「精神的にとらわれる」とはどういうこと?人がとらわれていくメカニズムとは

 「精神的にとらわれる」とはどういうこと?人がとらわれていくメカニズムとは
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人々がとらわれていく過程とメカニズム

人の心が「とらわれ」という状況まで追い込まれるのは、どのようなことが原因で起こるのでしょうか。著書より内容を抜粋し、例をあげながら説明していきましょう。

人は苦痛な体験をすると、「つらい」「苦しい」「悲しい」などの不安・うつ感情を抱きますが、これは人の思考として自然なものといえます。

しかし、それらの体験によるストレスが大きかったり、精神的に弱い部分があったり、または周りからのサポートを受けられない状況にあったとき、不安・うつ感情が、強い衝撃となって心(脳)に刻まれることになります。そして、そういった苦しい体験を「二度としたくない」という思いから、その場所や人を避けるようになります。これを「予期感情」といい、ここからとらわれの悪循環がスタートするのです。

例えば、職場でミスをしたり、いじめられたりといった、なにかつらく嫌な出来事があった場合。とりあえず会社を休めば、その時点では回避できた安心感があるかもしれませんね。

しかし、そうやってつらさ・苦しさの原因を避けることを繰り返していくと、反対にその出来事に対する意識の執着が増していきます。それだけでなく、嫌な出来事を乗り越える機会を失い、自分の中での思い込みばかりが増幅していくのです。

たとえ職場でトラブルや嫌なことがあっても、誰かを頼って解決へ踏み出したり、次の職場を探したりすることができれば、「とらわれ」に悩むことはないでしょう。

ですが、モヤモヤや不安を抱えている「とらわれ」予備軍の人の場合、予期感情が働いて「別の会社にいっても、またトラブルに巻き込まれるかもしれない」「職場の関係者に会わないようにしよう」など、回避行動をさらに強めてしまう傾向に……。

このように、体験の強い衝撃→予期感情→回避→思い込みを繰り返すメカニズムによって、人々のとらわれの悪循環は強化され、心がとらわれた状態へと突入していくのです。

とらわれ
『「とらわれ」「適応障害」から自由になる本』(さくら舎)

教えてくれたのは…勝久寿(かつ・ひさとし)先生
人形町メンタルクリニック院長。医学博士。精神科医。もっとも身近でもっとも手ごわい心理現象として「とらわれ」という言葉を提唱し、それらに悩む人々へ、本書を「とらわれ」から抜け出るための手引きとして、対処法やメッセージを発信。行政機関や企業のストレス対策についての研修、メンタルヘルスに尽力している。

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Text by Aya Iwamoto

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ヨガジャーナルオンライン編集部

ヨガジャーナルオンライン編集部

ストレスフルな現代人に「ヨガ的な解決」を提案するライフスタイル&ニュースメディア。"心地よい"自己や他者、社会とつながることをヨガの本質と捉え、自分らしさを見つけるための心身メンテナンスなどウェルビーイングを実現するための情報を発信。



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