「相手のことばかり優先してしまう」自己犠牲の末に疲労や怒りを感じた時に考えたいこと
あなたは自己犠牲していませんか?自分よりも他者を優先してしまう。誰かから直接言われたわけではないのに、その場の空気を読んだり、相手が望んでいそうなことを汲み取ったりして、自ら提案をしてしまう。しかし、自由に振る舞う人を見るとイライラする。そんな悩みを抱えていませんか?自分の本当の気持ちや想いを無視し、余暇や休養などプライベートの時間を犠牲にしているため、沸々と怒りや不満が溜まっているのではないでしょうか。今回は自己犠牲について、お伝えしていきます。
いつも自分より他者を優先してしまうのは何故でしょうか?もしかして、他者の幸せや満足に対して、罪悪感や責任を感じていませんか?子供の頃から、いつも他者を喜ばせること、満足させることを中心に考え、相手が望むように振舞ってきたため、習慣的なパターンになっているのでしょうか。心の奥に「他者を喜ばせないといけない」という強い信念を抱えているのでしょうか。他者を中心に考え、他者の軸で生きることは、自分の人生を他者にコントロールされているようなものです。相手の想いを中心にしたことと、自分の想いを中心にしたことのバランスが崩れていると、気が付いているかは別として、怒りが着実に溜まっていきます。人の欲求や要求を満たしていくことで日々消耗し、自分の楽しさや自由の感覚が段々と消えてしまいます。喜びや楽しさといったポジティブな感情を感じづらくなり、代わりに空虚感や非現実感があるかもしれません。もし、あなたが自己犠牲によって生きづらさを感じているのなら、日常の中の自己犠牲的なパターンに目を向け、少しずつ取り組んでいきましょう。
自己犠牲してしまう場面をリスト化する
あなたはどのような場面で自己犠牲してしまいますか?自己犠牲しやすい特定の場面や特定の相手がいるかもしれません。例えば、「人から仕事を頼まれた時に自己犠牲して何でも受けてしまう」「上司など立場が上の人からだと自己犠牲しやすい」など、気づくことがあるでしょう。リスト化することで、同じような場面に対して事前に準備することができます。また、自己犠牲をする前に気づき、パターンを変化させるきっかけにつながるでしょう。
自己犠牲のルーツを探る
何故、自分より他者を優先するのでしょうか。そのルーツはどこにあるのか、人生を振り返ってみましょう。自己犠牲には、生まれ育った文化や環境が影響をします。日本は他国と比較して、自己犠牲が美徳とされる文化があるでしょう。そのため、子供の頃から「他者を優先することが大切だ」と教えられたかもしれません。もしくは、ありのままの自分ではなく、他者の要求に答えた時だけ認められる「条件付き承認」を受けてきたのでしょうか。共感性が高い特性を持っているため、他者の気持ちに敏感なのでしょうか。自己犠牲のルーツを振り返ってみましょう。
怒りや罪悪感に気づく
怒りは表出方法によって、対人関係を壊すことがありますが、感情自体は「悪い」ものではありません。怒りを無視したり、見ないふりをしたりすると、怒りが溜まった挙句に爆発してしまいます。怒りを直接ぶつける事や、相手を困らせるような行動をとって怒りを表出する「受動的攻撃」として表現した場合は、対人関係に影響が出ることが多いでしょう。私たちが何かを改善しようと、変化するためにはエネルギーが必要です。怒りを認めた上で、自分が変化するためのエネルギーとして怒りを利用しましょう。また、自分のことを優先すると罪悪感を抱く方もいるでしょう。しかし、何事もバランスが大切です。すでに他者のことばかり優先し、あきらかにバランスが崩れているのなら、あなたが罪悪感を抱く必要はないかもしれません。そして、相手の要求にあなたが100%答える必要はありません。人間にはできることと、できないことがあります。自分の幸せや満足は、最終的には自分で責任を持つものです。自他の境界線を意識し、あなたは自分ができることをやり、境界線から先は相手の問題だと考えてみましょう。
自己犠牲をしてしまう方は他者に気を配る中で、自分の気持ちが見えなくなり、自分の望みをさらに表現できなくなってしまいます。悪循環に陥る前に、自己犠牲のパターンから抜け出していきましょう。次回の記事では、自己犠牲に対する対処法をさらに紹介していきます。
AUTHOR
石上友梨
大学・大学院と心理学を学び、心理職公務員として経験を積む中で、身体にもアプローチする方法を取り入れたいと思い、ヨガや瞑想を学ぶため留学。帰国後は、医療機関、教育機関等で発達障害や愛着障害の方を中心に認知行動療法やスキーマ療法等のカウンセリングを行いながら、マインドフルネスやヨガクラスの主催、ライターとして活動している。著書に『仕事・人間関係がラクになる「生きづらさの根っこ」の癒し方: セルフ・コンパッション42のワーク』(大和出版)がある。
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