早期死亡のリスクを高める「孤独感」和らげるためにできるたった２つのこと

孤独を感じながら街を歩くと、自分だけ世界から「浮いている」ような感覚を味わうかもしれません。幸せそうな笑顔の人、平和に過ごしている人、まるで自分だけが「おかしくて」「悩んでいて」「孤独を感じている」そんな気がしてしまうかもしれません。自分はここにいるはずなのに、しっかりと生きていない、人と繋がっていないような感覚を感じる人もいるでしょう。

孤独感は「自分はひとりぼっちだという感覚」のことです。一人ぼっちで、寂しくて、心が通じ合う人がいないように感じる気持ちのことです。孤独感が高まると、世界中にはたくさんの人がいるはずなのに、自分たった一人だけが世界から切り離されたように感じてしまいます。

孤独感の影響

孤独感は健康や寿命と関連があります。例えば、孤独感は心臓など循環器疾患や、高血圧、糖尿病などに影響を与えます。また、孤独を感じている人はそうでない人に比べて、早期死亡のリスクが50％高いというアメリカの研究結果があります。孤独感によって、落ち込みや悲しみという辛い感情が強くなるだけでなく、体にも様々な影響を与えます。心身の健康のためにも孤独感を和らげる対処をしていきましょう。

孤独感を和らげるために

アメリカの心理学者クリスティン・ネフ先生は「他者との共通性」を意識することを重視しています。私たちは誰しも共通の人間性を持っています。誰にとっても強いストレスは辛いものだし、誰しもコンプレックスや悩みを抱えています。他者との共通性を意識することで孤独感が和らぎ、安心感が感じられます。

例えば、難しい試験を終えたとき「みんなうまくできたのかな？」「自分だけ出来が悪かったらどうしよう」と考えていると、不安な気持ちが大きくなります。しかし、周囲の人が「全然分からなかった！」「今日の試験難しくない？」と話しているのが聞こえたら、「他の人も自分と一緒だ」と感じて安心しませんか？他者との共通性を感じることで、私たちは安心して、穏やかな気持ちになります。孤独感を感じたときこそ、意識して他者の中に自分と共通の部分を見つけてみましょう。

1.劣等感を乗り越える

私たちはついつい他者と比較してしまいます。しかし、人との違いを意識すると、自分のダメなところばかり目につき劣等感を抱きやすくなります。私たちはみんな違う人間なので、「容姿」「能力」「職業」「収入」など外側から観察できる違いを意識すればどんどん見つかってしまいます。しかし、それぞれの内面まで目を向けると、必ずコンプレックスや悩み、ストレスを抱えています。他者の悩みやコンプレックスに気づくことは、自分自身の劣等感を乗り越えるために必要なことです。広い視点で眺め、他者との共通性を探ることで、今まで感じていた劣等感は変化をしていきます。

2.人との繋がりを強める

他者の悩みに注意を向け、「他の人も悩んでいる」と他者の視点に立つことは自己中心的な考えから抜け出すことになります。独りよがりな考えから共感的な理解を示すように変化することで、他者との繋がりが強まり、対人関係にも良い影響を与えます。それによって、人との繋がりがさらに強くなり、孤独感がより軽減するという好循環につながっていきます。他者の悩みにも気づき、他者視点に立つことは、ダイバーシティ（多様性）が求められる現代社会でも必要なことです。例えば、グーグルなどで人材育成を行なっていたピョートルさんは「メンタル的にタフなチーム作りには、「みんな一緒」と感じられることが大切」と言っています。他者と一緒であるという共通意識を経験できることで、信頼感や人間関係を深め、プライベートだけではなく、仕事においても好循環が生まれるのではないでしょうか。孤独感を感じて辛い時こそ、他者との共通の部分を意識してみましょう。

ライター／石上友梨

臨床心理士/公認心理師 大学・大学院と心理学を学び、警視庁に入庁。職員のメンタルヘルス管理や、心理カウンセリング、スポーツ選手へのメンタルトレーニングなどを経験。ヨガや瞑想を本場で学ぶためインド・ネパールへ。全米ヨガアライアンス200取得。現在は認知行動療法をベースとした心理カウンセリング、セミナー講師、ライター、ヨガインストラクターなど、活動の幅を広げている。また、発達障害を支援する活動にも力を入れている。https://cbt-yoga.com

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