肩関節の緊張が取れ、肩のつまりが解消する「腕の動かし方」【ためになる解剖学】
ヨガに役立つ解剖学の知識を中村先生が伝授する連載。テーマは「関節」。動きの支点となる関節の構造と使い方をマスターして、体の伸び、ポーズの安定性を実感しましょう。
腕を伸ばすポーズは胸鎖関節から伸ばす意識で大きく楽に!
腕を伸ばすポーズで肩がつまる、伸びにくい、と感じている人は、腕の付け根がどこなのか正しく理解できていないことがほとんどです。多くの人が、肩または肩甲骨から腕が動いていると勘違いしがち。正しくは鎖骨の付け根の胸鎖関節から腕は動きます。胸鎖関節を意識して腕を動かすことで、体の中心から腕が伸びていきます。それが、伸びやかな腕の動きにつながります。さらに、肩関節の不要な緊張が取れ、肩のつまりも解消。胸鎖関節は肩甲骨とも連動しているので、ここをしっかり動かすことで、肩甲骨の動きも良くなります。
腕を正しく動かす感覚がつかめると、トリコナーサナのように腕をダイナミックに広げるポーズがより大きく、楽になります。下のワークを実践して、腕が伸びていく心地よさを味わいましょう。
首の関節【胸鎖関節】
手で鎖骨の付け根までたどると、くぼんだ場所がある。そこが胸鎖関節の位置。腕を動かすと関節が動くのがわかる。
胸骨と鎖骨の間にあり、体幹の骨と上肢の骨をつなぐ唯一の関節として腕の動作を支えている。肩甲骨とも連動し、肩の円滑な動きにも欠かせない関節。
腕の動きで確認しよう
腕を開いたとき
OK:胸鎖関節から腕を開くと、鎖骨が動いて体の中心から腕が伸びる(横から鎖骨が見える)。
NG:一方、肩から動かすと、肩がつまって腕を伸ばしにくい(横から鎖骨が見えない)。
腕を閉じたとき
OK:胸鎖関節から腕を閉じるようにすると、肩甲骨が動いて腕が遠くまで伸びる(横から肩甲骨が見える)。
NG:肩から動かすと、肩甲骨が動かず可動域が狭い(横から肩甲骨が見えない)。
トリコナーサナが深まる!
関節をタッチ
両脚を開いて立ち、右足のつま先を右に向ける。両手で鎖骨の付け根(胸鎖関節)をさわり、そこから鎖骨をなぞるように肘を張る。
そのまま上体を倒す
肘を肩の高さで保ったまま、上体を右に倒す。鎖骨の付け根から肘が遠くに伸びて、胸が開くのを感じよう。
関節から腕を伸ばす
上体が倒れたら肘の延長に手を伸ばす。胸鎖関節から手が伸びる意識を持ち続けることで、楽に腕が伸びていく。反対側も行う。
教えてくれたのは…中村尚人先生
理学療法士、ヨガインストラクター。UTLにて長年ヨガの解剖学の講師を担当。医療とボディワークの融合、予防医学の確立を目指し活動中。「TAKT EIGHT」主宰。
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