熟練ロッククライマーヨギが教える「体幹・バランス・柔軟性」を養う6つのポーズ
より安全にスポーツを楽しむためには、体の柔軟性を高めて体幹を鍛えることが不可欠だ。カナダ在住のヨガティーチャーで、熟練したロッククライマーでもあるリディア・ザモラノが考案した6つのプラクティスを使って、運動能力を高めよう。このプラクティスは、ロッククライミングやボルダリング以外にあらゆるスポーツを楽しむのに役立つはずだ。
ロッククライミングに必要な技術を高めてくれるヨガ
アメリカのクライミングジムに行くと、ハーネスやクライミングシューズなどの用具と一緒にヨガマットが置いてあることが多い。ヨガクラスを設けているジムもあるだろう。ロッククライミング初心者であろうと熟練していようと、ヨガは岩肌をよじ登るのに欠かせない強さや技術を、ほかのどのスポーツよりも高めてくれる。なぜならロッククライミングには、ヨガの練習で得られるバランスや強さ、力強い体幹が必要だからだ。また、ヨガで高められる柔軟性によって、さらに遠くの岩に手を伸ばすことも可能になる。カナダ在住のヨガティーチャーで、熟練ロッククライマーでもあるリディア・ザモラノはこう説明する。「ヨガでは、リラックスして効率よく力を使う方法を習得できます。ロッククライミングは立ちはだかる問題を解決していくようなもの。中枢神経系がリラックスしていると、より知的に反応できるようになります。肉体的に過酷な状況で、どうすれば一番効率よく、楽に動けるかを、ヨガは教えてくれるのです」。思い出してみよう。ようやくダウンドッグが休憩のポーズに思えるようになったときのことや、難しいシークエンスからの切り替えとしてヴィンヤサフローを行うときのことを。それらはまさにロッククライミングで、骨のアラインメントを整えることで筋肉をゆるめて休憩することや、ホールドからホールドへとスムーズに移動するテクニックと同じで、ロッククライマーが優雅で楽に登るのにとても役立つ。
力強い体幹はすべての運動能力の基本
「ヨガの練習では、ある一部の筋肉だけを酷使するのではなく、全身を使って動くので、無駄な体力を使わなくなります。そして、自分の体が一つの筋肉として感じられるようになります」とザモラノは言う。戦士のポーズⅡなどのヒップオープンのポーズ群は、股関節の柔軟性を高めるため、壁や岩肌により近づけるようになる。また、アップドッグや牛の顔のポーズのような胸を開くポーズ群は、登る時に繰り返し腕で引き寄せる動きによって生じる猫背や肩こりを和らげる。そして、ヨガで脊椎を安定させ、腹横筋(腰上の両脇の筋肉)や骨盤底筋を鍛えることによって、筋肉のアンバランスを整えることができる。とくに急勾配では、バランスを保つために足先や脚全体、お尻をコントロールし続ける必要があるので、ヨガで体幹を強化することがクライミング上達のカギとなる。そして、ロッククライマーを目指す人に最も有益なのは、ヨガで習得する呼吸の鎮静効果だろう。ザモラノも言うように、ロッククライミングに危険はつきものだが、ヨガは止まっているときも動いているときも、集中することを促してくれるからだ。ザモラノは、リラックスするため、そして体力と柔軟性を高めるために、12年前にヨガを始めた。しかしある時点から、その目的は変わってきたという。「クライミングの上達のためにヨガを始めましたが、今ではヨガのためにクライミングを練習しています。クライミングは、自分の安心領域から制御できない環境へと足を踏み出し、ある程度の危険を引き受けながら、大自然とつながるための後押しをしてくれるものなのです」
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