トランスジェンダーとノンバイナリーのコミュニティが「安心してヨガをする」ために必要な環境とは?

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トランスジェンダーとノンバイナリーのコミュニティが「安心してヨガをする」ために必要な環境とは?

Courageous Yogaの創設者であるジョーダン・スマイリーさんは、トランスジェンダーとノンバイナリー(自身の性認識を男女の枠組みに当てはめないセクシャリティ)のコミュニティがヨガを実践する上での安全で包括的な環境作りというミッションについて語ってくれました。

私は世間でよく知られるヨガのチェーン店のデスクにもう何年も座り、生徒たちがドアへと駆け込む様子を見てきました。彼らはキャンバス生地のバッグを急いで受付に置き、鍵をジャラジャラ鳴らしながら、私に名前を伝え、まるでプールパーティーに急ぐ若者のようにクラスにダッシュするのです。

新しく入会した人たちに水飲み場やスタジオの場所を教えたり、それぞれのロッカールーム–男性用・女性用を案内したりするのが私の役目でした。トランスジェンダーの一人、また長年のヨガ経験を持つ生徒またティーチャーとして、誰かが性別分けするたびに胃がおかしくなりそうでした。そこで、ノンバイナリーの生徒の一人であるメルにこの経験について聞いてみたところ、「誤解されているようで恥ずかしく感じまた。大人だから、自分で正しいロッカールームを見つけられる」と述べました。

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現代ヨガにおける2つの性別の存在というのは、植民地時代のアメリカの家父長制の社会規範と白人社会に基づいています。現在、北米として知られているエリアに暮らす500以上の先住民族の人々は、性別の表現は各伝統によって大きく異なりました。アフリカから北米へと強制的に移動させられ、奴隷として働かされた人々も同様です。マリア・ルゴネスやグロリア・アンザルドゥアなどの脱植民地化を目指すフェミニストは、2つの性別の明示や暗黙化は、先住民の慣習(例えば、女系家系、受胎能力のアファメーション、ノンバイナリーのジェンダー表現)を抑制し、白人、シスジェンダー(生まれたときに割り当てられた性別と性同一性が一致し、それに従って生きる人)、そして男性に主権を与え、その結果は今日、私たちのヨガスペースでも見ることができると述べています。

ヨガスタジオにおけるジェンダー、また公平で包括的なヨガの実践スペースを作ることに関して言えば、私たちの発する言葉や行動が、害またはアヒンサー(サンスクリット語で非暴力を意味する)をもたらす可能性を秘めています。そして私たちが歩む人生の道、また仲間のヨガプラクティショナが切り開く道もそれぞれの選択によるものです。

このような理由から私はこの7月、コロラド州デンバーにCourageous Yogaをオープンしました。私たちは、ヨガを開放の実践であると信じ、アンヒサー(反抑圧のワーク)を必須条件として中心に据えています。トランスジェンダーとノンバイナリコミュニティをサポートする一般的な方法の一つとしては、ティーチャーたちが人称代名詞を言語化することです。コミュニティメンバーに対してそれぞれの人称代名詞を聞くようにし、“彼”とか“彼女”の使用を当然と思わずに「彼ら」を使うことを標準化します。また、全ジェンダー用トイレを提供し、肌に触れる前に同意を確認し、教室では「友達」や「みんな」など性別を強いることのない包括的な言葉を使用します。私たちはジェンダーについて考えるよう定義づけられてきた結果が言葉に現れます。それ故、我々のスタッフはアンチ・オプレッション(反抑圧)トレーニングを受けます。そのトレーニングによって、ヨガスペース内で不注意や無意識のうちに人を傷つけるような社会的によくある状況を避けることができます。

環境とビジネスモデルへのもっと適応できれば、トランスジェンダーとノンバイナリーの人々の安全と帰属を生み出す手助けとなります。例えば、スタジオオーナーは、スタジオ内の装飾やパンフレットにジェンダーがどう表現されているか、スタッフ(フロントデスクから清掃係、ティーチャーに至るまで)はどうか、またパートナーシップを結んでいる組織やサードパーティー企業においてはどうか、などを把握する必要があります。物理的な構成要素(私たちの目に見える空間的要素)を変えることも重要ですが、その場しのぎに表面を繕うのではなく、スタッフたちに自分たちの信念を改めて見つめ直させ、改めるべき点は改めさせ、ジェンダーへの理解を永続的に意識できるよう指導を行なっていくことです。

トランスジェンダーとノンバイナリーの生徒、そしてスタッフを本当の意味で包括的にするためには、問題の根源である:私たちの視点の基本となっている構造的な現実について考える必要があります。例えば、ジェンダーの二元制というのは、男性か女性かを問うロッカールームや学生登録書や男女別に販売されるアイテムからも明らかです。また、男女の分類は言葉からも明らかです。例えば、女性のグループを「レディース」と呼びかけて挨拶したり、上半身トレーニングの前に部屋にいる男性に「ガイズ」と呼びかけたりします。以前、ティーチャーが性別に合うような色で筋力トレーニング用ツールを配っているのを見たこともあります。

結局のところ、ジェンダーの二元性が存在することで、見た目によるアイデンティティから性別予想の標準化ができる方がうまく機能するからです。しかしながら、虐げられているグループがしばしばその犠牲となっています。メルは私に次のように述べました。「数々のヨガスタジオで、自分はまるでそこに存在せず、排除されているかのように感じたり、さらには自分を恥ずべきとさえ感じたりしてきた。こういった場も一部の人にとってはヒーリングスペースだろうけれど、私のアイデンティティの場合、たいてい皆が共有できるはずの安心感からは除外されている」。

どんなに私たちが認識しようとしても、こういった暗黙の規範によって、私たちの可能性や元来持つ自然な姿、体の非二元性、先天的な知恵が見えにくくなってしまいます。もし包括的なヨガとヒーリングスペースを作りたいと考えるのであれば、決して簡単なことではないけれど、ジェンダーの二元制とそれに由来する家父長制の規範を支持または疑問視する方法を見直す必要があります。

幸いにも私たちには、挑戦しながらも巧みに動き、アヒンサーを体現する実践方法がありますから。

教えてくれたのは・・・ジョーダン・スマイリーさん
ジョーダンさんはフルタイムの学生であり、ERYT-500保有のヨガティーチャー、またCourageous Yogaのクリエイティブ・ディレクターでもある。ヨガが個人的・対人的・集団的解放のための強力なツールであることをよく理解し、哲学、瞑想、アーサナを指導している。

ヨガジャーナルアメリカ版/「Let’s Create Safe Spaces for Transgender and Nonbinary Yogis

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By JORDAN SMILEY
Translated by Hanae Yamaguchi

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