スマホやPCでネガティブな情報を見続けていない? ネット依存を辞めるための4つの対策

 スマホやPCでネガティブな情報を見続けていない? ネット依存を辞めるための4つの対策

スマホから離れよう。

広告

パンデミックの初めに、ドゥームスクローリング(スマホやパソコンを長時間見続け、悪いニュースやネガティブな記事を読む行為)の習慣はピークに達したと思っていたら、2022年を迎えていました。ウクライナで繰り広げられる戦争と人道的危機、アメリカ国内で続く政治的・社会的混乱、新型コロナウィルスに関する終わりの見えない解説や最新情報など、私たちの多くは今でもソーシャルメディアやニュースフィードを無意識にスクロールしていることを実感しているでしょう。そして、ドゥームスクローリングは実際、私たちの精神的な健康に影響を及ぼします。

専門誌「テクノロジー、マインド&ビヘイビア」に掲載されたドゥームスクローリングに関する最近の研究によると、この強迫観念にとらわれたような現象は、最初は無邪気に情報を探すツールであっても、すぐに習慣的で自己強化型パターンに陥り、時間だけでなく喜びをも奪ってしまうとのことです。この研究では、不安、不確実性、神経症、自制心の喪失などが、このような行動に走らせる原因となることが示されています。しかし、ドゥームスクローリングは、やればやるほど不安や恐怖を増幅させ、習慣を断ち切るのが難しくなるサイクルを生み出します。

ソーシャルメディアは、フィードに自然な終わりをもたらさない深淵なもので、抜け出すのが難しいものです。また多くの点で、自分自身が作ったアルゴリズムに翻弄されています。「ドゥームスクローリングは、あなたのフォーカスを狭め、閉じ込められている感覚を高める方法があります」と、テキサス州オースティンを拠点とするRYT-500ヨガティーチャーのコートニー・ハンスさんは言います。「記事や写真をスクロールして、自分の意思に反して拘束されていないことを再認識してください。」。

ドゥームスクローリングの罠に陥らないための4つの方法

自分が主導権を握っていることを意識する

自制心の喪失がドゥームスクローリングにつながるとしたら、スパイラルから抜け出す最も簡単な方法は、「期待値を設定する」ことなのかもしれません。ハンスさんは、ドゥームスクローリングが特に厄介なのは、自らの意思が自分にとって関連性があり、重要な物事へと誘導している、と認識しています。「周りの世界に関心を持つことは悪いことではありません。重要なのは、新しい知識を得て、それを活用できるようになるのはいつなのか?ということです」。

ドゥームスクローリングを最も簡単にきっちり終わらせる方法は、ソーシャルメディアのアプリを使用する前にタイマーをセットすることです。ハンスさんは、さらに一歩進んで、スクロールを始める前に次のようなアファメーションを設定します:「私は必要なものを取り込み、終わったら立ち去ります」。自分の意思を声に出すことで、境界線を作る意識を養うのです。この考え方の線引きは、非所有性の哲学であるアパリグラハ(不貪:貪らない、欲張らないということ)を反映しています。好奇心を大切にしながら、(必要なくなったら)手放すのです。

サーダナ(精神修養)を毎日行うことで、一日を通してコントロールできる感覚を身につけることを目指しましょう。「この小さな変化があなたのフォーカスを変え、達成感を生み、他の練習に弾みをつけるのです」と、ニューヨーク市で運動療法とホリスティック・ウェルネスを行うAligned Wellness NYC(アラインド・ウェルネス・ニューヨークシティ)のオーナー、メリッサ・グリーンさんは言います。犬の散歩中にキルタンを聴いたり、感謝の日記を綴ったり、様々な練習ができます。5〜10分でもそういった時間を設けることで、大きなタスクをより管理しやすいステップに小分けにすることを学び、その経験を通じて身につけた自信によって、人生のその他の領域にも良い影響が期待できます。

フロリダ州オーランドのレイク・ノーナ・パフォーマンス・クラブにあるChopra Mind-Body Zone(チョプラ・マインド−ボディ ゾーン)の主任インストラクター、ジュリー・ワイスさんは、自分の中の力を取り戻すために次の瞑想を勧めています。まず、「私は(姓名)です」と言うことから始めましょう。これを数回繰り返します。次に、「私は(名字)です」と言います。必要なだけ繰り返します。最後に、フレーズの振動を感じながら、AHUM(アーハム)に変化させるように「私は」と述べます。

閲覧履歴を見直す

ロサンゼルスのデジタル&クリエイティブ・マーケティング・エージェンシー、NKエージェンシーの共同設立者兼CEO、ノリコ・ロイさんは、「原始的なAIと組み合わせたドゥームスクローリングは、同じものを多く流すことでますます選択肢を減らす箱の中に住んでいるようなものです」と述べています。

ドゥームスクローリングは漏斗(じょうご)のようなものだと考えてください。「新しいソーシャルストリームに入るとき、そこは広く開かれています。そして、この体験を定義し始め、やがてそれが漏斗の幹となるのです」とロイさんは続けます。ニュース記事を共有したり、投稿にコメントしたりする度に、あなたは同じものをもっと送るようアルゴリズムに指示していることになります。イライラするアカウントをフォローから外して、#ブレスワーク、#ポジティブパワー、#成功マインドセットなどのポジティブなハッシュタグに置き換えることで、同じことの繰り返しを打破しましょう。そうすることで、ヨガスートラのプラティパクシャ・バーヴァナ(「反対のものを育てる」)の概念で、ネガティブなフィードを改めて学ぶことができます。ハンスさんは、「ネガティブで強迫観念的な思考は、ドゥームスクローリングにつながる可能性があるので、その逆の、力を抜き、柔らかくし、楽にすることによって中断しましょう」と述べています。また、検索履歴を消去し、時系列フィードのオプションに戻すことで、より多くのバリエーションを得ることができます、とロイさんは示唆します。

