【知ると得する!ためになる解剖学】肩関節の可動域がぐっと広がる「外旋筋ストレッチ」やり方
ヨガに役立つ解剖学の知識を中村先生が伝授する連載。テーマは「関節」。動きの支点となる関節の構造と使い方をマスターして、体の伸び、ポーズの安定性を実感しましょう。
肩の外旋筋を鍛えて肩関節の可動域が広がれば、腕上げが楽に
肩関節は動きの自由度が高い半面、関節のつくりが不安定で障害を起こしやすい場所でもあります。そんな肩関節を安定させているのが、回旋筋腱板(ローテーターカフ)と呼ばれる筋群。肩のインナーマッスルで、外旋筋と内旋筋があります。この内・外旋筋がバランスをとり合って肩を正常な位置に保ち、スムーズな腕の動作を可能にしているのです。ところが、手を上げる機会が少ない現代人は、外旋筋が使われず弱くなり、内旋筋が緊張し続けて硬くなりがち。ウトゥカターサナで腕が上げにくい、ガルーダーサナで腕を絞り上げられないなどは、その可能性が十分。肩の可動性を取り戻すには、硬くなった内旋筋を伸ばすと同時に、外旋筋を鍛えるトレーニングがおすすめ。腕上げポーズの伸びが変わってくるはずです。
腕の関節【肩関節】
体幹(肩甲骨)と腕(上腕骨)との間。腕を上げたり下ろしたり回したりと三次元に動くところ。
上腕骨の丸い骨頭が肩甲骨の内側の浅いくぼみに接し、可動性と不安定性の両面を持つ。回旋筋腱板で安定を保っている。
確認してみよう
肘を顔の高さに上げ、手のひら正面向き。肘を固定したまま前腕だけ外に開く(肩関節外旋)。手首だけでなく、前腕全体を動かす。下写真のように開けば外旋筋の筋力は〇。
回旋筋腱板を鍛えよう
横たわり顔の前にブロック(縦置き)を置き、その上に肘をのせる。水を入れたペットボトル( 350㎖程度)を持って上下に動かす。肘は固定し、外旋筋をストレッチした状態で行うと外旋筋がしっかり刺激できる。上げるとき肩甲骨の後ろ側に刺激が感じられればOK。10回×3セット。反対側も。
腕を伸ばすことで外旋筋をストレッチ
持ち上げることで外旋筋を強化
ガルーダーサナが深まる!
両膝を曲げて脚を深く組む。できれば足首もかける。手を腰にあてて骨盤を正面に。
両肘を顔の高さまで上げ、手のひらは正面に。前腕を外に開いて肩の外旋筋を刺激。(「外旋筋のチェック」と同じ要領)。
両腕を深く組み、天井に向かって真っすぐ腕を絞り上げる。反対側も。内旋筋が伸び、外旋筋が働くことで楽に腕が上がる。
教えてくれたのは…中村尚人先生
理学療法士、ヨガインストラクター。UTLにて長年ヨガの解剖学の講師を担当。医療とボディワークの融合、予防医学の確立を目指し活動中。「TAKT EIGHT」主宰。
※表示価格は記事執筆時点の価格です。現在の価格については各サイトでご確認ください。
- SHARE:
- X(旧twitter)
- LINE
- noteで書く