マルチに活躍するタカハシマイさんとミュージシャン武井優心さんにとっての自己肯定感とは?
コロナ禍で誕生したLiving Rita、そしてCzecho No Republicのメンバーである武井さんタカハシさん夫婦にインタビュー。古くからの友人である臨床心理士・石上が、健康を保つための工夫やヨガ、瞑想、そして自己肯定感について話を聞いた。落ち込み代表という武井さんが自分の軸で生きるために譲れないこととは?タカハシさんが言う諦める大切さとは?
「好き」がすべての原動力
―――タカハシさんは、バンドにモデルに自分のブランドプロデュースと幅広く活躍されていますが、その原動力はどこから来ているのでしょうか?
タカハシマイさん(以下、タカハシ):「シンプルに好きなことをやっていると思っていて、そこまでエネルギーを使っている感覚はないです。好きが原動力ですね。」
―――自然な感覚で動いているのですね。タカハシさんが手がけているブランド「ellacantaria」のコンセプトも「自然からのパワーを受け、凛としたしなやかさを持つ心豊かな女性像」とのことでしたね。自分らしくしなやかに動いていく女性のイメージを持ちましたが、このコンセプトにはどのような意図や背景がありますか?
タカハシ:「風の谷のナウシカやチェコの画家ミュシャの作品など、凛とした女性像に憧れがあり、自分自身も自然や生き物からエネルギーをもらう瞬間が多いと感じていて、それで気分が落ち込んだ時や重い時とかに浄化してくれる作用みたいなものを服に落とし込みたいと思ってコンセプトやイメージを作りました。大きいことは言えないですけど、そうであったらいいなと。服に元気をもらうとか、デートの時にこのワンピースを着たら心が楽しくなるという、1着1着にパワーを感じてもらえるブランドになりたいと思っています。」
―――服を変えることで、重たい気持ちがなくなって活動的な気持ちになることもありますよね。パワフルに活動するために食べ物や運動など気を付けていることはありますか?
タカハシ:「特にすごい気を遣っているわけではないです。マインドが昔から溜めないようにというかプラスプラスで考えていくタイプだったんですけど、最近はコロナ禍もあるし、年齢もあるのか、去年くらいから月経前にPMS的な感じで浮き沈みがあるなと思っていて、アロマでマッサージをやったり、自分を高めていけるように工夫しています。あとは、サウナで自分と向き合って癒されたりとかですかね。サウナって自分と向き合える場所だと思っていて、自分が今なんで悩んでいるのかとか、一つ一つ紐解いていく時間みたいな。食事は、プラントベースのものをなるべく取り入れています。美味しいプラントベースの通販で買ったり、餃子とかウインナーとか、最近はオーツミルクとか。前はお肉大好きでいっぱい食べていたので、その頃と比べると肌荒れも割とよくなっているように思います。身体的に合っているのかも。」
―――武井さんは、健康のために気をつけてることありますか?
武井優心さん(以下、武井):「サウナもよく行きます。今日も行ってきました。後は寝不足にならないようにたっぷり寝るタイプ。あと、16時間ダイエット「オートファジー」もやっていたよね。狙ってやっていたんじゃなくて、気づいたらその生活になっていて。夕飯とか16時に食べてて、2人とも間食を全くしないんですよ。勝手にオートファジーやっていて健康的でしたね。」
タカハシ:「オートファジーって言葉を後から知ったよね。やっていると体が軽い感じがあった。」
武井:「でも二日酔いとか、たまに身体に悪い方がいいんですよ。下がっている時に思いついたり、クリエイティブにつながる。落ちている時に見えた光を大事にしたい。健康でいよう、という気持ちに捉われ過ぎないようにしたいです。」
ヨガは言葉がスーッと入ってきて、心が浄化されるような感じ
―――ヨガをされたことはありますか?
