喪失感や悲しみ、落ち込みetc.他人の気持ちに「持ってかれちゃう」理由とは

 喪失感や悲しみ、落ち込みetc.他人の気持ちに「持ってかれちゃう」理由とは
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石上友梨
石上友梨
2020-08-28
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共感はマイナス感情にも働く

ミラーニューロンは、私たちが生きていく上で欠かせないものですが、もちろんマイナス感情にも働きます。ミラーニューロンによって楽しい・嬉しい気持ちの共有だけではなく、他者からマイナス面の影響も受けてしまうということです。周囲の人の表情や仕草を見ただけで、相手の気持ちを認識し、認識したことに応じて、自分の体も反応します。他者の怒りには怒りで反応し、落ち込みに引きずられて自分も落ち込んでしまいます。

情報社会による影響

他者の行動を見て働くミラーニューロンですが、現在は情報化社会です。例えば、落ち込んでいる友人や芸能人の動画など、動画配信サイトやSNSなどさまざまな情報に触れることができてしまいます。以前は、自分の周囲の人から対面でのみ影響を受けていたとしても、現在は地球の裏側にいる人の影響も受けます。さらには、動画が残っていることで現在には存在しない人の過去の映像からも影響を受けてしまうかもしれません。ミラーニューロンは、社会交流においてより大きな役割を果たしている大切な細胞です。そして、共感する力は私たちにとって欠かせないものです。しかし、マイナスの影響を受けすぎてしまう場合は、その情報に触れないことも大切です。影響を受けすぎないために、情報をある程度制限することで、自分の心の健康を守ることにつながります。湧き上がってきた感情は、決して押し込める必要はないですし、気持ちをなくす必要もありません。悲しみが生まれた時はしっかりと悲しみを感じ、悲しみの感情を大切にします。ただし、自ら辛い感情を呼び起こしにいくような情報の取り入れには少し注意をしてみましょう。そして、共感する力は、自分の周囲の人にこそ活用していきましょう。

ライター/石上友梨
臨床心理士/公認心理師 大学・大学院と心理学を学び、警視庁に入庁。職員のメンタルヘルス管理や、心理カウンセリング、スポーツ選手へのメンタルトレーニングなどを経験。ヨガや瞑想を本場で学ぶためインド・ネパールへ。全米ヨガアライアンス200取得。現在は認知行動療法をベースとした心理カウンセリング、セミナー講師、ライター、ヨガインストラクターなど、活動の幅を広げている。また、発達障害を支援する活動にも力を入れている。https://cbt-yoga.com

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