【ウエストくびれの左右差、ひょっとして側弯が原因⁉】体をシンメトリーにする「魔法のエクササイズ」
頑張ってダイエットしてお腹はすっきりしてきたけど、よく見ると左右のウエストのくびれ方が違う……。左のウエストにはくびれがあるのに右のウエストは子供のお腹みたいに寸胴といったことがよくあります。 その原因は背骨の側弯かも知れません。魔法のエクササイズで左右対称のお腹を目指しましょう。
ウエストの形が違う原因は?
ファッションモデルや女優、ボディメイクコンテストでは、顔や体が左右対称に近いほど評価が高くなると言われています。一度お風呂上りにウエストのくびれ方を鏡で観察してみてください。左右のくびれの大きさやカーブの頂点の高さに差がありませんか?
そもそも人間の体は完全に左右対称の構造ではないのですが、左右差が大きくなりすぎると見た目だけでなく、腰痛や肩、膝、股関節の痛み、呼吸機能や心臓の不調を引き起こすなど、体調にも影響が出てきます。なぜ左右のウエストに差が出るのでしょうか?
多くの場合背骨自体が左右に湾曲して捻じれてしまってウエストラインに差ができています。背骨が左右に曲がっている状態を「脊柱側弯症」といいます。
脊柱側弯症は大きく分けると「機能性側弯」と「構築性側弯」の2種類があり、機能性側弯はヘルニアなどの痛みを避けるためだったり、特定の動作・姿勢が続くなどして一時的に生じる側弯です。
一方の構築性側弯は、最も多いのが「特発性側弯」と言われる原因不明のもので、他に背骨の形に生まれつきの奇形がある「先天性側弯症」、筋ジストロフィーや脳性麻痺などで発症する「神経・筋原性側弯」などがあります。
特発性側弯は側弯症のうち80%以上を占め、女性が思春期に発症することが多い側弯です。
また、9割以上の側弯が右側に胸椎や肋骨が凸になり、腰椎は反対方向に曲がる方や、腰椎・胸腰移行部で曲がりがある方もいます。このように側弯症には様々なパターンがあり、背骨のねじれ方や原因を判断するのが難しい症状です。
整形外科で側弯症と診断されるには一定の指標があり、代表的なものがコブ角と呼ばれるもので、これが10度以上になると側弯状態と言われます。また40度を超えてくると手術を勧められるようになります。
隠れ側弯が様々な症状を誘発している?
下の図はコブ角が10度になるように作ってみたのですが、思っているよりちょっとしたカーブだなぁと感じるのではないでしょうか?
私のところに初めてピラティス・ヨガのレッスンを受けに来る方たちは、ちょっとした側弯に気が付いていない人がほとんどです。
実際に臨床では、この「隠れ側弯」を修正することで肩の慢性的な障害や腰痛、下肢の障害などが改善することがよくあります。特に肩は側弯が肩甲骨のポジションや動きに直結するため、影響が大きいと感じます。側弯になると肩の高さや肩甲骨の傾きが左右で違ってくるのですが、ヨガなどのレッスンで隠れ側弯を修正しないまま肩の高さを無理やり揃えてしまうと、かえって肩のケガを誘発することになります。
下向きの木のポーズ、ダウンドッグ、上向きの弓のポーズのように両手を床につくポーズで左右均等に押せる感覚がない人はかくれ側弯を疑ってください。
機能性側弯や、軽度の特発性側弯に機能性側弯が被っているものはピラティスやヨガなどのエクササイズでも、ある程度改善することができます。背骨自体がくさび型に変形しているものは、その構造を変えるには手術しかないため、エクササイズで進行を止める方向で考えましょう。
側弯を改善するコツ
側弯の原因は様々ですが、改善していくには背骨を長く引き伸ばす「エロンゲーション」の感覚が重要になります。
側弯の背骨は左右に曲がるだけでなく前後・回旋も含めた3次元で捻れが発生しています。また、背骨だけが捻れているのではなく足首、膝、股関節などの影響も受けています。そのため、単純に背骨のカーブの反対方向に曲げていくようなエクササイズではエラーが出ることが多くなるので、頭頂と尾骨(足)を引き離すことで真直ぐに近づけていくようなエクササイズをおすすめします。
ウエストのくびれをシンメトリーにする魔法のエクササイズ
やり方
今回は寝たままできる魔法のエクササイズでウエストのくびれをシンメトリーに近づけていきましょう。
①ペットボトルやフォームローラーなど筒状の転がりやすいものを2つ準備します。なければ枕やクッションなどでも構いません。
②胸の高さでどちらに肋骨が出ているか鏡でチェックします。
③仰向けで寝転がります。
④右に肋骨が出ていた(左に体が傾いている)場合、右膝は伸ばし足首をペットボトルの上に乗せ、左膝は曲げて足の裏を床につけます。左腕はバンザイをして手首をペットボトルの上に乗せ、右腕は真横に開いて床の上に置きます。左の肋骨が出ていた場合はすべてが逆になります。
⑤頭と尾骨を引き離すようにしてエロンゲーションします。さらに右足と左手を遠ざけつつ、右腕も体の中心から遠ざけるようにします。
腰や背中を反らないように気を付けましょう。引き伸ばすことで出ている肋骨が中心に寄ってくるイメージを持ちましょう。
⑥この状態で3回ゆるやかに呼吸を行います。
⑦3セット行いましょう。
動画で見てみよう
隠れ側弯を改善していくには日常生活での意識がとても重要です。
例えば家庭での食事中に、テレビが横に映っているとか、いつも同じ方向でソファーに横になってスマホを触っているといった生活習慣が改善されなければ、どれだけエクササイズやトレーニングをしても効果は一時的なものとなります。
24時間意識し続けるのは難しいですが、例えば信号で立ち止まったときや、窓ガラスに自分の姿が映ったときは必ず背骨を長く引き伸ばすなど日常生活にエロンゲーションの感覚を取り入れてみてください。
AUTHOR
杉山匡人
高校時代の度重なるケガをきっかけに、ケガをしない体を作る方法を学ぶため早稲田大学に入学。卒業後、フィットネスクラブインストラクター、接骨院スタッフ、プロ野球選手のパーソナルトレーナーなどを経験する。 より多くの人を体の悩みから解放するために後進を育てることを決意し、専門学校のアスレティックトレーナーコース長として9年間勤務。解剖学、アスレティックリハビリテーション、ボディワークなどの講義を行う傍ら、あらゆる種目のスポーツ現場でアスレティックトレーナーとして活躍する。 現在、のべ2,500名以上のインストラクターを養成している日本最大級のピラティス団体「PHIピラティスジャパン」「YOGA MOVE」の本部スタジオ「EXECUTIVE7」において日本代表プロ野球選手、元スペイン代表Jリーガーなどのトップアスリートから、モデル、高齢者まで動作指導をする一方で、ピラティス・ヨガインストラクター養成講師をつとめ、多数のトレーナー養成専門学校において非常勤講師として活動。 資格:PHIピラティスマスタートレーナー、YOGA MOVEマスタートレーナー、鍼灸師、日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー、日本赤十字社救急法救急員、栄養コンシェルジュ二つ星 他 講師歴:履正社医療スポーツ専門学校、三幸学園リゾート&スポーツ専門学校、東洋医療専門学校、YMCメディカルトレーナーズスクール 他 メディア:関西電力発行マガジン『withはぴe』「毎日続ける からだメンテナンス」連載 他
- SHARE:
- X(旧twitter)
- LINE
- noteで書く