【ガチガチのハムストリングと骨盤後傾】を解剖学で解消!太腿前と腸腰筋の筋トレ
「骨盤が後ろに傾いて背中が丸くなる」「ハムストリングが硬くて前屈が深まらない」は、レッスン時の2大お悩み。できない理由を体の機能面から分析しつつ、ポーズの入り方や筋トレで、お悩みを一挙に解決!
ハムストリングの硬さが骨盤後傾も招く
「結論から言うと、〝骨盤後傾〞と〝ハムストリングが硬い〞は、意味合いとしてはイコール。結局、ハムストリングが硬いから、骨盤が後傾するんです」と中村尚人先生。
ハムストリングは太腿裏側にあり、骨盤と膝下をつなぐ筋肉。股関節と膝関節、2つの関節にまたいでついているのが特徴です。そのため、ハムストリングが硬いと股関節と膝関節の両方の動きが制限され、「骨盤が立たない」「膝が伸びない」という、ヨガのポーズがうまくいかない悩みにつながる、と言います。
「筋肉は適度に使うことで、伸び縮みをして血流が良くなり、柔軟性を保てます。使いすぎても収縮して硬くなってしまうし、逆に使わないとゆるんだまま固まります」
使いすぎとは、ヨガのポーズで頑張りすぎて、ハムストリングを過度に伸ばしてしまうこと。
「過度なストレッチは筋肉を固めます。まずは、ハムストリングを硬くさせない体の使い方を覚えましょう。そして固まってしまったハムストリングは、反対側の大腿四頭筋を鍛えることで柔軟性を高めていきましょう」
ハムストリングってどんな筋肉?
大腿二頭筋、半腱様筋、半膜様筋からなる、骨盤と膝につながる太腿裏の筋肉群。股関節の安定や、膝を曲げる、外旋させるなどの働きを担い、体幹が前に倒れることを防ぐ。
「坐骨で座る」のは骨盤を起こしやすくするため
「〝お尻の肉をかきわけて座って〟と言われることがありますが、これはハムストリングと骨盤の付着部を伸ばして座るということ。股関節がしっかり屈曲して、骨盤が起きやすくなります」
骨盤後傾&ハムストリングの硬さをcheck!
3つのポーズで骨盤後傾&ハムストリングの硬さを確認。
ダウンドッグ
・坐骨が天井に向いている
・骨盤が起きている
ダンダーサナ
・骨盤が起きている
・膝が伸びている
アルダハラーサナ
・床と腰の間に手が入る
・膝が伸びている
2大悩みの原因はヨガ独特の動きにアリ
人間の体は、骨盤を起こせば膝が曲がるし、膝を伸ばせば骨盤が寝てしまう、というようにできています。
「ところがヨガでは、たとえばウッターナーサナのように、骨盤を起こしながら膝も伸ばす、というような動きが要求されます。つまり、体の構造上、不自然な動きを強いられてしまう。結果、ハムストリングが非常に伸ばされて、〝キツイ〞と感じてしまいます」
だからハムが硬いと感じるのは当たり前、と中村先生。「痛みをガマンして伸ばしても体が硬直するだけ。骨盤を立てることと膝を伸ばすことなら、優先するのは骨盤です。 膝はゆるめて、股関節を屈曲して骨盤を起こしましょう」
「骨盤を起こす」と「膝を伸ばす」の両立は難しい!
骨盤を起こすとハムストリングが骨盤に引っ張られ膝が伸びにくい。
難
骨盤を起こしたら、膝がゆるむのは自然なこと。これならキープも楽。
易
反対に膝を伸ばすとハムストリングが膝に引っ張られ、骨盤が後傾。
易
普段の生活ではハムストリングがゆるみがち
「膝を伸ばしながら、骨盤を起こす」OK動作は、普段の生活では存在しません。つまり、ハムストリングが最大限伸長する機会は日常にほぼなく、筋肉がゆるんだまま過ごしています。
テレビを見る
膝を伸ばすと股関節が倒れる。
物を拾う
骨盤を起こすと膝が曲がる。
解決の糸口は太腿前&腸腰筋の筋トレ!
ハムストリングの硬さを解消す るには、実はストレッチではなく筋トレをするのが正解とか。
「体にとって、ある意味すごく不自然なことをやっているのがヨガのポーズ。だからこそ、ポーズのために必要な筋肉を、わざわざ鍛える必要があります」(中村先生)
ターゲットは、ハムストリングの相反する筋肉である大腿四頭筋と、股関節にある腸腰筋。
「大腿四頭筋は膝関節を伸ばす筋肉、腸腰筋は股関節を屈曲させて骨盤を起こす筋肉です。これらをきちんと使えるようになれば、ハムストリングの柔軟性が上がり、ヨガ独特の体の使い方もできるようになる。同時に骨盤後傾の問題も解決です!」
股関節と太腿の筋肉を鍛えて解決!