タカハシ:「今はピラティスを始めたばっかりで。ヨガは結構前にやっていました。ヨガ中に涙が自然と出てきたことがあって、リラックスできるイメージがありますね。その時はホットヨガに通っていて、先生が良かったんですよ。言葉がスーッと入ってきて、心が浄化されるような感じで涙がバーって出てきました。でも、そこの別の先生が私のファンだって知ってしまって…すごい汗だくで身を委ねていたから、ちょっと恥ずかしくなってしまって(笑)。そこからやっていないんです。今回の話をいただいたときに、またヨガをやりたいと思いました。」
武井:「俺もやりたい。」
―――本来だとヨガは腹式呼吸メインでリラックス、ピラティスは胸式呼吸メインで体感を鍛えたりと、目的が違っていて、使い分けかなと思います。リラックスしたり自分の内面を見つめるときはヨガかなって。武井さんはどっちを求めているのかな。
タカハシ:「武井さんは、絶対ヨガですね。私は違いをよく知らずに、友達の紹介で行き始めたばっかりなんですけど、全然違いますね。でもどっちもできたら1番良さそう。ピラティスはすごい筋肉を使いますよね。立てなくてガクガクになっちゃって。」
武井:「ヨガは「もう最高だった」って帰ってきて言っていたよね。「俺も行きたいんだけど…」って言ったら女性しか行けないって(笑)。」
―――海外だと男性率も高いし、スティーブジョブスのようにビジネスマンがメンタルヘルスのためにヨガする認識が定着しているけど、日本は女性が美容やダイエットのためにやるというイメージが強いですよね。
タカハシ:「続けるのは先生との相性もありますか? この先生はちょっと苦手だと思う時もあって…。」
――続けるには、先生との相性は大切です。様々な先生のクラスを受けて自分に合う先生を見つけるのがといいと思います。あと、本来のヨガは、人と比べないというものだとしても、実際のヨガスタジオだと他の人と比べて「私は身体硬いな」「うまくできていないとか」とか考えてしまいやすいかもしれないですね。
タカハシ:「私はすごい身体硬くて。暗くないと緊張しちゃう感じがありました…。」
―――先生がポーズを修正して回ると「これじゃダメなんだ」「正しくやらなきゃ」という想いが強くなっちゃうのかもしれないですね。そんな人はオンラインヨガだと他の人と比べなくて済むかも。私は海外でヨガをやっている時の方が、人目が気にならず、伸び伸びできる感じがします。特にオーストラリアでtrauma sensitive yogaに参加した時は、立っている人もいれば座っている人もいて、本当に自由で「ここにいていいんだ」と、そのままを認められている感じがしました。今はなかなか海外には行けないけど、旅行先でヨガをするのもおすすめです。
タカハシ:「武井さんはヨガのポーズはしないけど、瞑想しているよね。絶対に合いそう。」
武井:「邪念が浮かんできてむずいんですけどね。身体痒くなったりして。」
―――それはOK。邪念浮かぶのは普通のことで、邪念が浮かんでも呼吸に注意を戻す、その繰り返しが瞑想です。
武井:「呼吸に意識を向けることも難しくて。呼吸を意識すると過呼吸になっていきそうな時とか。呼吸って見つめると難しい。これ吸いすぎかな、吐きすぎかなみたいな。」
―――呼吸をコントロールせずに気づき続ける。胸のあたりに注意を向けて苦しくなるなら、空気の出入りだけに注意を向けてもいいかもしれない。鼻の穴に空気が入っていく感覚と出ていく感覚。あとは、ヨガのポーズをやりながら体の動きを観察していくような「動く瞑想」でもいいかも。体の筋肉の伸び縮みに注意を向けて観察する感じ。瞑想は頭を空っぽにしなきゃいけないわけでも、集中し続けなきゃいけないわけでもなくて、注意がそれては戻ってくる、それを続けること。筋トレのように少しずつ瞑想力が鍛えられて、集中できる時間が伸びてくるから、実践しているときは気にしなくてもいいかも。
武井:「無の感じとか、すごい入れそうな時があったりするんだけど、「今、何も考えてなかった!」みたいな。」
―――それが邪念ですね(笑)
「私にはこれだけあるし、そうならなくてもいいよ」と諦めることを受け入れてみる。そうすると心が楽だなと思って。
―――SNSなどで他者と比較してしまいやすいといった影響もあり「自己肯定感が低い」「自信がない」「人と比べてしまう」という悩みがメディアに多く寄せられます。自己肯定感についてどのように捉えていますか?
武井:「俺、めちゃくちゃ低いので、悩んでる方の気持ちがすごく分かります。アップダウンありますけど、俺自身も解決していないんですよね。SNSはマウント取り合いというか、1番輝いている瞬間の集合体に見える。例えば、何日かクリエイティブなこともしていない時とか、自分に対して肯定的になれない時にSNSを見ると辛い。活動的に前向きに発信している人を見ると耐えらんない。でも、なんか見ちゃう。奴らの罠にやられてしまいます…。」
タカハシ:「私は低くならないように頑張りたいタイプなんですよ。苦しいと思っている時も必要だと思うんですけど、なるべく妬んだり比べたり、そういう負のものを自分の心に置いたまま製作したくないというか、なるべく高く自分を保っていたいタイプ。最近は諦めるっていう選択もあるなって思います。他の人と比べて、「いいな」「かっこいいな」「こんな人になりたい」と思う時もありますけど、「私にはこれだけあるし、そうならなくてもいいよ」みたいな諦めることを受け入れてみる。そうすると心が楽だなと思って。」
―――諦めることを受け入れる…現状肯定みたいな感覚なのかもしれないですね。
タカハシ:「自分を肯定してあげないと、誰かになろうとしすぎちゃうというか。みんな、自分にしかなれないものってあると思うので、そこを大事に見てあげなきゃなと思っています。」
―――それを聞いて武井さんはいかがですか?
