アーユルヴェーダと腸の関係を紐解くと…アーユルヴェーダ的な腸の整え方

 アーユルヴェーダと腸の関係を紐解くと…アーユルヴェーダ的な腸の整え方
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健康意識が高まる中、ここ数年”腸”の健康が注目されるようになりました。実はインド・スリランカで生まれた伝統医学アーユルヴェーダでは、5000年前から腸の重要性が説かれていました。今回はアーユルヴェーダアドバイサーの筆者が、アーユルヴェーダ的な腸の整え方についてご紹介したいと思います。

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アーユルヴェーダと腸活、どんな関係があるの?

Chelsea shapouri
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アーユルヴェーダとは

アーユルヴェーダ」と聞くと多くの方がイメージするのが、オイルマッサージかもしれません。それはアーユルヴェーダのほんの一部。アーユルヴェーダは、インド・スリランカで民間療法として生まれた世界最古伝統医学です。その歴史は5000年にも及ぶと言われていて、世界保健機関WHOも認める世界三大医学の一つ。その医学的知見は、予防医学の面でも世界中から注目されてます。

アーユルヴェーダと腸活の関係

噛み砕いて言うと、アーユルヴェーダとは”体に毒を溜めない・体の毒を排出する”ということをとても大切にしています。

わたしたちは自然の一部なので、自然の影響を受けて生きいます。食べもの、環境、ライフスタイルなど…わたしたちの取り巻く自然あるものがわたしたちを作っていると言ってもよいのではないでしょうか。ここで注意したいのが、わたしたちの取り入れているものの中には「体にとって不要なもの」ももちろんあるということ。例えば、食べもので言えば、添加物や薬品を大量に添加された加工物や精製された砂糖など。また、仕事の関係でどうしても昼夜逆転生活している人も、不規則な生活から過度なストレスが溜まっていったり、疲労が溜まりやすいかもしれません。その他にも、職場や家庭でのトラブルなど、生きていれば数え切れないほどのストレスが”自然から”わたしたちにはかかります。

そうしたストレスは、わたしたちの体の中でうまく体の外に排出されれば良いのですが、見えないストレスに気づかずに知らぬ間に溜まっていくことも。すると、わたしたちは、最初の内は”なんとなくの不調”を感じるようになり、それがやがて病気に繋がってしまう可能性もあるのです。

アーユルヴェーダの中で毒のことを『マラ』と呼びますが、このマラの排出ツールとして大きな割合を締めているのが”大便”。そして、健康的な大便をすることに欠かせないのが腸。わたしたちがここ数年で耳にする機会が増えてきた『腸活』は、決して新しい発見でもなく5000年以上昔からわたしたちの心身の健康にとっては重要と言われてきたというわけです。

消化力『アグニ』

アーユルヴェーダにおける最も大切な概念のひとつが”毒を溜めない・排出すること”といことですが、その重要な要素が”腸”。つまり、腸を整えて消化力を高めることがキーポイントになってきます。この消化力のことを、アーユルヴェーダでは『アグニ』と呼びます。

消化といっても食べものを消化するだけでなく、心に生じた感情や考え、目や耳から受け取った情報など、私たちが自然から取り入れたものを完全に消化することがアーユルヴェーダの目指しているところ。

アグニのエネルギーが弱まって私たちが摂取したものを十分に消化できないとき、前述した”アーマ”とよばれる毒が体に蓄積していきます。アーマ心身をめぐるエネルギーの流れが悪くなり、最終的に病気という形で現れることになります。

アグニを高める方法

Hilary Hahn
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自分が消化できる食べものを選択する

アーユルヴェーダでは個々の心身の状態を観察してながら、その人に合ったお食事を選択していくことがキーとなってきます。例えば、「スーパーフード」と聞いて食べてみたけれど「言うほどの効果を感じない」「むしろ便秘になった」なんて経験はありませんか?

それは、人それぞれが持っているアグニの力が異なるから。例えば、アグニの力が高い人はスーパーフードは消化しやすいことが多く、逆にアグニの力が弱い(つまり、消化力が弱い・腸が弱っている)人は、スーパーフードなどは消化しづらいことが多々あります。

栄養ラベルやカロリー表示を見て食べものを選んでいる人や、「この食材が凄い!」とメディアで言われているで選んでいる人は、その食べものが自分の体に消化できるかどうかをまずは考えてみることをおすすめします。

食べ方も重要

「わたしたちの体や心は食べものでできている」というのはもちろんなのですが、アーユルヴェーダでは食べ方もキーポイントとして考えています。

例えば、「生野菜は栄養満点で痩せる」と思っている方もいるかもしれませんが、調理されていない食材というのは一般的に、消化にとても負担がかかります。現代人はアグニの力が弱まっている人が多くいるため、基本的に食べものは火を通したもの更に言うと”油分と水分を含んだ”ものを選択すると消化しやすいです。

