管理栄養士が解説【プラントベースな食事が腸に優しい理由】悪玉菌が増える意外な習慣とは?
みなさんは腸活と聞くとどんなことを思い浮かべますか? ヨーグルトや納豆、漬物などの発酵食品を食べる、野菜やフルーツをたくさん食べるなど、今ではいろんな腸活方法がおすすめされています。そんな中で私がオススメしたいのは、『プラントベース』な食事方法。動物性食材を摂らない食生活で、腸から健康的な体づくりをしませんか?
腸内環境が悪化すると、どんなことが起きる?
食べ物は口から入ったあと、食道、胃を通って腸へと運ばれます。胃〜腸では、食事中の栄養素を消化する作業が行われ、小腸を中心に栄養素の吸収が行われています。特に腸は栄養素の吸収の要となる場所で、大半の栄養素は腸内で吸収され、全身の必要とされる場所へ運ばれ、利用されます。
腸内環境が悪化してしまうと、この栄養素の消化・吸収がスムーズに行われず、体の不調や疾患を招く可能性があり、注意が必要です。
また、腸は老廃物を外に出すための作業を行う場所でもあり、主に大腸で便が形成され、蠕動(ゼンドウ)運動で肛門へと運ばれ、対外へ排泄されます。腸内環境が整った状態では、この排泄はスムーズに行われますが、悪化した状態では便秘や下痢などの消化不良症状を招きます。そんな腸内環境の状態は、私たちが普段食べるものによって左右されます。
腸内の状況を左右する腸内細菌
腸内に存在する微生物は、大きく3つに分けられます。
・善玉菌
・悪玉菌
・日和見菌
この3種類の組成が、腸内環境の良し悪しを左右していると言っても過言ではありません。
理想的な腸内環境を実現するための組成は、善玉菌:悪玉菌:日和見菌=2:1:7が好ましいです。
ところが、現代の食生活(インスタントや加工食品、外食中心)では、悪玉菌が増える傾向にあり、善玉菌を育てるための栄養素が不足しやすくなります。
特に、加工食品に含まれる酸化した油や、動物性食材に含まれる飽和脂肪酸は悪玉菌のエサになりやすく、悪玉菌優位な腸内環境に。その結果、悪玉菌が発生させる毒素や善玉菌の死滅によって腸内環境が悪化し、消化不良や便の腐敗臭などの原因になります。
プラントベースな食事は腸活にオススメ!
近年さまざまな場面で聞くようになったプラントベースやヴィーガンという言葉。これは、動物性食材を摂らず、植物性食材のみを取り入れる食事スタイルです。基本的に、穀類、野菜類、果物類、種実類を中心に食べ、肉や魚などは食べません。
※中には動物性食材のうち魚のみ食べるペスカタリアンや、外食やお付き合いでは動物性食品を食べるなどフレキシタリアンと呼ばれる方もいますが、ここではプラントベース=動物性食材を摂らない食生活(ヴィーガン)とさせていただきます。
プラントベースで叶う腸活
プラントベースな食生活では、動物性食材を摂らないため、腸内の悪玉菌は増えにくい傾向にあります。また、腸内の善玉菌のエサとなる食物繊維やオリゴ糖などの糖質は野菜・果物・穀類に豊富に含まれ、善玉菌を育てるにはピッタリの食事方法です。
加えて、植物性の発酵食品(漬物、キムチなど)に含まれる植物性乳酸菌は、動物性乳酸菌よりも強く、生きて腸まで届くものが多いと言われます。プラントベースな暮らしを行いながら、発酵食品も取り入れればさらに腸内環境を整えることのできる理想的な腸活ができるでしょう。
腸活にオススメの植物性食材
納豆
日本の誇る発酵食品の一つである納豆は、腸内環境を整えるだけでなくタンパク質源である大豆タンパク質を豊富に含みます。納豆1パック(40g)あたり、6〜7gのタンパク質を含んでいます。また、大豆イソフラボンも含んでいるので、女性ホルモンの働きを助けます。
植物性ヨーグルト
最近ではスーパーでも豆乳やアーモンドミルクでできた植物性のヨーグルトを目にする機会が増えました。通常の牛乳由来のヨーグルトと違い、植物性ヨーグルトはクセがあるかもしれませんが、牛乳アレルギーの方や乳糖不耐症(牛乳を飲むと腹痛が起きる)の方でも食べられるのでオススメです。
⇒植物性乳酸菌、たんぱく質、食物繊維が一気に摂れる!管理栄養士が提案「豆乳ヨーグルトボウル」
海藻類(ワカメ、海苔など)
日本人に馴染みのある海藻類には、食物繊維が豊富に含まれており、腸内の善玉菌を増やすお手伝いをしてくれるのでオススメです。特に海藻類には水溶性食物繊維が多く、血糖値の急上昇を抑制する効果も期待できます。乾燥状態で販売されているものがほとんどなので、長期保存もできて便利な食材です。
未精製の穀類(玄米、全粒粉など)
穀類の多くは精製されたあとの状態で販売されています。白米は玄米を精米し、外側の分厚い皮部分が取り除かれたものであり、薄力粉も小麦を精製したものです。
実はこの穀類の外側部分にビタミン・ミネラル・食物繊維が多く含まれており、これこそ取り入れたい栄養素なのです。しかし、この皮部分は食べる際に口触りが悪く、消化に負担をかけるなどの理由から除かれることが多いのです。
ただし、玄米であればしっかり水につけて炊飯することでふっくらと炊け、しっかり噛んで食べることで消化の負担を軽減することができます。腸内環境を整えるのにオススメな主食でもあるので、ぜひ未精製の穀類を選んでみてください。
AUTHOR
河原あい
フリーランスライター。福岡出身。管理栄養士免許取得後、環境系大学院博士課程にて乳酸菌の研究中。プラントベース・ヴィーガンな栄養学、インナーケアに関する記事の執筆と、腸内環境を整えることの大切さをSNSにて発信している。
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