喪失感や悲しみ、落ち込みetc.他人の気持ちに「持ってかれちゃう」理由とは
他人の気持ちに持っていかれちゃうときはありませんか?例えば、誰かが落ち込んでいる様子を見て自分も同じように落ち込んでしまったり…うつは風邪ウイルスのように伝染することはないですが、落ち込みなどの気持ちはまるで伝染するのかのように感じてしまいます。今回は、気持ちがもっていかれてしまうことについて脳科学の視点から解説したいと思います。
共感力は私たちに欠かせない能力
共感とは、他者と喜怒哀楽の感情を共有することです。私たちには共感する力があります。同僚が怒られているのをみて、まるで自分も怒られているかのように恐怖を感じたり、友人が泣いているのを見て、自分も同じように悲しくなってしまったり。人間は社会生活を営む生き物です。私たちがひとりで生きていくことは難しく、どのような形であれ、他者と共存して生きています。他者と一緒に生活していく上で共感する力は欠かせないものです。共感によって、他者と上手に付き合い、自分にとって快適な生活を築き上げ、生活の質を向上させることができます。
「ミラーニューロン」の発見
共感などの心の機能は長年しっかりと解明されていませんでした。しかし、1996に大脳皮質の特殊化した細胞「ミラーニューロン」が発見され、これにより、共感や同調などの心の機能が説明されました。ミラーニューロンとは、霊長類などの高等動物の脳内にある細胞で、他者の行動を観察して、まるで自分自身も同じ行動を取っているかのように鏡のように反応することから「ミラー」と名付けられました。実際に自分が行動したときも、自分が体験せず他者がやっている行動を観察しただけでも、同じように脳の部位が活性化します。ミラーニューロンによって、自分の目の前の人が感じていることを同じように感じ、理解することができます。もちろん、自分なりの解釈や捉え方の癖などが加わると考えられます。しかし、相手が感じていることを「感じる」ことは、相手を思いやることにもつながります。相手を思いやることは社会生活を営む上で大切な力になるのです。
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