子宮への血流を左右する「骨盤底筋」を引き締めるワーク|不妊で悩む女性のためのヨガとセルフケア#6
今日本では結婚したカップルのうち3組に1組が「不妊かな?」と心配し、2019年は14人にひとりの赤ちゃんが体外受精によって産まれました。2022年春から不妊治療が保険適用となることで治療へ踏み込む人が増えると予想される一方で治療ばかりが先行し、心のケアは十分ではないところが課題です。 この連載では、不妊体験者を支援するNPO法人Fineスタッフ、また妊活ヨガセラピストとして活動するわたなべまさよさんが、妊活・不妊治療中のセルフケアについて連載形式で綴っていきます。
不妊治療をバックアップ!自分で行う骨盤底筋のひきしめ
今回のテーマは、骨盤の底辺にある筋肉「骨盤底筋」についてお伝えしていきます。骨盤底筋は女性の生涯を通して大切な筋肉の集合体です。自転車にまたがるサドルの部分をイメージしてみてください。ここのひきしめのコツがつかめてくると、お腹の内側から温くなり、冷えの緩和になります。妊娠してからも赤ちゃんがいる子宮への血流量を上げたり、出産時のダメージによる産後のマイナートラブルも軽減したりしますので、今から意識を向けていきましょう。
骨盤底筋とは?
骨盤底の筋肉は体幹(インナーユニット)の底の部分、いくつかの筋肉の集合体で、ハンモックのように臓器(膀胱・子宮・直腸など)を支えています。
年齢による筋力の低下や筋肉を使わない生活を続けているうちに、臓器の重さに耐えられなくなってしまってマイナートラブル引き起こします。
女性ホルモンが低下してくる40代以降トラブルが増える傾向ですが、便利になった日本の生活様式も大きく影響しています。畳の生活から洋室に、トイレは和式から洋式に、寝る時も布団ではなくベッドに変化して「しゃがむ」ことが圧倒的に減りました。
コロナ禍では買い物もネットで……となると、日常生活としての運動の機会も限られ、筋力が落ちて骨盤の内側もうっ血(古い血が停滞)しているかもしれません。
骨盤底筋は、感じることがむずかしいエリアで、トレーニングしても大きくなったり厚くなるわけでもなく、筋肉痛にもなならないため、自分で変化を感じにくい筋肉です。ですので、意識したりイメージしたりということがポイントになってきますので、まずはひきしめる感覚をマスターすることを目標にして地道にトライしていきましょう。
骨盤底筋をひきしめるといい理由
- ・子宮への血流量がアップし、骨盤の内側が循環
- ・筋肉を使うことでお腹の内側から熱を生み、冷えの改善に
- ・腸のマッサージによる便秘の解消、デトックス効果
- ・腰痛の予防・緩和
- ・骨盤のゆがみの予防・緩和
- ・姿勢がよくなる
- ・尿もれ・臓器脱の予防・緩和
- ・呼吸が深まり気持ちが落ち着く
「骨盤がゆがむ」と聞いたことがあるかもしれませんが、骨盤自体がゆがむのではなくて、普段ののちょっとした姿勢のくせや同じ体勢が続くと同じ筋肉ばかりが使われるため、筋肉のバランスが均等にならないことで骨盤が引きつり、傾いてしまいます。内臓の位置、機能にも影響してしまいますが、この骨盤底筋をトレーニングすることで姿勢が改善され、骨盤ゆがみを調整することができます。
骨盤底筋トレーニングにおすすめのワーク
※月経中経血の多いときはお休みしましょう
やり方
①膝立ちになり、腰を立たせる。お腹をひきしめ、背筋を伸ばす。
息を吸いながら腰を右にスライド。
吐きながら左にスライド[何度か繰り返す]
② 横にスライドしたところでキープ。同じ方向を向いて5回~7回 深呼吸。吸う息で背筋を伸ばして胸を張る。吐く息で太ももを寄せ、骨盤底筋をみぞおちに引き上げるイメージ。反対側も同様に。
動画で確認したい方はこちら
骨盤底筋を意識して行いましょう。ただ、最初から意識できる方は少ないので心配しなくて大丈夫です。続けていくうちにだんだん感覚を掴めてくる方が多いです。毎日ほんの少しの時間で構いませんので、意識を向けること、イメージすることが大切です。
くしゃみをしたとき、ジャンプをしたとき、冷えてしまったとき、あ!っと思う方(意外と多いのですが、皆さん内緒にしています)は特に意識していきましょう。
寒い時期、カイロなど外側からお腹をあたためるのもひとつの方法ですが、お腹の内側から温められられる骨盤底筋のひきしめをよかったら取り入れてみてくださいね。
AUTHOR
わたなべまさよ
不妊ピアカウンセラー・ヨガ講師・不妊体験者を支援するNPO法人Fineスタッフ。長期の不妊治療で体と心のバランスを崩したときに毎日実践したヨガで回復。その後妊活をサポートする側にシフトし、自治体、病院などで妊活講座の講師やヨガとカウンセリングを併用したヨガセラピーを行っている。
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