3月21日の春分の日を過ぎ、温かい日が増えてきました。春は冬に眠っていた植物や動物、私たちの体が目覚め動き始める時期でもあります。体を動かす機会も増え、また生活環境が変わる方も多く、寒暖差も相まって私たちの自律神経も乱れがち。自律神経を整え、心身共に気持ちの良い春を迎えましょう。
もくじ
(1)自律神経って?
(2)自律神経が乱れるとどうなるの
(3)交感神経とは
(4)副交感神経とは
(5)朝の簡単、自律神経スイッチの入れ方・整え方
(6)夜の簡単、自律神経スイッチの入れ方・整え方
(7)まとめ
自律神経とは、呼吸や体温調整、血圧、消化などを作用する、私たちが意識しなくても24時間働き続けてくれている神経で、「交感神経」と「副交感神経」にわかれます。
交感神経は日中に優位になる「活動」する神経で、副交感神経のは夜に優位になる「休息」する神経です。普段、私たちの体はこの交感神経と副交感神経の「自律神経」のバランスが保たれることにより、正常な毎日を送ることができています。意識しなくても働き続ける自立神経は、その分周りの環境や体の状態などを敏感に察知し、私たちの生活にとても密接です。
現代人は便利になった生活が故に自律神経が乱れやすく、春先の寒暖差も自律神経が乱れる原因になります。春は冬を越えた植物が芽吹き、人や動物の動きも盛んになる時期。自律神経乱れやすく体調不良や気分の浮き沈みなどにも影響を及ぼす時期と言えるでしょう。
交感神経が優位になる時間に副交感神経が優位になったり、副交感神経が優位になる時間に交感神経が優位になったり、交感神経と副交感神経の切り替えが頻繁に起こると、体がその変化についていけなくなり、自律神経が乱れ、人により様々な症状として表れることがあります。
・くしゃみ / 鼻水
・めまい / ふらつき
・眠気 / 不眠
・全身のだるさ / 肩こり / むくみ
・動悸 / 冷や汗
・下痢や便秘を繰り返す
・気持ちの浮き沈み など
自律神経は気温や環境の変化などに敏感で、私たちの生活ととても密接な関係です。そのため、自律神経の乱れは普段の生活では気づきにくいこともしばしば。原因不明で病院に行くと「自律神経失調症」と診断される場合も多くあります。
※自律神経失調症は公式な病名ではなく、それらをまとめて医師が診断する症状のことを指します。
自律神経(交感神経と副交感神経)のバランスを整えることは体だけでなく心の安定へも繋がります。
交感神経/副交感神経とは
「活動」「興奮」「刺激」「緊張」「運動」「ストレス」「収縮」「抑制」など
いわゆる【ONの状態】の時に優位になる神経です。日中の私たちはそのONの状態であり、活動的になります。
その他交感神経は、脳血管や末梢血管などを収縮させ、心拍数が上がり、汗を分泌して体温を下げたり、鳥肌を立て体に熱を発生させる働きなどがあります。交感神経が優位の時は、活力にあふれバイタリティがあり、脳も活性化してフットワークが軽く日中の活力源になることでしょう。
その反面、消化の抑制や排便や排尿を抑制させるため、忙しいと消化不良をおこしたり、トイレに行く回数が自然と少なるなったり便秘になりがちになります。また、極度の「興奮」や「緊張」や「ストレス」は緊張性頭痛や過呼吸を招いたり、過度な血管の収縮は心筋梗塞や脳梗塞などを招く恐れがあります。
「休息」「リラックス」「体が緩む」「回復」「修復」「眠り」「平静」などいわゆる【OFFの状態】の時に優位になる神経です。夜になると私たちはOFFの状態になり、身体と心はリラックスした状態になります。
その他副交感神経は、血圧を下げ、日中の心拍数を落ち着かせます。また筋肉や脳を休め、その分内臓の機能が高まり、胃腸や細胞の「修復」「回復」を促します。副交感神経が優位の時は、心身共に穏やかで動きも緩やかになることでしょう。その反面、春の陽気は心地よく日中の眠気につながったり、交感神経と副交感神経のバランスが難しく身体のだるさがあらわれたりする恐れがあります。
