泣いている子供にどんな声をかける?子供とのコミュニケーションにおいて大切なこと|臨床心理士が解説

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泣いている子供にどんな声をかける?子供とのコミュニケーションにおいて大切なこと|臨床心理士が解説

石上友梨
石上友梨
2021-08-15

「心の専門家」である臨床心理士が、子供とのコミュニケーションにおいて大事なことを解説します。

コミュニケーション力は、私たちの生活に欠かせないものです。私たちは、1人では生きていけず、他者と協力し合って生きています。しかし、私たちはコミュニケーションについて具体的に学ぶ機会が少ないまま大人になります。そして、コミュニケーション力は対人関係に影響を与えるだけではなく、親になった際は、子供の発達にも影響を与えます。今回は、子どもとのコミュニケーションについてお伝えしていきます。

相手の感情を否定しない

相手の感情や想いは、相手の自由です。それは相手が大人だろうが、子どもだろうが関係ありません。しかし、私たちは気づかないうちにそれを否定してしまうことがあります。例えば、子どもが転んで泣いている時に、親が「痛くない!」と言っているシーンを見たことがありませんか?また、職場で悩んでいる部下に対して、「そんな辛いことじゃないよ。よくあることだよ。慣れなきゃ」なんて声掛けはどうでしょうか。励ますつもりでも、相手の感情を否定してしまうと、その人の気持ちは癒えずにもっと辛くなるかもしれません。特に相手が幼い子供の場合は、まだ理性的な判断ができないので、親からの言葉をそのまま受け止めてしまいます。転んで痛みを感じている時に、「痛くない」と否定されてしまうと、痛いという身体の感覚と矛盾した「痛くない」という情報によって脳が混乱します。このような関わりが続くこと、身体の感覚を抑え込んだり、切り離したりするリスクがあるでしょう。私たちは、特にネガティブな感情や想いを「なかったことにする」「否定する」という関わりをしてしまいがちです。しかし、どのような感情を感じようが個人の自由です。発達に応じて、外に表出する行動はコントロールする必要性がありますが、心の中で感じる感情は自由であると、感情と行動を分けて考えて、これからは全ての感情は否定せず、共感しましょう。

自分の感情をi(アイ)メッセージで伝える

i(アイ)メッセージとは、自分を主語にしたメッセージのことです。相手に何かをお願いをする時に、あなた自身の感情や想いを、i(アイ)メッセージではなく、相手を主語にしたメッセージで伝えていませんか?例えば、子どもが騒いでいる時に、「うるさいから、静かにしなさい」と伝える場合などです。静かにする人は相手なのでi(アイ)メッセージではありません。相手を主語にしたメッセージは「命令された」「否定された」と受け止められやすく、相手に良い気分を与えない上に、繰り返されることで親子関係にも影響を与えることがあります。i(アイ)メッセージをする場合は、例えば「疲れているから、静かにしてくれると助かる」などでしょうか。助かるのは自分なので、i(アイ)メッセージになります。

また、あなたの要求をあたかも相手が望んでいるかのように伝えてしまうことはありませんか?例えば、自分が疲れているから休憩をしたい時に、「(あなたが)疲れてるなら休もうか?」と聞くことです。自分が本当に疲れていて休みたい時に、まるで相手が望んでいるかのように尋ねた上で、相手が「いいや、大丈夫だよ」と断った場合、自分の要求を断られたと感じてイライラするかもしれません。しかし、相手は「休まなくて大丈夫」と相手の想いを伝えたに過ぎません。もしもこのようなやり取りの中で、「なんだか分かってもらえない」「大切にされていない」と感じるのなら、それは相手の気遣いの問題よりも、あなたのコミュニケーションスタイルが要因かもしれませんね。あなたが、自分の想いを相手の想いにすり替えて伝えてしまっているため、あなたの想いがまっすぐに相手に伝わらず、相手はあなたの想いをしっかりと受け止めたり、理解できなくなったりしているのです。この場面で「(私は)疲れたから休憩したい。あなたはどう?」と聞いていれば、ややこしいことにならなかったでしょう。自分の要求や感情は、自分を主語にしたi(アイ)メッセージで伝えましょう。

大人がこのようなコミュニケーションスタイルを子どもに繰り返すことで、子どもの自他の境界線は育たずにあやふやになってしまいます。境界線があやふやになることで、自分の視点から他者の想いを想像してしまったり、他者の気持ちの影響を受けやすくなってしまったりします。人の気持ちが分からない子、気持ちが不安定になりやすい子になってしまうかもしれませんね。もちろん、子どもだけではなく、大人が相手の時も気をつけてみてください。

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石上友梨

石上友梨

大学・大学院と心理学を学び、心理職公務員として経験を積む中で、身体にもアプローチする方法を取り入れたいと思い、ヨガや瞑想を学ぶため留学。帰国後は、医療機関、教育機関等で発達障害や愛着障害の方を中心に認知行動療法やスキーマ療法等のカウンセリングを行いながら、マインドフルネスやヨガクラスの主催、ライターとして活動している。

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