武井:「うらやましいなと思う。ほんとに自己肯定感が低くて悩んでる時って、そこの域まで行けないと思うので。言っていることは分かるけどできない。自己肯定感が低い人は、自分のことをしっかりと見ているし、希望を捨てていないから低いんだと思っています。希望がなかったら前に進めない。自己肯定感が低い人って、自分の好みもはっきりしている感じがするし、自分のことをよく分かっている。自分というものを上手に乗りこなせたらすごく楽しい方向に行けるはず。目指すところがあるから自己肯定感が低い気がする。自己肯定感が低い自分をリスペクトすべきなんじゃないかという気がしました。考えているじゃん。いろんなこと、俺(笑)。」
―――自分のことをよくわかってるってことだし、目標に向かってがんばりたいって気持ちがあるからそうなってるのかな。自己肯定感が低いことの良い面にも目を向けて、自分をリスペクトしていけば目標の姿に近づいていけるかもしれない。そういうエネルギーを持っていることがクリエイティブにつながったり、原動力になることもある。自分を知っているって大切ですよね。じゃないとなりたい姿になれないし、自分の気分を良くしたり、楽しませることもできないだろうし。
武井:「自己肯定感が低いことは、自分を愛してる証拠かもしれないですね。そんな風に捉えたら、少し気持ちが楽になれるのかも。」
人の評価に左右されず、自分の気持ちを大切にする。そこは頑固に持っていきたい。
―――自己肯定感が低い人ってレッテルを貼るのではなく、自分を分かっている人という見方をすれば、今後の方向性が見えてくるのかもしれないですね。最後に、他人と比較せずに「自分軸で生きる」ことについて、どのように考えていますか?
武井:「最近怖いと感じることは、YouTube のコメントでみんな意見が揃いすぎていること。他人の評価がわからない状態で「この曲どう思う?」と聞かされて、本当にその意見が出るのかなって。右習えな集団催眠に近い感じもして、アイデンティティがあるようで無い。例えば、超良いという流れだったら、その中でいかにうまいこと言うかという感じに見える。今はすべてが評価じゃないですか。映画も見る前に面白いのかなと調べて、3.8か、見るかなどうしようかなって。それを俺はしたくないです。すごく良いと思った曲をYouTubeで検索して、再生回数が少なかった時に、「うわ、ださい音楽に引っかかっちゃった」と思いたくない。むしろすごく良いもの見つけたって、どんどんオリジナルの世界を色濃くしていく作業が好きなので、人の評価はどうでもいい。そこは頑固に持っていきたい。これが1番生きる上で大事にする自分らしさですね。」
―――自分の感性を大切にしているんですね。すでに流れができていると、本当はそう感じていないのに反対って言いづらいとか、空気読んじゃうみたいな。同じような人たちばかり集まっていると同じような考えが強化されがちですよね。
武井:「本当の意味でのアイデンティティを持って欲しい。」
―――タカハシさんは何かありますか?
タカハシ:「武井さんがすごく良いこと言ってくれた。 私も同じ気持ちです。」
▶インタビュー:LivingRitaが楽曲に込めた想い「絶望には、同じだけの陽のエネルギーが潜んでいる」
Living Rita
Living Rita (リビング リタ)とは: 4人組ロックバンドCzecho No Republic(チェコノーリパブリック)のBa.Vo 武井優心 Vo.Syn タカハシマイの2人による音楽ユニット。 ベッドルームミュージック、ドリームポップ、ソフトサイケなどを軸に2020年本格的に制作を開始。2021年よりライブ活動を開始する。1st Album「Living Rita」10月29日に配信リリース。インスタグラム:@livingrita_、Twitter:@LivingRita_、youtube:Living Rita公式チャンネル。
ライブ情報
11月13日(土) CRAFTROCK BREWPUB&LIVE (日本橋 COREDO室町テラス)
「Craft Rock × Living Rita Beer&Music Party」開催
出演:Living Rita、KUDANZ(独奏)、Jesus Weekend+DJ msd. (PEARL CENTER)
開場:17:00
AUTHOR
ヨガジャーナルオンライン編集部
ストレスフルな現代人に「ヨガ的な解決」を提案するライフスタイル&ニュースメディア。"心地よい"自己や他者、社会とつながることをヨガの本質と捉え、自分らしさを見つけるための心身メンテナンスなどウェルビーイングを実現するための情報を発信。
- SHARE:
- X(旧twitter)
- LINE
- noteで書く