「自分だけは大丈夫!」と思い込んでしまうのはなぜ?認知バイアスとは何か
根拠はないのに「自分は大丈夫!」と思い込んでしまうことはありますか?思い込みだったと気づいた時には遅かった...と後悔したこともあるかもしれません。私たちは、時に、事実と違うこと、客観的な根拠がないことでも、「思い込み」や「勘違い」をしてしまいます。それはなぜでしょうか?今回は認知バイアスについてご紹介します。
認知バイアスとは
バイアスとは「偏り」のことです。認知バイアスとは、客観的な事実や根拠なく、偏った考えを持ってしまうことです。私たちは、いつも自分で考えている、しっかりと判断していると思っていても、実は様々な認知バイアスに惑わされています。
現在はコロナウイルスの関係で不安になっている方も多い一方、「自分は大丈夫」と考えている方もいらっしゃるかと思います。それは、客観的な事実かもしれませんし、もしかしたら認知バイアスが関係しているのかもしれません。
それでは、今回は代表的な認知バイアスを紹介します。
楽観主義バイアス
これは名前の通り、「悪い事は自分には起きない」と考える傾向のことです。生きていれば、良いことも悪いことも起きます。そして、楽観的な視点を持つことは大切なことです。しかし、過度に楽観主義ですと、物事のマイナス面を見れず、十分に準備することや上手に対策を取ることができないかもしれません。
ネガティビティバイアス
楽観主義バイアスとは異なり、物事のネガティブな面に目がいきやすく、「自分にはいつも悪いことが起こる」と考える傾向です。ポジティブな情報よりもネガティブな情報の方が、行動に強い影響を与えるものです。テレビニュースなどで、「マスクが不足している」など、ネガティブな情報を目にすると、記憶に残りやすく、それに関連した「マスクを急いで買いに行く」などの行動を起こしやすくなります。
投影バイアス
他の人が自分と同じように考え、自分の意見に同意するはずだと考えることです。〇〇は何人など、客観的なデータがなくても「みんなも同じ気持ちだ」と考えやすくなります。例えば、「みんなも自分はコロナウイルスにかからないと思っているだろう」と考えたり、「だから、みんなも外を出歩いてるはずだ」など考えてしまいます。
同調バイアス
私たちが行動を決める時に、周囲の人の行動を観察し、周りの人と同じ行動を取ってしまうものです。例えば、スーパーで周囲の人が納豆をたくさん買っていたら、「なぜ納豆を買うのか」という理由は分からないまま、「とりあえず買ってしまう」といったものです。
確証バイアス
自分の考えが正しいとする証拠ばかりを探してしまい、矛盾する情報に注目しない傾向のことです。証拠ばかり探してしまうので、自分の考えを信じる度合いがより強くなってしまいます。
例えば、自分がコロナウイルスにかからないと考えている場合、「若者はかかりにくい」「この地域ではまだ発生していない」など、ウイルスにかからないという情報ばかり探してしまい、「若者でもかかる可能性は同じである」など矛盾した事実には注意が向きづらくなります。
根本的な帰属の誤り
自分の身に起こったことは状況の問題にしやすく、同じことが他人に起こった場合には、その人の性格の問題だと考えてしまうことです。
例えば、自分がコロナウイルスにかかった場合は、「会社の飲み会で止むを得ず〇〇に行ったからだ」「電車の中にすごい咳をしている人がいたからだ」と考えやすい一方、他人がコロナウイルスにかかった場合は、「ちゃんと手洗いマスクをしないいい加減な性格なのだろう」「自己管理を怠ったからだ」と性格などのせいにしてしまいます。
今回は新型コロナウイルスの例を使って、認知バイアスについて紹介しました。私たちはふだん様々なバイアスに惑わされています。しかし、現在の危機的な状況で、認知バイアスによって判断を誤ってしまうと、時に大きな後悔につながってしまいます。なるべく客観的なデータや根拠に基づいた正しい判断をするように意識してみましょう。
ライター/石上友梨
臨床心理士/公認心理師 大学・大学院と心理学を学び、警視庁に入庁。職員のメンタルヘルス管理や、心理カウンセリング、スポーツ選手へのメンタルトレーニングなどを経験。ヨガや瞑想を本場で学ぶためインド・ネパールへ。全米ヨガアライアンス200取得。現在は認知行動療法をベースとした心理カウンセリング、セミナー講師、ライター、ヨガインストラクターなど、活動の幅を広げている。また、発達障害を支援する活動にも力を入れている。https://cbt-yoga.com
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