心身をリカバリーする「月経期」の過ごし方|不妊で悩む女性のためのヨガとセルフケア#3
今日本では結婚したカップルのうち3組に1組が「不妊かな?」と心配し、2019年は14人にひとりの赤ちゃんが体外受精によって産まれました。2022年春から不妊治療が保険適用となることで治療へ踏み込む人が増えると予想される一方で治療ばかりが先行し、心のケアは十分ではないところが課題です。 この連載では、不妊体験者を支援するNPO法人Fineスタッフ、また妊活ヨガセラピストとして活動するわたなべまさよさんが、妊活・不妊治療中のセルフケアについて連載形式で綴っていきます。
「月経期」は心身のリカバリー期
赤ちゃんを心待ちにしている人にとって、生理がきた瞬間は想像上の赤ちゃんとのお別れを意味し、とてもショックな瞬間です。不妊治療は「感情のジェットコースター」と例えられるように、期待と落胆で心は常に揺さぶられ続けます。どんなに努力しても結果は比例するとは限らなくて現実をただ受け入れるしかありません。
「ネガティブになっていると赤ちゃんはやってこない」という考え方を信じている人は意外と多いなと相談を受けて感じています。でも、最善を尽くしたのだとしたら落ち込んで当然ですよね。そして落ち込むことは決して悪いことではないのです。
気持ちに蓋をして前向きになろうとすると、傷ついた思いはどんどん心の中に溜まってしまい、いつしか爆発してしまうかもしれません。落ち込むときはしっかり落ち込む。これが心にとってはとても大切な時間です。また、健康だと信じていた自分の体が、思うようにコントロールできなくて信頼を失ってしまうかもしれません。数値や医師からの言葉によって体に対して嫌悪感を抱く人もいます。
でも、子宮も卵巣もあなたと同じだけがんばっています。焦る気持ちも自然な感情ですが、先を急いで気持ちを切り替えたり無理に前向きになるのではなく、前の周期に何とか保ってきた心身の緊張を解きほぐし、回復するための数日間にしましょう。
「月経期」の過ごし方
月経とは、赤ちゃんが居心地いいベッドにするために厚くなった子宮内膜が、妊娠にいたらなかった場合にはがれ落ち、経血として排出されることです。
【月経期の心身への影響】
・女性ホルモン(エストロゲン・プロゲステロン)双方の分泌量が最も少なくなる
・体温・免疫力・消化力・血流の低下
・体全体が敏感
・気分が落ち込みやすい
・直感が冴える
心が疲れると感じるのは、女性ホルモン分泌量低下による影響も大きいのです。
【月経期おすすめの過ごし方】※経血の多い3日目位まで
・悲しむことを我慢せず、落ち込むときはしっかり落ち込む
・目・脳を休める(パソコンやスマホは最低限に)
・用事がなければ家にこもる(ファミリーや妊娠関連が目に入ると気持ちが刺激される)
・骨盤周りを冷やさないよう、お腹やお尻に湯たんぽを乗せてゆったり過ごす
・ゆっくりお風呂につかる
・お気に入りのアロマオイルで芳香、沐浴
・自分を甘やかす(控えたりガマンしていたことをする)
・ウォーキングなどの軽めな運動
・座ったり寝転んだままできるリラックス系のヨガ(ダウンドッグなど心臓より腰が高くなるポーズは経血逆流のためNG!)
・目を閉じて自分の内側に目を向ける
体本来のリズムにあらがわず、スローダウンして過ごせるといいですね。
昂った神経を落ち着かせよう
やわらかい道具にサポートされた心身を委ねるポーズ「輝く黄金の子宮」をやってみましょう。
用意するもの
- ボルスター(なければクッションや枕をいくつか)に体を委ねて体と心を開放します
- ブロック(なければクッションを重ねて傾斜をつけます)
- アイピローかハンドタオル(目やおでこに少しの圧をかけると神経が沈静化されます)
- バスタオルやタオルをいくつか(首の下や肘太ももから膝にかけて隙間を埋めるとよりリラックスできます)
靴下を履いたりブランケットをかけてあたたかくします。目の上にアイピローやハンドタオルを置くと神経が沈静化しますが、不安の強いときはおでこに乗せるといいでしょう。
頭の中が静かになるまでゆったりと深呼吸を続けます。どんな感覚になっているか体を感じたり、ゆるんでいく過程を観察したり、グッスリ眠ります。
最初は緊張してリラックスができないと感じても、何度か続けると体をゆるめることも上手になっていきますので、焦らなくても大丈夫です。
胸のあたりが広がり呼吸が自然と深まることで次第にリラックスしていきます。
膝を広げて股関節が広がると血流がよくなり、お腹や足もとがポカポカして冷えの改善にもなります。
リセットは心と体の土台づくりと捉え、次の周期に備えて心身にたっぷり栄養を与えてあげましょう。
AUTHOR
わたなべまさよ
不妊ピアカウンセラー・ヨガ講師・不妊体験者を支援するNPO法人Fineスタッフ。長期の不妊治療で体と心のバランスを崩したときに毎日実践したヨガで回復。その後妊活をサポートする側にシフトし、自治体、病院などで妊活講座の講師やヨガとカウンセリングを併用したヨガセラピーを行っている。
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