yogabeyond(ヨガビヨンド)」のClaudineさんにインタビュー。ClaudineさんやHonzaさんはどんな方なのか、どんな子育てをしているのか、コロナ禍をどう過ごしてきたのか…お話を聞きました。

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RIKA:改めまして、本日はインタビューする機会を与えて頂き、ありがとうございます。今日は初めてのインタビューなので、お二人のこと、子育てのこと、コロナ禍のこと、そしてヨガと生活についてなど幅広くお話を伺っていきたいと思います。

では最初に、日本の皆さんに私からお二人の紹介を少しして、それから本人からお話をして頂きましょう。

yogabeyondのお二人、Claudineさん・Honzaさんは、現在はオーストラリアを拠点に活動しています。でも、お二人は世界中を飛び回っているから、本拠地は「世界」と言えるかもしれませんね。大手のヨガブランドでヨガを教えていたり、頻繁に多くの都市でワークショップをされています。お二人はヴィンヤサヨガアクロヨガを始め、あらゆるタイプのヨガを教えています。

では、最初にご自身のこと、そしてパートナーであるHonzaさんのことからお話ししていただけますか?

Claudineさん(以下、敬称略):今日はこのような機会をいただき、ありがとうございます。彼はこのインタビューの場に同席していないので、あくまでも「私の視点」からのお話にはなってしまうのですが、私たちは夫婦として、またビジネスパートナーとしても長い時間を一緒に過ごしてきていますので、今日いただくご質問に対しても彼と私の共通の考えからお答えしますね。

私たちは夫婦で、子育てをするパートナーです。そしてヨギーであり、ソーシャルメディア起業家でもあります。私たちが目指していることは、人々に活力を与えること、元気を引き出すこと。そのために、私たちが経験した成長や変化をシェアしています。そうすることで、誰もが自分自身に対して「自覚的」になれたり、自分をもっと大事にするにはどうしたらいいか分かるようになったりするんじゃないかなと思って活動しています。

15歳でヨガを始めて

RIKA:コロナ禍になる前のことから聞いていきたいと思います。ワークショップはどのぐらいの頻度で開催していたのでしょうか?

Claudine:コロナ禍以前は、私たちはヨガインストラクター向けのワークショップをバリやタイで毎年開催していました。他にもアジアの各地、それにアメリカ国内でもワークショップを多数開催していました。ヨーロッパにも行きましたよ。私たちの下の娘のソフィーは今5歳ですが、彼女がコロナ以前に送った人生の前半の時期は、世界中あちこち。私たちと一緒に旅をしていたわけです。

RIKA:ご旅行の様子をインスタグラムで拝見して、すごいなと思っていました。Claudineさんは、いつからヨガを始めたんですか?

Claudine:私がヨガを始めたのは15歳のときでした。今から25年前になりますね。

RIKA:そんなに前から!驚きました。もう少し詳しく聞かせてください。

Claudine:私が初めてヨガをしたのは、バリです。私の両親も、私たち同様に旅の好きな人たちで、弟と私は両親に連れられて世界中あちこちに行きました。バリでのことですが、そのころ私はマーシャルアーツ(格闘技)を習っていて、他にも何か取り組めるものがないかと探していました。そんな中、ヨガのクラスを見つけたんです。2時間のプラクティスで椅子やロープを使っていろいろなポーズをして、チャンティングし、お茶も飲みました。その時の体験で、私はすっかりヨガに魅了されてしまいました。すごく関心が高まって、繰り返しヨガをするようになり、勉強もたくさんしました。そうして、とうとう教える側にもなったという感じです。

RIKA:15歳のその時から現在に至るまでの長い期間、あなたがヨガを継続できた理由は何ですか?

Claudine:「自由」ですね。

RIKA:「自由」。とても興味深いです。どういうことか、もう少し詳しく聞かせていただけますか?

