チャリティは特別なことではない|イギリス発祥「チャリティーショップ」から学ぶこと
チャリティーが盛んなイギリス。それは「チャリティーの国」と呼ばれるほどで、多くの慈善団体が存在し英国に住む人々の生活に根付いています。筆者がロンドンに住み始めて驚いたことの一つが人々のチャリティー精神でした。今回はその慈善団体のベースとなる活動の一つチャリティーショップについてご紹介します。
チャリティーショップとは?
チャリティーショップの歴史は古く、1899年イギリスで盲目の人たちへの寄付が始まりとされています。慈善団体が運営するチャリティーショップには市民の人々が使わなくなったものなどを寄付し、その持ち込まれたアイテムの仕分けや値付け、店頭に立ちお客様への対応や季節に合わせたショーウィンドーのディスプレイをするなどスタッフとしてボランティアをする人たちによって成り立っています。それにより得た収益がさまざまなチャリティー活動に充てられるという仕組みです。
販売される商品は衣類や靴、装飾品、絵、本、食器、おもちゃ、家具などと幅広く、お店によってはカフェスペースが設置されていたり食品を販売しているところもあります。
今ではイギリスのハイストリート(繁華街)には数多くのチャリティーショップがあり、12000店舗以上あると言われています。
世界90カ国に展開されている団体Oxfam(Oxford Committee for Famine Relief:オックスフォード飢餓救済委員会)も1942 年にイギリスで設立されました。Oxfam GB年間レポートによると、2018年から2019年のショップの売上のみならず全ての総収入は4億3410万ポンド(日本円約589億円)だったそうです。
イギリスのチャリティー団体
チャリティーショップにはさまざまなお店があり色々な活動のサポートに繋がります。
Oxfam GB /世界の貧困と不正根絶を目的とする団体
British Heart Foundation /心臓病患者や家族を支援する団体
Cancer Research UK /ガン研究・ガン患者や家族を支援するガン撲滅研究団体
Princess Alice Hospice /患者と家族を支援する団体
Barnardo’s /イギリス最大の子ども支援団体
Marie Curie UK /終末期患者や家族へ支援する団体
Shelter /劣悪な住環境生活者やホームレスを支援する団体
Scope /障害者を支援する団体
RSPCA /国王立動物虐待防止協会・動物福祉を目的とした団体 など。
ひとつの道に何店舗も並ぶハイストリートもあり、高級住宅街にはブティックのようなハイセンスのショップや、本や音楽専門店などもあり色々なショップを巡りながら買い物が楽しめます。
新型ウイルスの影響によりチャリティーショップの閉店も余儀なくされ、今までのように支援が難しくなる団体も多くなったようです。そこでイギリス政府は慈善団体に1000億円相当を助成したそうです。最近では、100歳の英退役大尉トム・ムーアさんがイギリスの医療従事者を支援するため寄付金を募り自宅の庭を100往復する姿が注目され、これまでに3000万ポンド(約40億円)が集まったと大きな話題となりました。
またイギリスでは3月に英国最大のチャリティーイベント「Red Nose Day(レッドノーズデー)」もあり、赤い鼻をつけて笑いの力で子どもたちを貧困から救おうと始まったものです。子どもの頃からチャリティーが身近にあり、チャリティーは楽しいものと捉えている人が多いように感じます。
チャリティーというとセレブや大富豪の方たちによって大きな額を寄付するというイメージがあるかもしれませんが、私たち一人ひとりの心がけによって小さな寄付や小さな行動がもっとチャリティーを身近にできるのかもしれません。
ライター/成瀬美紀
ヨガインストラクター。2010年にピラティス・ヨガを始める。その後、国内外でピラティスやヨガ・サップヨガなどのインストラクター資格を取得し、東京にてインストラクターとして活動。 現在はイギリスロンドンに在住。
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