薬物の"有害さ"で1位のアルコール|害のある飲み方とは?知られざる飲酒リスク
当事者のための支援
依存症は「否認の病」と言われており、当事者は問題が生じていても「自分は問題ない」「自分はアルコール依存症ではない」と思いがちです。しかし、自分や他人に悪い影響が出ている場合、その状態はもう依存症に足を一歩踏み入れていると思った方が良いでしょう。
依存症はまた、「孤独の病」とも言われます。ストレスや孤独感などを埋めあわせるために飲酒を繰り返してきた過去があるかもしれません。アルコール依存症は意思の弱さなどが原因ではなく、脳の意思や計画を司る部分が薬の作用によってハイジャックされる病気で、治療をすることで再社会化が可能です。一人で何とかしようとせず、早めに支援を求めましょう。
・専門医療機関
・断酒会
・AA(アルコホーリック・アノニマス)
・CRA(コミュニティ強化アプローチ)など
依存症から回復した当事者や依存症家族が書いた書籍やマンガ、体験談なども増えてきています。症状の表れ方などには個人差がありますが、自分と似た体験をした人や、そこから回復した人の話からは勇気がもらえるかもしれません。
当事者に近しい人のための支援
アルコール・薬物問題を持つ人の家族の実態とニーズに関する調査(2008年)では、相談に行くことが困難な理由の1位は「相談先不明」でした。
家族、カップル、友人などは、本人を治療につなぐことができる影響力を持っています。最近では家族などの近しい人向けの支援も少しずつ増えてきていますので、諦めずに情報をたぐりよせ、自分自身のQOL(生活の質)の向上や、問題行動のある方へに治療を勧めるプロセスを模索してみてください。
・専門医療機関
・アラノン(家族や友人のための自助グループ)
・CRAFT(コミュニティ強化アプローチと家族トレーニング)など
その他、当事者向けの支援団体(断酒会、AAなど)に連絡することもできます。
回復者を支援し受け入れる社会へ
筆者がアメリカに滞在した際、大学や教会、商店街など至るところでAAミーティングが毎日のように開催されており、地域や社会に開かれているということを知りました。アルコール問題を抱えていない人も回復途上の人を応援し、よく声をかけていました。
日本でも、2013年に「アルコール健康障害対策基本法」が成立してアルコール関連問題への啓発や支援が整備されつつあるおかげで、アルコール依存症が治療可能な病気であるということが認知されつつあります。この病気は、きっかけがあれば誰でもなりえます。アルコール問題を抱える人を非難、拒絶するのではなく、治療を促し回復を支援しましょう。
前編・後編を通し、アルコールと自分の立ち位置を振り返り、飲酒のリスクを知ることで、自分・他者・社会への害を少しでも減らせるといいですよね。自分自身や大切な人のためにぜひ情報を役立ててみてください。
ライター/佐藤彩有里
国家資格キャリアコンサルタント/バルーン・コンサルティング代表/高輪こころのクリニックカウンセラー/MBTI®認定ユーザー/龍村ヨガホリスティックヘルスコンサルタント/ASK依存症予防教育アドバイザー/A/CRA/FT ASIA事務局
企業での社内・社外相談や個人向けキャリアコンサルティングで多くの方の悩みに寄り添っており、嗜癖行動や依存に関するカウンセリング実績も多数。
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