このように私たちの身体は、日中に交感神経が優位になり、夕方~夜にかけ徐々に副交感神経が優位になっていきます。そして、夜が明け太陽が昇り始めた朝方より徐々に交感神経が優位になるリズムを休むことなく繰り返しています。
また寒暖差の激しいこの時期は、外気温が高い時は体外に熱を逃がすための発汗を行い体温を下げ、外気温が低いと熱放射熱を抑制するために血流を減少させたりと自律神経の振り幅が広く自律神経が乱れ、身体を疲れさせ「寒暖差疲労」へ繋がります。
この時期は人事異動や年度末、人の動きも活発になるため、日中の過度な交感神経の高ぶりや残業などでの夜の交感神経の作用や寒暖差なども加わり自律神経の乱れが様々な症状として表れ、「体調不良」や「季節の変わり目に体調を崩す」傾向があります。
自律神経の整え方
朝は副交感神経から交感神経に代わっていく時間帯です。切り返しがうまくいかないと、寝起きが悪かったり、午前中にくしゃみや鼻水が出るといった症状や、通勤中の体調不良へも繋がります。身体に刺激を与え、交感神経のスイッチを入れてあげましょう。
【交感神経スイッチを入れる方法】
太陽の光を浴びる
太陽の光は交感神経を優位にさせ、セロトニン(幸せホルモン)を生成します。セロトニンは約15時間後にメラトニン(睡眠ホルモン)へと変化していきます。
少し熱めのシャワーを浴びる
白湯やレモン水などで胃腸を刺激する
朝食を決まった時間に取る
ストレッチなど軽く身体を動かす
眠っていた副交感神経優位の身体を外部からの刺激により交感神経を優位にしましょう。毎日決まった時間に行うことで、脳がスイッチのリズムを覚えてくれます。曜日によって起きる時間をずらさず、一定の時間に起きることもお勧めです。
※朝、私たちの身体は副交感神経から「徐々に」交感神経へと移ります。過度な刺激は身体に負担をかけますので、ご自身が「気持ち良い」と思う方法を探しましょう。
夜は交感神経から副交感神経に代わっていく時間帯です。切り返しがうまくいかないと、残業が日課になったり寝つきが悪かったり、翌日まで疲れが抜けないなどの体調不良へも繋がります。身体を休め、副交感神経のスイッチを入れてあげましょう。
【交感神経スイッチを入れる方法】
照明を落とし、携帯やパソコンなどのブルーライトから目を守る
ブルーライトはエネルギーが強く、日中の「青い光」です。夜の私たちの目には刺激が強すぎる光です。コンビニやクリーニングの照明もとても明るく、夜に浴びると交感神経を刺激してしまいます。
元から眩しい場所が苦手な人は特に照明などの光には注意しましょう。
カフェイン(コーヒーや濃いお茶、エナジードリンク)を飲まない
カフェインは興奮・覚醒作用があり、その効果は4時間程度持続し、8時間ほどで体内から半減するといわれています。カフェインレスのコーヒーなどで午後はできるだけカフェインを控えましょう。
アロマやキャンドル、好きな音楽や飲み物、ヨガなどで心と身体を落ち着かせる
夜はできるだけ自分がリラックスできる状態を作りましょう。睡眠の質もあがり、翌朝の交感神経の切り返しがスムーズになります。
起床時間同様、就寝時間も一定の時間にすることで、自律神経も整いやすくなります。
布団に入る90分前にお風呂に入る
私たちの体温は「皮膚体温」と「深部体温」があり、深部体温(身体の内側の体温)は自律神経ととても深く関係しています。深部体温は起床して夕方まで徐々に上がり続け、夜になるにつれ徐々に低くなり、眠っている間が一番低くなります。
お風呂に入って温められた深部体温は90分ほどかけ、眠りにつく深部体温まで下がっていきます。
布団に入ってからの入眠時間が長い、なかなか眠くならない方は、眠る90分前を目安に湯船に浸かってみましょう。
春はどうしても身体に負担がかかりがちです。また交感神経と副交感神経のバランスは現代人にとっては通年意識すべきテーマとなりました。生活リズムを今一度意識し、無理なく自律神経を整え、気持ちの良い春を迎えましょう。