Claudine:ヨガをすると「私は自由だ」という感覚を、体で感じ取ることができるんですよね。「自由である」という感覚は、私に安らぎを与えます。この安らぎは、言い表すなら「HOME(ホーム)」という感覚。この「HOME(ホーム)」という感覚も、もうひとつのキーワードですね。世界のどこへ行っても、ヨガをする空間で私は「HOME(ホーム)」を感じることができる。それがたとえ初めての場所であっても、です。

RIKA:なるほど。つまり、あなたにとって「HOME(ホーム)」は自分の内側にある、ということでしょうか。体がどこにあろうとも、ヨガをする時あなたは「HOME(ホーム)」を感じ、平穏を感じることができるのですね。

言葉はギフトである

RIKA:あなたは25年前にヨガを始めて、素敵なパートナーHonzaさんと出会い、現在は2人のお子さんの母親でもあります。Honzaさんのご出身はどちらですか?

Claudine:チェコ共和国です。

RIKA:あなたご自身の出身は?

Claudine:私はもともとはニューヨークの出身です。

RIKA:あなたはフランス語も話せますよね?

Claudine:私の母がフランス領カリブの出身です。私が育った家庭では、フランス語だけで会話していました。言語はギフトだと感じているので、今、私から子どもたちにこのギフトを渡しているところです。というのも、今私たちは、故郷から遠く離れたオーストラリアに暮らしているから。故郷から遠い場所で暮らしているときこそ、何かしら自分たちのルーツや伝統に触れるということが、私たちにとってとても大事だと思うからです。

RIKA:とてもいいお話ですね。私にも2歳の息子がいます。私は日本人で、アメリカで暮らしているのですが、息子にも日本語を教えようとしても簡単なことではないなと感じています。挑戦の日々です(笑)。

Claudine:それは私にとっても同じ。簡単ではないですね。夫もフランス語を話さず、家族のなかでフランス語を話すのは私だけ。オーストラリアではまだフランス語のコミュニティには出会えていないし親戚もいないので、何度も自分に「フランス語、フランス語」と呪文のように言い聞かせながら生活しています。あとは、フランス語と英語が会話のなかでミックスしてしまうことも。自然とこうなってしまうのですが…意識して、フランス語に直すように努力をしていますね。

RIKA:共感します。

Claudine:だから、RIKAさんも、思い起こしながらになってもいいから、ぜひ日本語を使い続けてみてください。子どもたちはたくさんのファイルを頭の中に持っていて、多くのことを同時に覚えていくことができるんです。学んだ様々なものごとを応用し、吸収していく能力には目覚ましいものがありますから。だから、私は英語が出てこないということがあるたびに、気を楽にしてフランス語に戻して話すようにしているんです。

ヨガと子育て

RIKA:せっかく私たちは小さい子のいる親なので、子育て中のヨギに充てた質問をさせて下さい。子育てで意識していることはありますか?

Claudine:子育てについては、ヨガと同様、「呼吸すること・呼吸ができるということ」を大事にしています。ちょっと時間をとって、息をして、止まる、ポーズする。自分の周りで何が起きているのか観察し、「反応(react)」することなしに「応答(respond)」をする…という具合です。

RIKA:それはつまり、自分の中に「スペースを作る」ということでしょうか。

Claudine:そうです。子どもにはたくさんの大きな、混乱した感情があります。だから、自分の周りで何が起きているかを見るのは当然のことですが、まずは自分の感覚に意識を戻し、呼吸に集中し、 少しゆっくりした行動を心がけるのです。

RIKA:100%同意します。私がヨガを通じて得たいちばんのものは、「私の思考」と「私の反応」の間にスペースを作り出すこと(creating a space)です。そして、これは子育てに応用できるんですよね。けれど、私たちはこういったことを知っているにも関わらず、ときにプツンと切れてしまう瞬間があったりしますよね。ある親御さんは「昨日の夜は、もう本当に息子にかわいそうなことをしてしまった。悪いと思っている」「昨日こんなことをしてしまった」など話してくれたりします。

Claudine:ええ、あります。私たちは人間で、人間誰しも冷静さを失ってしまうのはよくあること。たとえ偉大なヨギーだとしてもです。子育てをしていて、家族と暮らしているなら、「試される瞬間」というのは訪れるものだと思います。

子育てでイライラしてしてしまう時の対処法

RIKA:子育て中の親御さんに、何かアドバイスしたいことはありますか?

