【65歳以上の5人に1人が認知症になる!?】理学療法士による「ダブルタスク」認知症予防ヨガ

 【65歳以上の5人に1人が認知症になる!?】理学療法士による「ダブルタスク」認知症予防ヨガ
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堀川ゆき
堀川ゆき
2021-06-30
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ヨガに「ダブルタスク」を取り入れよう

身体と脳に適切に刺激を与えることで、認知機能の向上につながるというダブルタスク。そのダブルタスクをどのようにヨガに取り入れるのか、私が考えたヨガでのダブルタスクの例を5つ紹介します。

①CAT&COWしながら野菜の名前を言おう

CAT&COWは通常は四つ這いで背中の屈伸運動を行いますが、椅子に座った状態でもできます。私はリハビリの際は、四つ這い姿勢が苦手な高齢者だけでなく、普段デスクワーク中心で四つ這いになる機会がなかなか無い人にも、椅子でCAT&COWを行ってもらう場合が多いです。他には、花の名前、魚の名前、都道府県の名前などをあげてみましょう。

65歳以上の5人に1人が認知症に!理学療法士による「ダブルタスク」認知症予防ヨガ
Photo by Yuki Horikawa
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②40回もも上げしながら3の倍数と3のつく数字でももをより高く上げよう

立って左右の膝を交互に、できればおへその高さまで40回持ち上げます。「1,2,3!,4…」30の位になると連続でももを高く上げなければならなくなるのできつくなります。「40!」まで数え切った途端辛さで笑いが起こることも狙っています。笑うとNK細胞が活性化して免疫力が上がるという報告があるからです。

立って行うのが辛ければ、椅子に座った状態でもも上げしてもOKです。また、「3の倍数と3のつく数字」というのがまずピンと来ない人もいるので、まずもも上げ無しでカウントだけ一緒に行って説明すると良いと思います。

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③足指グーパーしながら童謡を歌おう

足の指を握って開いてを繰り返しながら、動揺を1曲歌いましょう。「ちょうちょう」「チューリップ」「ぶんぶんぶん」など何でも良いです。左右のグーパーを逆にしたり、余裕ならチョキを混ぜてグーチョキパーでトライしてください。

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④ストレッチポーズしながら日本語と英語を交互に10カウント

パスチモッターナーサナ、バタコナーサナ、あるいはトリコナーサナのような立ちポーズでも構いません。「イチ、two、サン、four、ゴ…」と日本語と英語交互に声を出して数えます。反対側や次のポーズでは「one、ニ…」と英語からスタート、更に「ten、キュウ、eight…」と逆唱はできますか?

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⑤カーフレイズを行いながら右手で△、左手で□を描く

立って踵の上げ下げを繰り返しながら、右手で△、左手で□を描きます。〇でも良いです。結構難しいですが、手だけでも十分効果はあります。

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当然、身体と頭が同時にしっかり動くことが目標です。頭で考えている間身体の動きが中途半端になっていたり、身体はしっかり動かせていても頭で考えて言葉が発せていなければ、ダブルタスクの達成にはなっていません。ただし、この5つは上手にできなくても決して落ち込む必要はありません。ダブルタスクはトライしようとすること自体が良い負荷となり身体や脳がどんどん活性化していきます。

病院でのリハビリは基本は患者さんと理学療法士がマンツーマンで行いますが、ヨガクラスで複数の生徒さんがいる中で取り入れる場合は、CAT&COWやもも上げ、カーフレイズなどの反復するポーズを繰り返しながらみんなで順にしりとりをするのも楽しめます。

もちろんシニアヨガなど高齢者対象のヨガクラスに限らず、若い年齢層のクラスで取り入れても良いです。それぞれがダブルタスクに苦戦しながら思わず漏れる笑いで、NK細胞も活性化させましょう。

まとめ

認知症は、誰しも避けて通りたい症状の一つです。認知症の早期発見・早期治療は、適切な治療やサポートを受けるために、そして傍にいる家族のためにもとても重要です。そして、運動することで認知症の発生率や進行速度を低下させることは、数多くの研究で明らかなので、日常に気軽に運動を取り入れてほしいと思います。

一人でも多くの人が認知症になることなく、また、たとえ認知症やMCIになったとしても、ダブルタスクを取り入れたヨガや運動で進行や症状を抑えながら、自分の心身と上手に付き合っていくことができることを望んでいます。

参考:島田裕之,土井剛彦「認知症予防プログラム コグニサイズ入門」ひかりのくに,2015
厚生労働省 知ることからはじめよう みんなのメンタルヘルス「認知症」

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堀川ゆき

堀川ゆき

理学療法士。ヨガ・ピラティス講師。抗加齢指導士。滋賀県出身。 モデルやレポーターとして活動中にヨガと出会い、2006年に単身渡米し全米ヨガアライアンス200を取得。その後ヨガの枠をこえた健康や予防医療に関心を持ち、理学療法士資格を取得。スポーツ整形外科クリニックでの勤務を経て、現在慈恵会医科大学附属病院ペインクリニックで勤務する。慶應義塾大学大学院医学部博士課程在学中。公認心理師と保育士の資格もあわせ持つ、二児の母。 2023年に出版の著書『理学療法士がすすめる ウェルエク-Exercise for Wellness-ウェルネスのためのエクササイズ 究極これだけやれば!身体万全』好評発売中。 https://amzn.asia/d/h3P5HRy



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