【アーユルヴェーダから見た妊活ヒント】肉体年齢を若返らせて、妊娠しやすい体を作るケアとは?
先日、高度不妊治療を行うクリニックで働いていた元助産師で婚活や妊活のサポートをされている方と対談をしました。そこで、アーユルヴェーダから見た妊活についてお話し、現代医学の考え方と通ずる部分も多く、非常に面白い話ができたのでその内容を少しシェアしたいと思います。
アーユルヴェーダから見た妊活
アーユルヴェーダとは、日本ではエステのマッサージのイメージがありますが、インド・スリランカ発祥の5000年以上の歴史を持つ伝統医学です。マッサージも治療の一環で、他にも薬草を使ったり、食事法やライフスタイルの改善で不調を治す、どちらかというと漢方や食養生に近いものです。そんなアーユルヴェーダでは、妊活はどのように行うのでしょうか?
日本では、アーユルヴェーダ=医学のイメージがないので、アーユルヴェーダで不妊治療というと驚かれることもあるのですが、実は、海外ではアーユルヴェーダの不妊治療はけっこう行われています。まず、アーユルヴェーダは8つの専門分野に分かれているのですが、妊活はそのうちの3つに関わります。8つ専門分野とは、以下の通りです。
① 内科
② 小児科
③ 感染症、スピリチュアルの治療
④ 耳鼻科、歯科、眼科
⑤ 外科
⑥ 毒物科
⑦ 若返り科
⑧ 強壮科
この中で妊活に関わるのは、②の小児科、⑦の若返り科、⑧の強壮科です。
なぜ、妊活に小児科が関係しているかというと、アーユルヴェーダでは、小児科は子供の治療だけでなく、生まれてくる子供の健康からケアをスタートするからです。そのため、妊娠前〜中のお母さんのケアも小児科の範囲に含まれます。子供の健康は、お母さんの精神状態や血液やホルモンのバランスに影響を受けますから、納得ですよね。そして、若返り科は、母親と父親の体が、若々しく元気にするために必要です。
強壮科とは、主に男性の不妊治療を扱います。勃起の問題や、精子に問題がある時に、それを正常にするための治療が行われます。
妊娠率を左右する「若さ」とは?
先ほど、アーユルヴェーダの妊活で「若返り科」のケアが重要になることをお伝えしたのですが、実はこれは現代医学的にも共通することです。というのも、あくまでデータ上ですが、妊娠率は若さによって左右されるからです。
例えば「子供が欲しいなら、少なくとも何歳に妊活を始めるべきか」を示したデータによると、確実に子供が欲しい場合は、自然妊娠なら32歳から、体外受精もOKなら35歳から、妊活をスタートしなければいけないというデータが出ています。
そして、この妊娠率は毎年、年齢とともにどんどん下がっていきます。特に35歳以降から妊娠率が毎年明らかに下がり始めるので、35歳が曲がり角と言われています。ただ、ここで誤解しないでいただきたいのが、これはあくまで統計データの話で、妊娠は肉体年齢や卵子の質、環境など、個人差で大きく左右されるものなので、「私は〜歳だから大丈夫」とか「私は〜歳だからヤバイ」とか、そういう話ではないということです。あくまで、このデータから言えることは「確実に妊娠したいなら、早いほうがリスクが少ない」というだけです。
さて、ここでアーユルヴェーダに話を戻しますが、アーユルヴェーダでも、妊娠率に関していうと、若い方が良いと考えられます。その理由は、加齢によるドーシャの変化にあります。アーユルヴェーダでは、ドーシャと呼ばれる体内に流れる生命エネルギーを整えることで治療を行います。
このドーシャには、ワータ(風)、ピッタ(火)、カパ(水&土)の3種類があり、その割合は年齢とともに増減します。幼少期〜18歳くらいまでは、成長期なので体の成長を促すカパ(水&土)エネルギーが優勢で、他のドーシャはそこまで強くありません。
