妊娠する力をバックアップする「快眠のヒント」|不妊で悩む女性のためのヨガとセルフケア#8
今日本では結婚したカップルのうち3組に1組が「不妊かな?」と心配し、2019年は14人にひとりの赤ちゃんが体外受精によって産まれました。2022年春から不妊治療が保険適用となることで治療へ踏み込む人が増えると予想される一方で治療ばかりが先行し、心のケアは十分ではないところが課題です。 この連載では、不妊体験者を支援するNPO法人Fineスタッフ、また妊活ヨガセラピストとして活動するわたなべまさよさんが、妊活・不妊治療中のセルフケアについて連載形式で綴っていきます。
よく眠れない状態が続くと…どんな不調が起きる?
朝起きたときに前日の疲れが残っていない というのがよく眠れている状態ですが、皆さんはいかがですか?よく眠れているかどうか、これは妊娠にも深い関係があります。
不妊で悩む人の中でも眠れなくて困っている人も多く、こんな相談を受けています。
- 眠れなくて焦るとさらに眠れなくなる
- 朝早くに目が覚めてしまう
- 眠りが浅い
これはストレスにも関係しています。国立成育医療センターの調査では、「体外受精などの高度不妊治療を受ける女性の約半数が治療開始初期の段階で、すでに軽度以上の抑うつ症状があり、不安の高まりや QOL の低下が見られる」という調査報告が出ています。
ただでさえストレスを抱えやすい時期に加え、コロナ禍で不妊治療を休むか続けるかなどのお悩みも増えています。また、日常の運動の機会が減ったこと、人との会話や仕事のツールがパソコンやスマホに替わり、目や頭を使うことが増えたことも眠れない要因になっています。
よく眠れない状態が続くと感情に影響が出てしまいます。例を挙げると……
- ・気分が沈む
- ・効率的ではないことに執着する
- ・自己肯定感が低くなる
- ・視野が狭くなる
それでは、寝ている間に体の中ではどんなことが行われているのでしょうか。
- l 脳・体の疲労回復
- l ストレス発散
- l 血液の再生
- l 新陳代謝
- l アンチエイジング
- l ホルモン分泌
どれも妊活に直結する項目なので、できるだけ良い状態に近づけていきたいですね。別の記事【妊娠と脳の関係】女性ホルモンのために脳を休めようでも解説しています。
また、深く眠れている時間帯にホルモンが分泌されます。全体の睡眠のうちの前半に訪れますので、この時間帯にどれだけ深く眠れるか、というのがポイントになってきます。
快眠のためのチェック項目
それではどうしたら睡眠のお悩みを改善し、すっきりした気分で朝を迎えられるようになるのでしょうか。実は、その日の眠りを良質にするためには夜だけではなく、朝起きてから一日のスケジュールで変わります。ご自身の行動パターンで見直せるところがないかチェックしてみてくださいね。
- ☑ 朝:光を浴びる
- ☑ 日中:じんわり汗ばむ程度の運動(15分~30分)
- ☑ 日中:お昼寝(15分~20分までにとどめ、夕方以降の仮眠は控える)
- ☑ 夕方まで:カフェイン ※15時以降は控える
- ☑ 夜:明るい光を浴びたり見ない、寝室にスマホを持ち込まない
- ☑ 夜:お風呂は寝る90分前に入る ※首の後ろにシャワーを当てたり、やさしくマッサージして温める
- ☑ 夜:心地いい呼吸をしながら軽いストレッチなどで体をゆるめる ※神経を沈静化し自律神経を整える
- ☑ 夜:お布団に入るときに靴下は脱ぐ・電気毛布はスイッチをOFFに
目が覚める前から体温は上がり、夕方が最も高く夜はクールダウンして脳が休息に向かって眠りに入るように体はできています。お風呂に入ってポカポカの状態で寝るより、ある程度クールダウンした状態がおすすめです。
おやすみ前にほんの数分でも心地いい呼吸で気持ち落ち着かせましょう。アイピローやハンドタオルを目かおでこの上に置いたり、ベッドルームにお気に入りのアロマを芳香させるのもおすすめです。呼吸に意識が向かうと体の中のイメージがしやすくなります。お腹の上に手を置いて温もりを感じてみてください。
まとめ
- ・睡眠の質の低下は感情にも影響する
- ・朝の行動パターンからその日の睡眠の質が決まっていく
- ・ぐっすり眠れることで赤ちゃんを迎えやすい状態に改善できる
その日の眠りの状態が分かる無料の睡眠アプリなどもあります。できるところから無理なく自分に合った方法を見つけてくださいね。
AUTHOR
わたなべまさよ
不妊ピアカウンセラー・ヨガ講師・不妊体験者を支援するNPO法人Fineスタッフ。長期の不妊治療で体と心のバランスを崩したときに毎日実践したヨガで回復。その後妊活をサポートする側にシフトし、自治体、病院などで妊活講座の講師やヨガとカウンセリングを併用したヨガセラピーを行っている。
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