現実世界と関わりを持つ

フィードを無意識的にチェックしているときは、最新情報を得るための方法だと思うかもしれませんが、2019年の米国科学アカデミー紀要(PNAS)の研究によると、情報を求めてスクロールする行為は、実は神経報酬系を誘発するのだそうです。専門誌「テクノロジー、マインド&ビヘイビア」の研究によると、ドゥームスクローリングは、おそらく屈折した感情、FOMO(Fear for missing out:取り残されることへの不安)に関連し、何か重要なことを補っている気がしてフィードを求め続けるのだそうです。「長時間スクロールしていると、ネガティブなことや不安が強調され、過度に自分にフォーカスした思考パターンを繰り返す傾向があります」と、グリーンさんは述べています。だから、ドゥームスクロールすることで、何か重要なことをしているように感じるのかもしれません。

FOMOを打ち消すには、何らかの目的があり、達成感のあることに取り組むと良いと、グリーンさんは言います。例えば、近所の人を助けたり、自宅の断捨離をしたりするのもおすすめです。「私たちが何か良いことや価値を感じることをすると、私たちの心はその感覚をもっと欲するようになり、そう感じる機会をもっと引き寄せるようになります」とグリーンさんは付け加えます。プラーナヤマで数を数えることで、気が散らないようにするのと同じように、報酬を求める思考に集中することで、FOMOの原因となるソーシャルメディアのブラックホールから解放される可能性が高いのです。

また、ボランティアに参加したくてもできないときは、ドリシュティ(目線・視線)に専念してください。「外側にばかり目を向けていると、自分の家、自分の中心、自分自身から遠ざかってしまうのです」とハンスさんは言います。外から内への集中を高めるために、ワイスさんが実践しているグラウンディング・フローのように、「今」何かをすることで、その欠落感をさらに克服することができます。

・まず、子供のポーズで数回呼吸し、不要な考えを第三の目から空にすることをイメージする。

・息を吸いながら牛のポーズに移り、胸を開き、新鮮でポジティブなエネルギーが体に入ってくるのをイメージする。子供のポーズと牛のポーズの間を流れるようにして、新しいリズムを作る。

・下を向いた犬のポーズで、頭を重くし、残っているネガティブな要素を吐き出す。

・子供のポーズに戻り、数回呼吸をする。腹這いになり、スフィンクスのポーズをとり、肩甲骨を寄せながらハートを開く。

・最後に、両手を広げ、手のひらを祈るようにして、腹這いになり、「プラナム」のポーズをとる。腹式呼吸を数回繰り返しながら、残っているネガティブな思考を解放する。

・スフィンクスのポーズやコブラのポーズに戻り、新たなエネルギーをイメージしながら数回呼吸して終了する。

日々の不安を和らげる

ドゥームスクロールの根底には、怒りがあります。また、その習慣は、不安をさらに悪化させるような不安によって動機づけられている可能性が高いのです。心配事が忍び寄るとき、ワイスさんはディーパック・チョプラのSTOPテクニックを使うことを提案します。

S 今やっていることを止める。

T 深呼吸をする。

O 体がどのように感じているか、その感情をどこで感じているかを観察する。

P 優しさと思いやりをもって進める。

「消化したばかりの思考にしがみつくか、手放すかを選ぶことができるのです」。ワイスさんは、「カルマの法則」を指摘します–「カルマ」とは、行動を起こすたびにエネルギーが発生し、それがブーメランのように返ってくるという因果関係のことです。テクノロジーによって閉塞感が漂い始めたら、スクリーンから目を離し、他の感覚を研ぎ澄ますことでトンネルから抜け出しましょう。また、姿勢や顎の噛み合わせなど、自分の身体的特徴も意識してみましょう。ハンスさんによれば、体が緊張しているのは再調整が必要なサインだと言います。

ヨガや瞑想のアプリを使えば、特に夕方、この作業を容易に行うことができます。「一日の終わりの不安は、疲労と圧倒によって高まります」と、グリーンさんは言います。「努力が必要だと感じることをしようとする時間ではなく、スマホに気を取られないような楽しいことをしたいものです」。デジタルの誘惑を抑えるために、グリーンさんは衝動的にスクロールしないように、バスルームで携帯電話を充電しています。ハンスさんはメイク用品のカゴの中にスマホを隠しています。

ビョークの言葉を借りれば、「これだけが人生ではない(ゼアーズ・モア・トゥ・ライフ・ザン・ディス)」のです。

教えてくれたのは……エレナ・モローズ・アルパートさん
エレナ・モローズ・アルパートさんはフロリダ州在住のフリーランス・ライター&編集者で、ライフスタイル&デザイン、旅行、ウェルネスを得意とする。https://yelenamorozalpert.contently.com/

ヨガジャーナルアメリカ版/「4 Practical Ways to Stop Doomscrolling

広告

By YELENA MOROZ ALPERT
Translated by Hanae Yamaguchi

AUTHOR

ヨガジャーナルアメリカ版

ヨガジャーナルアメリカ版

全米で発行部数35万部を超える世界No.1のヨガ&ライフスタイル誌。「ヨガの歴史と伝統に敬意を払い、最新の科学的知識に基づいた上質な記事を提供する」という理念のもと、1975年にサンフランシスコで創刊。以来一貫してヨガによる心身の健康と幸せな生き方を提案し続けている。



RELATED関連記事