「緊張してうまく話せない…」臨床心理士が教える過緊張を解く4つの対処法
職場や取引先、様々な対人関係…あなたは緊張しすぎることに悩んでいませんか?「過緊張」とは、ストレス場面で過剰に交感神経が優位になり、緊張が高まりすぎてしまうことです。過緊張状態が続くと、頭痛などさまざまな身体症状や不眠にもつながりやすくなります。今回は過緊張への対処法についてお伝えをしていきます。
過緊張による影響とは
過緊張はなぜ起こるのでしょうか。過緊張を引き起こす原因は、ストレスによる自律神経のバランスの崩れにあります。 自律神経は交感神経と副交感神経からなり、両者は上がったり下がったりしながらバランスを保っています。主に、日中は交感神経が優位な状態になり、夜間は副交感神経が優位な状態になります。しかし、強いストレスを感じた時や、慢性的なストレスを感じている時など、交感神経が高ぶったまま副交感神経への切り替えがスムーズに行われなくなることがあります。交感神経が優位になり過緊張状態が続くと、睡眠障害や頭痛・肩こり、胃腸の不調、疲労感など、様々な身体症状の原因になってしまうのです。
過緊張への対処法
それでは過緊張状態にはどのように対処していけばよいのでしょうか?今回は対処のポイントを4つご紹介します。
1.感情に気づき否定しない
まずは、自分が緊張している状態にしっかりと気づくことです。そして緊張に気づいたら、緊張している気持ちを否定せずに受け入れていきましょう。緊張しているからダメだ、緊張を無くそうとせず、まずはあるがままの自分の感情を認めていきます。自分の感情に客観的に気づくためには、マインドフルネス瞑想がおすすめです。自分の呼吸を観察しながら、頭の中に生じた雑念や感情など、様々なものに気づき、受け入れ、ふたたび呼吸に注意を戻します。マインドフルネス瞑想に慣れてくると、呼吸を観察するだけで気持ちが落ち着き、リラックス効果も得られるかもしれません。
2.注意をそらす
感情に注目しすぎると、感情はどんどん大きくなり、長く続いてしまいます。みなさんも「緊張している!なんとかしないと!」と緊張を意識した途端にますます緊張が強くなった経験があると思います。感情に注目しすぎる時は、上手に注意をそらすスキルも必要になります。例えば、深呼吸をしながら吐く呼吸に注意を向けたり、ヨガのポーズを取りながら身体を動かす感覚や筋肉の伸びや縮みに注意を向けても良いでしょう。歌を歌ったり、動画を見たりしても良いかもしれません。自分なりの注意をそらす方法を探してみましょう。
3.呼吸を整える
緊張している時は、呼吸が浅く早くなっている場合が多いものです。自律神経を整えるためには、深くゆっくりとした呼吸が必要です。細く長く息を吐きながら、吐く呼吸に意識をおくことで、副交感神経に働きかけることができます。血流がよくなり、筋肉が緩んで、緊張が緩和されるでしょう。
4.筋肉をゆるめる
緊張している時は身体に力が入り、筋肉が硬直している場合が多いです。筋肉を緩めることで、気持ちもリラックスしやすくなります。握りこぶしにぐーっと力を入れて、パッと手を離すように、グーパーグーパーを繰り返したり、力を入れながらぐーっと肩を持ち上げ、ふわっと力を抜くなど、力を入れる、緩めるという動作を繰り返してみましょう。
緊張は決して悪いものではなく、誰でもするものです。あなたはなぜ緊張するのでしょうか?おそらく「やる気があるから」「頑張ろうと言う思いがあるから」緊張しているのではないでしょうか。緊張している時は、その物事への想いが強いことのサインかもしれません。けっして、緊張は悪いものではありません。完全なリラックスではなく、適度な緊張状態の方がパフォーマンスを発揮することができます。例えば採用面接でリラックスしきっていると、咄嗟の質問に対応できなかったり、やる気があまり伝わらないかもしれません。大切なのはバランスです。緊張とうまく付き合いながら、自分の想いを上手に生かしていきましょう。
ライター/石上友梨
臨床心理士/公認心理師 大学・大学院と心理学を学び、警視庁に入庁。職員のメンタルヘルス管理や、心理カウンセリング、スポーツ選手へのメンタルトレーニングなどを経験。ヨガや瞑想を本場で学ぶためインド・ネパールへ。全米ヨガアライアンス200取得。現在は認知行動療法をベースとした心理カウンセリング、セミナー講師、ライター、ヨガインストラクターなど、活動の幅を広げている。また、発達障害を支援する活動にも力を入れている。https://cbt-yoga.com
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