Claudine:小さい子供でもたくさんのことを理解できます。だから、自分の人間臭さを見せてあげたいと思っています。例えば、親から子供へ一方的に何かを言うのではなく、子供の目線に合わせて、「ごめんなさい」を言う、といった感じ。「ママは、落ち着いていられなくなってしまったの。なぜかと言うと~〜だったから」とか「あなたが〜~をしたことで、私は傷ついてイライラしてしまったの」というふうに、自分に起きた感情や行動のすべてを語るようにしています。そうすることで、自分自身も感情的に納得がいき、落ち着いてくるからです。謙虚になって、子どもたちに「親もまた、あらゆる感情を持ったひとりの人間なのだ」ということを見せていく。そうすることで、サマスカラ(clear the energy)と同じで、良くないエネルギーをきれいに流し、解決して、前に進むことができると考えています。

RIKA:子どもをひとりの人間として尊重するというでしょうか。子どもは親の所有物ではなく、いち人間である、と。 そして私たちがよく話す「We are not human beings having a spiritual experience, We are spiritual beings having a human experience」(訳文:人間としての存在がスピリチュアルな経験をしているのではなく、スピリチュアルな存在の私たちが人間の経験をしている)を尊重するみたいな?

Claudine:ええ、そうです。子育てに関して、私は「やり直し」 の時間を設けるようにしています。なにかうまくいかないことがあるとき――よくあるのは5歳の娘との間でですが――彼女も以前よりいろんなことが分かるようになってきて、その分私との間でぶつかることが増えました。やり取りをしていて、お互いがイライラしてきたとします。私があるところで「よし、いったん言い争いをやめにしましょう。ひと息つきましょう」と悪いサイクルを断ち切って、また言い争いになる前のシナリオにまた戻って「やり直し」をするんです。「私はあなたをプリスクールへ送る、私はあなたに今日一日楽しく過ごしてほしいし、私も今日をいい一日にしたい。だから、どう? 私があなたにいろいろ言ったりするかわりに他のことをしない? 門のところまでスキップして行きましょう」というように「何か他のことをしよう」と言うんです。エネルギーの向かう先を変えるわけです。

RIKA:それはとてもいいですね。つまり、あなたはいつも、どんなエネルギーを自分が抱いているのかを意識しているということですね。

Claudine:そうです。

RIKA:深いですね。母親になったばかりの人、そしてヨガも始めたばかりという人たちも、まだまだ自分自身を捉えることができない段階にいると思うのですが、彼女たちは何から始めるのが良いでしょうか。

Claudine:ちょっとむずかしい質問ですが…母親になりたての人もそうではないどんな人でも使える、もっとも手っ取り早いエネルギーの向きの変え方は「心臓の上に手を置く」ということです。ただ、心臓に手を置くだけでいい。娘のソフィーは5歳ですが、彼女がイライラした時「ソフィー、心臓の上に手を置いてみて。今は鼓動が早くなっていると思う。それをゆっくりすることができたでしょう。これを使うの」と言ってみたんです。

RIKA:それはいいですね。

Claudine:私たちは誰しも触覚を通じて理解できます。人間は触れた感覚に集中することができるんです。だから触れてみて、注意を自分に向けることで自分の状態を簡単にチェックできる。自分の反応がわかる。ほら、触れていれば、たった今でも分かることがありますよ。こうやって一度吸って吐いて呼吸をすると、鼓動が落ち着いてくるんだな、時間が経つとゆっくりになるんだな、あ、鳥がさえずっているな、って。すると少しリラックスできます。そうすれば、また違ったふうに問題に取り組めるのです。

RIKA:実にいいですね。五感を使って自分の意識に変化を与える簡単で手っ取り早い方法、きっと読者の方にも良い影響があるのではないかなと思います。

*インタビュー後編に続きます!

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Translated by Mika Hosoya

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RIKA KELLY

RIKA KELLY

ビバリーヒルズを中心にプライベートセッションを行うヨガインストラクター。クライアントの幅はハリウッドセレブからプロダンサー、妊婦からお年寄りまで多岐に渡り、クライアントの心と体に寄り添った指導に定評がある。◆ヨガジャーナルオンライン公認インストラクターとして、日曜朝9時〜10時ZOOMでのオンラインレッスン「継続できるボディメイクヨガ」を開催中。運動が苦手でも、ヨガ初心者でも、楽しく気持ちよく汗をかけて続けられると好評。



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