また、食べ合わせも気をつけたいポイント。例えば、アーユルヴェーダではフルーツは単体で食べることがおすすめされています。なぜなら消化のスピードが他の食材に比べて早いため。消化に時間のかかる食材とフルーツを一緒に食べることで、フルーツは本来よりも長い時間を胃や腸に停滞していなければなりません。結果として、腐敗して毒になりやすくなってしまうというわけです。

五感を使って食べる

アーユルヴェーダでは口を使って食べものを取り込むだけではなく、五感で自然を体の中に取り入れていくと考えています。ですので、五感を使って食事を楽しむことも重要。

  • 【目で食べる】

食べものを口に運ぶ前に自分が何を食べているかを観察してみましょう。自分の体や心になるものが「どんなものなのか」関心を持ちます。また一口一口の量を調整できるので、早食い防止にも◎。

  • 【鼻で食べる】 

食べものの香りを嗅ぎます。爽やかな香り、香ばしい香り、甘い香り…味付けにもとりますが、香りを楽しむことで、心身満たされて、暴飲暴食を防ぐことにも◎。

  • 【皮膚で食べる】

赤ちゃんが食べものを手で遊ぶのは食べものを触覚をつかって食べている方法の一つ。またインドやスリランカの方々も手でモミモミしながら感触を味わいながら食事をします。日本人のわたしたちはTPOをわきまえながら、触れてみるのも感性が刺激されます。柔らかい、プルプルしている、ジュワーとする…など触れてみないと分からないことに気づくかもしれません!

  • 【口で食べる】

よく噛んで食べましょう。消化は、口の中に食べものをいれた瞬間から始まります。最低でも20から30回は噛むのが理想的。できれば液体状になるまでしっかり噛むのがベスト。また、飲み物や液体のもの(スープ)も噛むように心がけましょう。唾液は消化酵素なのでしっかりとまぜて食べることで消化促進に繋がります。

  • 【耳で食べる】

食べものを噛んでいる音に注目。どんな音を立てて自分が食べているかって意外と知らないですよね。よく噛むことのリマインダーにもなります。

よく噛んで食べることで唾液と混ざって消化吸収を助けてくれる上、排出をも手伝ってくれます。

食間は充分に開ける

ダイエット方法の中には、”一度にたくさん食べるよりも、ちょこちょこ食べが良い”というものもありますが、アーユルヴェーダでは1回の食事で腹八分目を目安にして、食感は充分に開けることが大切と言われています。ちょこちょこ食べることで消化しきれていない食べものがまだ胃や腸にあるのに、新しいものが入ってくると考えているから。

人によって消化のスピードは異なりますが、目安としては3−4時間は開けるのが理想です。間食をいれる際には、5−6時間以上食間が開く場合のみで、消化しやすいもの(フルーツやジンジャーはちみつティーなど)を取るようにするのがおすすめされています。

胃や腸を冷やさない

胃や腸を冷やすことで、働きが鈍くなってしまいます。また冷えは胃や腸の乾燥にもつながるため、体の水分が奪われて便が固くなってしまい、便秘の原因にもなりかねません。

体を冷やす食材や飲み物は極力避けて、内側から温めることを心がけてみて下さい。

消化を助けるスパイスやハーブを摂る

アーユルヴェーダごはんでは、消化を助けるスパイスやハーブがたくさん使われます。スパイスやハーブは「使い方が難しい」と思いがちですが、日本食にも合うものも意外とたくさんあるんですよ。例えば、生姜などは代表的な例。削った生姜をお味噌汁に入れるのはとても簡単でおすすめ。その他にもブラックペッパーなども日本食で多用できるスパイス。

スパイスやハーブ使いになれてきたら、スパイスティーやカレー料理などに挑戦するのもおすすめです。

アーユルヴェーダ的に腸を整えることは誰にでもできる

 Edz Norton
Photo by Edz Norton on Unsplash

現代版の腸活では、ファスティングやクレンジングジュースなどのイメージが強いかもしれません。けれど、アーユルヴェーダは5000年も前に生まれたもので、更には民間療法から始まっています。一般人のわたしたちであっても、簡単にライフスタイルに取り入れることができることばかりのものです。

人ぞれぞれの体が違うように、ライフスタイルも異なります。今回ご紹介した方法が実践できないという方もいるかもしれませんが、まずは自分でできることからはじめてみてはいかがでしょうか。

体の内側から健康で美しくなれる人が増えていくことを願っています。

 
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AUTHOR

桑子麻衣子

桑子麻衣子

1986年横浜生まれの物書き。2013年よりシンガポール在住。日本、シンガポールで教育業界営業職、人材紹介コンサルタント、ヨガインストラクター、アーユルヴェーダアドバイザーをする傍、自主運営でwebマガジンを立ち上げたのち物書きとして独立。趣味は、森林浴。



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