【医師監修】「食の執着」は意志の弱さだけが原因じゃない!無性にあるものが欲しくなる時のメカニズム
辛いものが無性に食べたい
亜鉛が不足している可能性があります
ストレスが溜まっていませんか?味覚が鈍っていませんか?あなたの身体が刺激を求めています。亜鉛不足の可能性もあります。
体内で起こっていること
あなたの身体が刺激を求めている可能性があります。辛い物を食べるという行為は脳科学では、ストレスによる心の痛みを他の痛みで紛らわそうとする働きがあるとも言われています。辛いものを食べると、脳はアドレナリンとエンドルフィンという二つの物質を分泌します。アドレナリンは興奮や覚醒を促す物資で、感覚を麻痺させ痛みを感じにくくさせる作用があります。そうすると今度は鎮静作用のあるエンドルフィン(脳内麻薬)の分泌が盛んになり、筋肉の緊張を和らげようとします。エンドルフィンは分泌が増えるとその受け口(受容体)も広くなります。つまり、エンドルフィンの分泌が増えれば増えるほど身体を満たすためのエンドルフィンも多く必要となり、辛い物を食べても食べても満たされない身体が出来上がっていくのです。
それと同時に亜鉛も不足します。亜鉛が不足すると、味覚が鈍くなり、味覚障害に陥る傾向があります。 そうすると辛いものを食べても物足りなくなり、また辛いものが食べたくなるという悪循環になってしまいます。イライラにはカルシウム不足が良く言われていますが、そのカルシウムを体内に必要な箇所に運ぶ働きをしているのが「亜鉛」。カルシウムを効率よく摂取するには「亜鉛」は欠かせない成分なのです。
その他の症状
アドレナリンは集中力や運動能力を高めたり、心臓のポンプや肺機能を高めたり、血流を促進する作用があり、エンドルフィンには恍惚感や多幸感、苦痛を和らげる作用や鎮静作用、筋肉の緊張を和らげ身体をリラックスさせるという良い効果もあります。よって、辛い物はストレスが紛れると同時に、このように身体を奮い立たせてくれる作用もあるため、余計に辛い物が癖になってしまいます。
辛いものに含まれている「カプサイシン」にも、全身の血行を促進し、新陳代謝を良くし、食欲を増進させ、汗を掻くことで体外に老廃物を排出させるという良い面もあります。
亜鉛不足は、味覚障害/食欲不振/皮膚炎/脱毛/生殖機能の低下/傷が治りにくい/貧血/口内炎/免疫力の低下などへ繋がります。辛い物が好きな人は、それぞれの成分が引き起こす作用も一緒に考えてみましょう。
気をつけること
辛い物を食べすぎてお腹を壊してしまった経験はありませんか。刺激の強い物質は、胃腸に負担がかかる場合も多く、消化機能の低下や栄養の消化吸収機能の低下にも繋がります。香辛料が効いた辛い食べ物に依存気味の人は、血圧が高めであったり、心拍数が加速気味だったり、呼吸が早く荒いことを示唆する研究もあります。血液がどろどろだと、心筋梗塞や脳梗塞にも繋がりますので、過剰摂取には気を付けましょう。また、辛い食べ物は刺激が強いため味覚が狂います。つい味の濃い物を食べてしまい、むくみに繋がることもあります。
摂取方法
亜鉛が多い食材として代表的なものは牡蠣ですが、その他にもカタクチイワシ/豚レバー/牛のもも肉やリブロース/南瓜(種)/胡麻/きなこ/アーモンド/ヘンプシード/ピーナッツバター/くるみなどがあります。ストレス解消法が辛いもの、という人には亜鉛を意識的に摂ってみることをお勧めします。
酸っぱいものが無性に食べたい
クエン酸が不足している可能性があります
身体が疲れている時、酸っぱいものを食べたくなることはありませんか?それはクエン酸が不足しているのかもしれません。
体内で起こっていること
酸味の元である「クエン酸」。このクエン酸は筋肉に溜まる疲労物質「乳酸」を体外へ排出する作用があります。運動をした後は乳酸が溜まるとうことをご存知の方も多いかもしれませんが、血液循環の悪い人も乳酸が溜まりがちです。筋肉痛で身体が怠くなりますが、運動もしていないのになんだか身体が怠い、腕や足が重い、勉強や考え事をしてなんだか疲れた…そんな時は乳酸が身体に溜まっている証拠です。
その他の症状
妊婦が酸っぱいものが食べたくなるというのも、乳酸が溜まりやすかったり、身体が重くなることで血液循環が悪くなるからとも言えます。また、運動をしたり頭を使ったり疲れたりすると私たちの身体は酸性に傾きます。普段私たちの身体はアルカリ性なので、アルカリ性食品を欲することが良くあります。
代表的なアルカリ性食品は、ぬか漬け/海藻類/トマト/にんじん/きゅうり/柿/パイナップル/海塩/亜麻仁油/オリーブオイル/ヨーグルトなど。実は梅干しや檸檬、お酢やヨーグルトといった酸味の強い物もアルカリ性食品に含まれます。疲れた時に酸っぱい物が食べたくなるというのは、身体の酸性をアルカリ性に戻すためであるとも考えられます。
気をつけること
クエン酸は抗酸化作用などがあり、刺激が強い成分です。取り過ぎると胃腸に負担がかかってしまい、胃痛や腹痛の原因にもなりますので、摂り過ぎには注意が必要です。逆流性食道炎や腸に障害のある方などは特にお気を付けください。
摂取方法
梅干し・酢・柑橘系にクエン酸は多く含まれています。梅干しが苦手な方は、梅シロップでもいいですね。比較的簡単に摂りやすいので夏のスタミナ不足の時にはお勧めです。「クエン酸」と同時に「アルカリ性食品」も意識して摂取してみてください。身体の回復が早くなりますよ。
AUTHOR
半田葉子
バウエル腸セラピスト/vegan菓子 [ 素果子|sugashi ] 店主 幼い頃から環境問題に興味を持つ。20代に心身のバランスを崩したことをきっかけに「からだに入れる選択」「免疫力」「心と身体のバランス」「出す力」の大切さに気づき、自然生活に活かせる食や腸を学びはじめる。会社員、自身のカフェでの菜食調理、地方veganカフェの立ち上げやメニュー提供、海外のオーガニック事情調査、腸講師などを経て、「からだ想いのお菓子を」とオンラインストア [ 素果子|sugashi ] を始動。お菓子作りを続ける傍ら、 長年のマクロビオティック生活と自身の経験や知識を活かし、個人の体質改善カウンセリング・腸マッサージの施術を行っている。InstagramID:kurashinotane_
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