膝の仕組みと負担をかけない動かし方|ためになる解剖学的知識

Christopher Dougherty,Michele Graham

膝の仕組みと負担をかけない動かし方|ためになる解剖学的知識

膝の動き方をよく調べていくと、ヨガでも日常生活でも、膝の安定性と脆弱性の関係のバランスがとれるようになる。

2007年のことだ。私はシャナンドー国立公園内の急な坂道を下っていてうっかり足を滑らせてしまった。左膝の外側を強打して、外側半月板と関節軟骨が粉砕し膝頭が脱臼する大けがを負った。大がかりな部分的関節置換手術を受けることになったのだが、担当した整形外科医の言葉は率直だった。回復には時間と相当な努力が必要だというのだ。また、回復の鍵を握るのは何よりも心掛けだとも言われた。この言葉は、膝を大切に育てるように膝と関わらなければならないことを物語っていた。

私は幸いにも、このけがを負う19年前からヨガを実践していて、毎日欠かさず瞑想を行っていた。手術を受ける前には毎日1時間、膝に愛情と感謝の気持ちを向け続けた。膝の構造を根本的に修復するために手術を2回受けたが、最初の手術の日に車椅子で手術室に入る頃には、膝が体の中で最もいとおしい部分になっていた。私は膝の複雑さと脆弱性を認識して、膝に負担をかけないように動きを微調整できるようになっていた。

体の仕組みを学ぼう|膝を守ろう
photo by Christopher Dougherty,illustrations by Michele Graham

膝は誠意と義務の関節だ。助けや慈悲を求めるときに、私たちはひざまづく。強い信仰心を誓うときにもやはりひざまづく。また、膝は足と股関節から受け取った機械的な力を調整する偉大な仲介役である。膝は良くも悪くも、状況に合わせて動きながら、バランスをとり、衝撃や横に滑る力やねじれのエネルギーを伝えている。膝は蝶番関節と呼ばれることが多いが、この呼び方は膝の全体像を表していない。膝の主な動きは、屈曲(太腿とふくらはぎを寄せ合うように曲げる動き)と伸展(太腿とふくらはぎを遠ざけるように伸ばす動き)であるため、膝は確かに見たところ蝶番に似ている。しかし、膝はほかの蝶番とは少し異なっている。膝は滑るようにも動くし、回転もする。

このために膝は多様な動きに対応することができるが、その分脆弱になる。肘と比べると、膝の可動域の大きさは明白だ。肘を数回、曲げたり伸ばしたりしてみよう。ラップトップコンピュータを開け閉めする動きのように感じられるはずだ。さらに、プランクポーズとチャトランガ(四肢で支える杖のポーズ)を交互に繰り返して肘の動きを観察してみよう。

次に膝の動きを確認しよう。ヴィーラバッドラーサナⅡ(戦士のポーズⅡ)で前の手のひらを前膝の内側にあてて、そこから膝を曲げて(屈曲)、大腿骨の動きを感じながら、膝を前方に滑らせて回転させよう。つまり、膝を前に踏み込む動きだ。そこから膝を伸ばして(伸展)、大腿骨が後方に回転する動きを感じてみよう。膝を下げて内側に入れる動きだ。

安定性を保つためには、大きな筋肉ではなく、腱、靱帯、軟骨、関節包によって膝を支える必要がある。ヨガの立位のポーズの中では、ターダーサナ(山のポーズ)が膝が最も安定するポーズだ。大腿骨下端と脛骨高原(脛骨の最上部)の接する面が最も大きくなるからだ。しかし、膝を「固定」してしまうと話は別だ。無意識にしている人が多いのだが、膝を過度に伸展させると、半月板の前部(図を参照)に過度な圧力がかかり、組織が後方に押されて自然な位置からずれてしまう。

by Mary Richards
photos by Christopher Dougherty
illustrations by Michele Graham
translation by Setsuko Mori
yoga Journal日本版Vol.67掲載

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