【体験記】中毒性のある行動を制限「ドーパミン・ファスティング」で得られたものとは?

iStock Nicky Lloyd

【体験記】中毒性のある行動を制限「ドーパミン・ファスティング」で得られたものとは?

例えば、SNSをスクロールしたり、セックスしたり、ある一定の食べ物を摂取したり、お酒を飲んだり、そういった衝動的な行為を避けると未来はもっと楽しいものになるでしょうか? 私はその真相を明らかにするため、それらをやめてみました。

ごく普通の日、私の脳はものすごい速度で動いています。新型コロナウィルスによるパンデミックの最中、その速度はワープするかのようなスピードで進み続けています。

ビデオカセットを早送りするかのような、そして日常生活から厳選された画像と感情をノンストップで映し出すタイムラスプショーのような夢を夜な夜な見ることを自分のメンターに伝えました。すると彼女は、私が動くのをやめずに生産性、また、次の執筆内容に常に執着していることを指摘しました。そして私は常に前へ、前へ、前へと前進し続けることが自分のメンタルヘルスに影響を及ぼしていることに気づいたのです。

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この3月、私は家族葬のために数日間母の家を訪れましたが、ボストン周辺で新型コロナウイルスが蔓延していたため、気づいたらそこに長居していました。常に悲しいヘッドラインが目につき、SNSにどっぷり浸かり、パンデミックのことが肩に重くのしかかり、悲しさと不安の重圧を感じ始めました。

そして私は自分の健康状態に影響を与えている雑音を脳から一掃する必要があることを認識し、究極のリセットボタン:ドーパミン・ファスティングを決意しました。ご存知のない方に説明しておくと、ドーパミン・ファスティングとは衝動的な行為(例えば、SNSをスクロールしたり、セックスをしたり、ある一定の食べ物を摂取したり、お酒を飲んだりなど)によって脳が心地よくなる化学物質、ドーパミンが大量に放出されるのを最適化し、潜在的に中毒性のある行動を管理することです。

ドーパミンを元に戻す

カリフォルニア大学サンフランシスコ校医学部精神科の臨床助教授であるキャメロン・セパ博士は、ドーパミン・ファスティングを有名にした人物です。また、プロとしてのパフォーマンスを最大限に高めようとするハイテク企業の起業家たちに人気がある人物です。彼は脳内で自然に発生するものを取り出して調べることはできないため、ドーパミン・ファスティングは誤解を招く可能性がある、と述べています。しかし、ドーパミンの値は喜びを感じたときに上昇するのは確かであるため、私は刺激を控えることで未来がもっと輝くのではないかという考えは一理あるのではないかと考えました。また、スマホの音が鳴るたびに気が散ったり、好きなお菓子を貪るように食べたり、自分の悪い癖を止めて、もっと完全なる喜びを体験したいと思ったのです。

しかしながら、専門家たちによるとそれは大きな誤解だと言います。私たち自身のドーパミンの値は、過度な刺激活動を避けたとしても、減らすことができるものではないことが理由だと言います。ドーパミンは、耐性を構築する外用薬のようなものではありません。しかし、ドーパミン・ファスティングがストレスを軽減したり、マインドフルネスの実践を行ったりすることは有益である可能性があると専門家たちは言います。セパ博士自身、仕事終わりにたった1時間であっても、ファスティングを生活に取り入れることを薦めています。私の場合は12時間に設定しました−この時間、スマホを見ないのは途方もなく長く感じるものの、なんとか成し遂げられる長さです。

ドーパミン・ファスティングは仕事と画面に向かう時間を避ける以上のことを意味します。私は恥ずかしいことに、電子メールをチェックしたり、テキストメッセージに返信したり、Twitterを見たりすることなく、半日過ごすことが私にとって最も怖かったと認めざるを得ません。

しかし、(新型コロナウィルスによる)ロックダウンの指示により、ホットヨガクラスに出席したり、友達とコーヒーを飲んだりすることができなくなりました。–ちなみにこれらの活動は私の気分転換に役立っていました。今のような状況は滅多にないということを理解した上でこの実験を行うことにしました。

iStock Tapui
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ファスティングのはじまり

月曜日の午前10時にファスティングを開始しましたが、これから12時間もの間、おやつを食べることなく過ごすのは途方もなく長いだろうな、と感じていました。窓際に座って太陽を眺めながら、SNSやメールをスワイプしながらカフェインの入った飲み物を飲む(私の日課)代わりに炭酸水を飲みました。そして、その日に取り組みたいタスクに執着しないことを心に決めました。

