子どもが自分の感情をコントロールできるようになるために親ができること【前編】

 子どもが自分の感情をコントロールできるようになるために親ができること【前編】
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石上友梨
石上友梨
2021-10-13

子どもの感情に振り回されていませんか?「イライラが収まらない子」「すぐに大泣きしてしまう子」など、子どもらしい素直な感情だとしても、毎日の子育てとなると疲れを感じる方は多いでしょう。子どもに「自分の感情は自分でコントロールできる子になって欲しい」と願うことは当たり前のことです。しかし、実際にはどうやったら子どもの感情は発達し、自分で自分を癒し、律することができるようになるのでしょうか。2回に渡って、子どもが感情コントロールできるようになるために親ができることを紹介していきます。

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感情は周囲との関わりによって成長する

感情はどうやって育つのでしょうか。私たちは生まれた瞬間から大人と同じような豊かな感情を持っているわけではありません。私たちの感情は周囲との関わりによって成長していくものです。そして、感情が育つためには、「安心」「安全」が大切です。それは、「安心」「安全」という言葉を頭で理解していることではなく、身体で感じていることです。「安心」「安全」は、感情の発達だけではなく、心身や他者との関係性の発達においても土台となります。そのために、幼少期に養育者は子供を抱っこしたり、ヨシヨシしたり、暖かい言葉をかけて心身ともに安心させることが大切なのです。そして、子供は生活の中で「嬉しい」場面、「悲しい」場面、「悔しい」場面など、さまざまな体験をします。その際に、周囲の大人が「嬉しいね」「悲しいね」「悔しいね」と共感を示します。子供が感じている感情を推測して言葉にしてあげることで、感情を示す「ことば」と「胸が温かくなる」「身体が重くなる」「頭がかっと熱くなる」といった身体で感じている感覚が繋がるのです。つまり、感情が発達するためには、周囲とのコミュニケーションが大切なのです。

子供の感情コントロールには親の共感が重要になる

「悲しい」という感情を感じた時に幼い子供は泣いて発散しようとするでしょう。そこで「泣いちゃダメ」とだけ伝えた場合はどうなるのでしょうか。もしかしたら泣くことを我慢するかもしれませんね。そして、「悲しい」という気持ち自体「良くないこと」「我慢すること」と感じるかもしれません。我慢することは一見感情をコントロールしているかのように見えますが、実は違います。感情が癒されることはなく、否定されたり抑え込まれた感情は長く続き、蓄積されます。一時的に我慢できても、溜まって爆発してしまったり、身体症状や不適切な行動など、違った形で表出されるかもしれません。

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石上友梨

石上友梨

大学・大学院と心理学を学び、心理職公務員として経験を積む中で、身体にもアプローチする方法を取り入れたいと思い、ヨガや瞑想を学ぶため留学。帰国後は、医療機関、教育機関等で発達障害や愛着障害の方を中心に認知行動療法やスキーマ療法等のカウンセリングを行いながら、マインドフルネスやヨガクラスの主催、ライターとして活動している。著書に『仕事・人間関係がラクになる「生きづらさの根っこ」の癒し方: セルフ・コンパッション42のワーク』(大和出版)がある。



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