首にかかる負担は、小学校低学年の子どもが乗っているほどの重さ!首を休めるためにできる3つのこと
頭と上半身を繋いでいる首。首へのケアは十分できていますか?首にのしかかる重たさの真実を知れば、もうケアしないとかわいそうなくらい。日頃から首を休ませる時間をつくっていきましょう。
一人一台スマートフォンを持つ時代。そしてスマートフォンを見ない日はないというほど、現代の私たちには必要不可欠な道具となっています。それでは、スマートフォンを見るときの姿勢はどうなっているか、よく見てください。下に頭がポトンと落ちて、首は曲がりがち。肩も内側に入って背骨は曲がりがち。腰も曲がってお腹はゆるみがち。足に力がないけれども、目は酷使し、頭の中は騒がしい。ざっくり言うとそんな感じでしょうか。決して良い姿勢とは言いがたい姿勢で多くの時間を過ごしていると言えます。今回注目したいのは、スマートフォンを見るときに首にのしかかる負荷。頭の重たさと下を向く角度によって、首にのしかかる負荷が変わってきます。
首にのしかかる負荷は〇kg?
成人の頭の重たさは平均約4~6kgだと言われています。ボーリング玉の重さをイメージすると分かりやすいでしょうか。例えば、女性向けのボーリング玉9ポンドの重さが4.082kg、男性向けのボーリング玉14ポンドの重さが6.350kg。このときは、足裏は大地をとらえ、背筋がしっかり伸び、胸開き、お腹にも程よい緊張感がある良い姿勢で立ったニュートラルなときの場合です。日頃からこんなにも重たいものを首にのせて過ごしているのです。では、スマートフォンを見るときのように首が下に曲がったときはどうでしょうか?以下のように傾斜角度によって首にのしかかる負荷は変化するというデータがあるので驚きです。
米ニューヨーク市の脊椎専門のクリニックの外科医長を務めるケネス ・K・ハンスラージ氏が一般的な体格の人をモデルに解析したところ、首の曲がる角度に比例して、頚椎にかかる負荷は増えていった。
首の曲がる角度が15度になると12kg、30度で18kg、45度で22kg、60度では27kgの負荷がかかる。
「Surgical Technology International」の第25巻 神経・脊椎手術セクションで発表(2014年10月)
傾斜が一番深いときには、小学生低学年くらいの子どもが首に乗っているのです。これでは、首に負担がかかって悲鳴をあげてしまうのは言うまでもないことがお分かりになると思います。スマートフォンを見る姿勢を正してみる、少し見る時間を短くする、見ない日をつくるなど、自分で意識しながら首を労ってあげたいものです。
首を休ませる①首ストレッチ
椅子に座ったまま、もしくは床の上であぐらの姿勢になる。
①右手の甲を背中へあて、左手で右手首を左へ引き寄せる。首を左側へポトンと倒す。右の肩は下げ、頭の重みで右の首筋がジワジワ伸びる感覚を十分味わう。(深呼吸、吐く息でさらに伸びが深まる。)
②舌先を左頬を突き刺すように伸ばしてあげるとさらに首筋が伸びる。
③さらに、首を徐々に斜め上へ伸ばし、喉元も開放されていく感覚を味わう。自分にとって心地良い角度を微調整する。
④ゆっくり左下にもどり、真下を向き、ゆっくり正面へ頭が起き上がる。
⑤反対側も同じようにストレッチ。
⑥ゆっくりゆっくり首を3周ほどまわす。反対まわしもゆっくりゆっくり3周ほどまわす。
首を休ませる②首を温める
・首までしっかり湯船につかる。シャワーで首の後ろに温かいお湯をあてる。
・ドライヤーの温風を首の後ろにあてる。
・ホットタオルや小豆カイロを首の後ろにあてる。(ホットタオルの作り方・・・水に濡らしたタオルをラップに包み、電子レンジで1分ほど温める。小豆カイロの温め方・・・電子レンジで30秒~1分温める。)
首を休ませる③首枕で一休み
①バスタオルまたはフェイスタオルを横半分に折り、更に横半分に折る。
②縦向きにし、手前から少しきつめにクルクル巻いて自分に合った高さにする。
③首の下に首枕を敷き一休みする。人によっては、後頭部の下に折りたたんだバスタオルを敷いて高さを出し自分に合った高さへ調整する。以下の項目も参考にして、無理なく休めていることを重要視してください。
・喉に圧迫感がなく、気持ち良く呼吸ができている。
・アゴが上がりすぎていたり、下がりすぎていない。
・天井がまっすぐ見られる。
・首が浮いていない。
・肩、肩甲骨が床についている。
首を休ませた後の感覚はいかがでしょうか?張り詰めていたものがほぐれホッとするような感覚だったり、少し軽やかさを感じていますか?スマートフォンへの意識ばかりではなく、首へのケアを意識してあげることはもちろん、普段の姿勢を少し良い姿勢へ整えていくことも首への優しさへ繋がっていきます。大きな不調になる前に、日頃からちょっとしたケアを大事にホッとする瞬間をつくっていきましょう。
AUTHOR
元田裕子
ヨガインストラクター。図書館司書として働いていた頃にヨガと出会う。心身がすっきり解放される感覚に魅了され、指導者資格を取得。現在は、オンラインレッスンのほか、横浜市内のヨガスタジオ、カルチャーセンター、子育て支援施設、神社などでクラスを担当。子どもから大人まで幅広い世代へセルフケアの大切さを伝えている。全米ヨガアライアンス500時間修了/龍村ヨガ指導者養成講座修了/経絡YOGA認定講師。インドのアーユルヴェーダDr.よりアーユルヴェーダ・マルマセラピーを学んでおり、アーユルヴェーダアドバイザー、マルマセラピストとしても活動の幅を広げている。
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