日本人は骨盤後傾が圧倒的多数!
「日本人の8割は骨盤後傾の傾向に。逆に西洋人は骨盤前傾が多いですね」と中村先生。そのため、立位のポーズで「坐骨を床に向ける」ことを意識しすぎると、さらに骨盤が後傾してしまい、結果ハムストリングも伸びなくなるので要注意!
緊張をゆるめ・骨盤を起こし・膝を伸ばすハムストリングを柔らかくするワーク
ハムストリングを緊張させない体の使い方を覚えよう
実は体の使い方が原因で、ハムストリング本来の柔軟性を発揮できていない場合も。まずは筋肉を緊張させない方法を覚えて。
ポーズの入り方を変えるだけでも柔軟性が!
ハムストリングの柔軟性が十分あるにもかかわらず、動き方によっては、「膝を伸ばして骨盤を起こす」ことが難しくなる、と中村先生。「立位や長座から前屈のポーズを行う際、体は〝頭が足に向かって落ちる〞と感じます。頭が落ちるのは体にとって恐怖。上体が倒れてしまわないよう瞬時にハムを緊張させるので、一時的に筋肉が硬くなってしまう場合があります」そこで、ポーズの入り方を変え、ハムストリングにかかる緊張のブレーキを外すことが大切。本来の柔軟性にアプローチできるようになります。「脳を安心させると、筋肉の緊張がほどけ、本来の柔軟性を発揮できます。骨盤を起こすことを優先するので、膝はゆるめてスタート。過度な緊張をなくして、ポーズを深めていきましょう」
前傾姿勢になるとハムストリングが緊張!
人は前傾姿勢になると自然と体の裏側の筋肉が硬くなり、体が前にバタンと倒れないようにストップをかける。日常生活でも、洗顔時などはハムストリングが緊張状態に。
ウッターナーサナ
普段の入り方は...
両脚をそろえて立ち、両腕を左右から回して頭上に伸ばす。
背すじを伸ばしたまま、息を吐いて股関節から前屈。
背中から太腿、膝裏に伸びを感じながら前屈を深める。
両手を床について筋肉の緊張をほどく
ウッターナーサナはいきなり頭を下げずに、しゃがんで両手を床についてスタート。「〝手をついているから大丈夫〟と体が安心し、ハムストリングが硬くなりません。そのまま足裏で床を強く押しながら、膝を伸ばしていきましょう」(中村先生)
両脚を揃え、膝を曲げてその場でしゃがみ込み、両手のひらを床につける。
息を吐きながら膝を伸ばし、お尻を高く上げる。背すじが伸びた状態をキープ。背中が丸くなる場合は膝をゆるめて。
パスチモッターナーサナ
普段の入り方は...
長座になり、下腹部を引き上げて両腕を頭上に伸ばす。
体の前面を長く保ったまま股関節から前屈。
下腹部を太腿につけ、呼吸とともに前屈を深める。
曲げた膝のほうから段階的に前屈を深める
片膝を曲げると、「片方が曲がっているから大丈夫」とハムストリングの緊張がゆるみます。また、いきなりフルに前屈するとハムストリングが緊張するため、まずは前腕を床につけて上体を浅く倒して。徐々に胸と脚を近づけましょう。
床に座る。右脚を前に伸ばし、左脚は膝を曲げてかかとを右脚の付け根に近づける。
左太腿の上に向かって、上体を股関節から前屈。両腕は前腕から先を床につける。
両手を少しずつ右にずらしながら上体を移動。下腹部を右腿の上に近づけ呼吸とともに前屈を深める。反対側も。その後、パスチモッターナーサナをすると楽に前屈できる。
腿とお腹をつけたまま徐々に膝を伸ばして
太腿を抱え込んで体と密着させることで、頭が前に倒れる恐怖心からハムストリングを解放します。骨盤を起こし、背中が真っすぐ伸ばせる範囲で、徐々に膝を伸ばしていきましょう。
両脚を前に伸ばして長座になり、骨盤をしっかり起こす。両手は体の横におく。
股関節から上体を前傾させ、太腿を引き寄せて下腹部に密着させる。両手で左右から足をつかむ。
息を吐きながら、両膝を伸ばしていく。このとき太腿と下腹部は密着させたまま離さない。
教えてくれたのは...中村尚人先生
理学療法士、ヨガインストラクター。TAKT EIGHT主宰。理学療法士としての知識と経験を生かした指導で人気。医療とボディワークの融合、予防医学の確立を目指し、指導者育成、執筆活動、講演等幅広く活動。
モデル...福田萌子さん
沖縄県出身。スポーツトラベラー、バレトントレーナー、adidasグローバルアンバサダー。ロードバイクやトレイルランニングなどが趣味のアクティブ派。特技はヨガと華道。現在、雑誌やTV、CM等で幅広く活躍中。
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