しかし、ホルモン分泌に関係しているピッタ(火)のエネルギーが、第二次性徴が始まる12歳くらいから徐々に体内で増加し、18歳〜40歳にピークに達します。これはどういうことかというと、体が成熟して子供を産みやすい状態になるのが18〜40歳ということです。逆に18歳以下は、まだ成長期で、体が準備をしている段階なので、妊娠が望ましくないと考えられます。そして、40歳以上になると、徐々にこのピッタ(火)エネルギーが減少し始め、代わりにワータ(風)エネルギーがどんどん増加していきます。
ワータの作用の1つに、細胞を痩せさせ、乾燥させるという作用があるのですが、それにより肉体は痩せ、精子や卵子も少なく、元気が無くなってきます。そのため、アーユルヴェーダでは40歳以降に妊娠を望む場合は、若返り科の治療など、アーユルヴェーダ的な不妊治療の助けを借りることが望ましいと考えます。
つまり、現代的にもアーユルヴェーダ的にも、「若さ」というのは妊娠確率を高めるために重要であるということです。しかし、ここで強調したいのは、この若さとは、実年齢ではなく、肉体年齢、あるいは細胞年齢ということです。だからこそ、アーユルヴェーダの治療では若返りの治療を行うことで、その人の妊娠確率を上げることができると考えます。そのため、重要なのは、今何歳か、ではなく、その人の肉体年齢が若々しいか、ということなのです。
肉体年齢を若くする方法
では、この肉体年齢を若くする方法を、最後に見ていきたいと思います。その答えは簡単で、肉体年齢を老化させる原因をなくすことがまずやるべきことです。老化の原因は様々ですが、一つの要因が、先ほども出てきたワータ(風)エネルギーの増加です。
ワータのエネルギーは誰でも加齢とともに増加し、40歳以降は特に多くなるものなのですが、40歳になる前でも、ワータを増加させるようなライフスタイルを送っている人は当然、体内のワータエネルギーが増えます。
ワータの増加要因の主なものは下記の通りです。
1睡眠不足
2栄養不足
3ストレス、考えすぎ
4乾燥した食べ物を多く食べること
1番目の睡眠不足と、3番目のストレスは、現代医学的にも妊娠の大きな妨げになるものです。なぜなら、排卵のリズムを作ったり、子宮内膜をコントロールするホルモンは、脳の下垂体という部分から出ており、脳にストレスがかかることは、このホルモンのバランスを崩すことに繋がるからです。仕事が忙しい時に生理不順になったり、ストレスを強く感じている時に、生理痛が重くなった経験がないでしょうか? それは、脳へのストレスが性ホルモンの分泌に影響を与えたためです。ですので、妊活においては、リラックスする時間を長く取ったり、あまり妊活に対してナーバスにならずに、気楽にいることを心がけることが必要です。
また2番目の栄養不足ですが、当然、赤ちゃんを育むには十分な栄養と、正常な代謝をしている体が必要ですから、何を食べるか、ちゃんと消化しているかなどが鍵になってきます。
そして、4番目の乾燥した食べ物は、ワータエネルギーの悪化要因になります。具体的にはパンやシリアル、クッキーなど、乾燥した食べ物は避けた方が良いです。
いかがでしたでしょうか。妊活については、まだまだたくさんのお話があるのですが、今回は一部をご紹介しました。現代医学と、伝統医学、自然療法のいいとこ取りをして、自分が健康になりながら妊娠の準備ができると一番良いと思います。
AUTHOR
アカリ・リッピ―
アーユルヴェーダ著者・セラピスト。本場スリランカでアーユルヴェーダ医師のもと修行。帰国後、1万人の体質改善コンサルをしながら講座で実践的なアーユルヴェーダを指導。著書「アーユルヴェーダが教える、せかいいち心地よいこころとからだの磨き方」 (三笠書房)5刷。都内でサロン経営。大手企業の営業マンだった時の経験を活かし、「忙しい人でも無理なくできる」現代的なアーユルヴェーダを発信。
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