約15分後、私は自分のTwitterをチェックしたいという明らかな衝動に駆られました。–ちなみに通常1日に約50回行っています。時間が経つにつれて、スマホを見たいという衝動が高まりました。まだ見ていないヘッドライン(ニュースの見出し)は何かあるだろうか?圧倒された自分の気持ちと戦うため、感謝リストを書き綴ったり、優しめのストレッチをおこなったり、ドーパミン・ファスティング的にOKなエネルギーをあまり必要としない行動にフォーカスしました。窓の外には鳥たちが飛び交うのが見えました。鳥たちの日常は新型コロナウィルスによるパンデミックとは無縁です。

10分間の瞑想セッションの代わりにソファで2時間昼寝をしました。普段だったら、イヤホンでポッドキャストを聴いたり、スマートウォッチで心拍数の増加をチェックしたりして気分を高めて散歩するところ、近所をただのんびりと散歩しました。今回はただ歩くことに専念しました。

自分自身と一緒にいる今に集中しました。自分の周りで起こっていることにもっと注意を払おうとしていると、家の庭でハキー・サック(お手玉を蹴り上げるゲーム)を楽しんでいる父娘を見かけました。彼らの喜びに溢れた表情は私の心を温めてくれました、そして自分の日常に欠かせないテックアイテムに消費されるのではなく、気づきが得られたことに喜びを感じたのです。午後の早めの時間には、お腹が空きました。普段だったら一日中無意識のうちにおやつを食べているので、いつもはさほどお腹が減っていないことに気づかされました。ゆっくりとしたラグジュアリーなシャワータイムの後、母親の暖炉に火を灯し、その燃える火を観察しました。残火が埃や煤に変わると、まるで催眠術にかかったような感覚になり、その音はASMR(感覚絶頂反応)のように聴こえました。

私はリビングルームに座って、暖炉のそばに置いてあったL.L.BeanとTalbotsのカタログを読んだ後、火に入れて燃やしました。読書に時間をたくさん費やし、ジャーナリストのティナ・ブラウンによるヴァニティ・フェア・ダイヤリーズを読み耽りました。通常、眠りにつく前に毎晩10〜15分しか読みませんが、その日は100ページ以上の本を読みました。–こんな機会がない限り、1か月はかかるでしょう。

午後10時にファスティングが終わる頃には、食事が楽しみでワクワクしていました。飢餓状態だったものの、私が必要なものと機械的に一日中消費している者との違いを認識しながら、ゆっくりと食事しました。そしてついに、スマホをチェックできる時間が訪れました!テキストやメールを閲覧し、編集者や友人からのメッセージに返信しました。そして全てをチェックし終えた時、あることに気がつきました:それほど見逃したことはなかったということです。

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ファスティングで得られたこと

ファスティングは終わっても、ロックダウンの日々はしばらく続きました。しかし今、私はその状況を違った見方で向き合い、自分の生きている世界をよりよくするためにこの経験からの学びをどう活かせるかを考えています。スピン&バーなど、パンデミック前に通っていたフィットネスクラスにはまだ参加できていませんが、代わりに毎晩、近所を周って5マイル(約8キロ)散歩することにしました。

その実践のゆったりとした感じが今の私の思考をオフにし、ドーパミン・ファスティングの間に経験した一種のアウェアネス(気づき)が活性化されるのを願いながら、繰り返すことを受け入れました。老朽化した家の前の庭に生える美しいピンク色のマグノリアの木と、枝に留まる明るい黄色の鳥、アメリカゴシキヒワに魅了されました。

こんなにもシンプルな喜びに感激し、ロックダウンの生活そのものがドーパミン・ファスティングだったのではないかとふと気がつきました。自分や他人を守るためにステイホームするよう言い渡された数週間、私は自分の周りの自然界に刺激を見つけざるを得なくなりました。すると感覚が高まりました。地下鉄の列車を追いかけたり、コーヒーショップで何時間も働いたりすることがなくなり、毎日の生活を見つめる余裕が生まれ、私に欠けていたマインドフルネスのツールを見つけることができました。

今日、12時間全くスマホを見ないというのは定期的にはしていませんが、ドーパミン・ファスティングの一部は行っています: 毎朝、屋外の太陽の下でコーヒーを飲みながら、5分間の瞑想を行います。

教えてくれたのは・・・・メーガン・ジョンソンさん
メーガン・ジョンソンさんはカナダにあるマウント・アリソン大学で文学士号、またマギル大学で教育学修士号を取得。子供と大人のための認定ヨガインストラクターであり、マインドフルネスインストラクターでもある。またメーガンさんは、教育者向けのヨガ&マインドフルネスのオンラインリソースを提供するウェブサイトとブログ、Learning Lotusesも運営している。

ヨガジャーナルアメリカ版/「YJ Tried It: Dopamine Fasting Helped Me Appreciate the Present

By MEGAN JOHNSON
Translated by Hanae Yamaguchi

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