心配事が尽きないのはなぜ?|心理学的アプローチで悩み知らずのマインドへ

 心配事が尽きないのはなぜ?|心理学的アプローチで悩み知らずのマインドへ
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石上友梨
石上友梨
2019-11-11

あれこれと心配してしまう…心配事が頭にこびりついて離れない…と悩んでいらっしゃいますか?今までの人生で、何も心配したことはない、心配事は全くないという方の方が少ないと思います。特に私たちにとって重要なことほど、あれこれと心配してしまいます。今回は、「あれこれと心配しすぎてしまう」「心配事が頭から離れない」と言った場合の対処法をお伝えします。

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心配事が尽きない理由

私たちの脳は日中は活動し続けています。基本的にはノンレム睡眠中以外は脳が働いていますので、良い考えも嫌な考えも次から次へと頭の中に浮かんできます。

ここで、浮かんできた考えに注目し意識を向けてしまうと、それが気になり始め、頭の中にその「考え」や「イメージ」が滞在する時間が長くなります。考えに注目しなければ、いつの間にか流れて消えていきます。

心配事をしている時、私たちの意識は現在ではなく未来の出来事に向かっていることがほとんどです。未来のことは、いくら悩んでも答えが出ないことがほとんどです。

私たちの関係はどうなるのか?試験に合格するのか?仕事の面接は受かるのか?…未来のことは答えが出ないことばかりです。

つまり、いくら考えても解決しないので、いつまでも心配事が続いてしまいます。

心配事を忘れようとするのは逆効果?

心配事に対して「忘れよう」とすることは逆効果です。無理に押し込めようとしたり、忘れ去ろうとするのはあまり良い対処法ではありません。無理に何かをする際、私たちはその対象をより意識することになります。心配事を忘れるために、より心配事に注目してしまいます。

注目し、意識することで心配事が長引いたり、押し込め続けた結果、違うところから違った形で影響が出る場合もあります。例えば、心配事を忘れようと押し込めた結果、「頭が痛くなる」「お腹を壊す」など、体に症状が出る場合もあります。

心配事がある時、心配事があるという事実に気づきつつも、流していくことがおすすめです。

1.イメージで心配事を流そう

イメージ法で心配事など、嫌な考えを流していきましょう。基本的に「考えやイメージ」は、頭の中に浮かんでは消え、浮かんでは消えていくものです。注目してしまうことで脳内の滞在時間が長くなります。注目しなければ、自然と消えていきます。

やり方

1.まずは空をイメージしましょう。

2.柔らかな風が吹く草原に寝っ転がり、空を眺めている自分をイメージをします。想像の中の自分は、頭の下で腕を組んだり、両手両足を広げたリラックスしたポーズしています。実際に同じポーズを取っても良いです。ゆったりとした呼吸を続け、気持ちもだんだんとゆったりしていきます。

3.空を眺めていると、雲が流れてきます。雲がふわふわと右側から左側へと流れてきます。流れていく雲をしばらく眺めます。流れてきた雲の上に、頭に浮かんだ考えやイメージを乗せて行きます。ふわふわとした雲の上に「心配事」が乗っかっていることをイメージします。

4.「明日は晴れるかな」「お腹が減ったな」「夕飯は何にしよう」「明日の仕事うまくいくかな」…雲は浮かんでは右から左へ流れていきます。心配事が乗った雲も、そのまま左側に流れ去っていきます。その雲の流れを眺め続けます。雲なので、そのうち自然消滅したり、どんどん視界から消えていきます。

POINT:「この雲はやく消えないかな」「不快な雲だ」とか評価したり、感想は言わず、ただ「マルマルという考えが乗った雲が流れている」と事実だけに気づき、そのまま流れに任せて放っておきます。

もしうまくイメージできない時は、実際の雲を眺めながらやっても良いかもしれません。心配事は雲に乗せてしまい、過度に注目せず、自然と流していくイメージを持ちましょう。

2.意識を外側に広げよう

次は、意識を外側に広げる方法です。

心配事についてあれこれと考えて苦しい状況に悩んでいるかもしれません。この時、意識が自分の内側に向きすぎている状態です。自分の中にある心配事や考えなどに過度に注目しています。

自分の内側ではなく、外側に意識を向けることで、注目のバランスを取ることができます。

やり方

1.自分の五感(視覚、聴覚、嗅覚など)を使います。目玉をキョロキョロと動かし、視界に何が見えるか観察します。その際に気になるものを3つ見つけましょう。

2.首を左右上下に動かし、視野を広げて何が見えるか観察します。気になるものを2つ見つましょう。つぎに耳をすませ、どのような音がするか聴覚に意識を向けます。

3.どのような匂いがするか嗅覚を使って確かめます。何か気づいたことはありますか?それぞれ1つずつ見つけましょう。何も音がせず、何も匂いがしなければ、触覚を頼りにしても良いです。足裏で床の感触を感じたり、手のひらで机の感覚を確かめたりしましょう。風が吹いていれば肌で感じるものもあると思います。

五感を観察する間に「心配事」の方に意識が向いても、気にせず、また五感に意識を戻します。意識が内側から外側に広がることで、心配事へのとらわれが軽減します。

ライター/石上友梨
臨床心理士/公認心理師 大学・大学院と心理学を学び、警視庁に入庁。職員のメンタルヘルス管理や、心理カウンセリング、スポーツ選手へのメンタルトレーニングなどを経験。ヨガや瞑想を本場で学ぶためインド・ネパールへ。全米ヨガアライアンス200取得。現在は認知行動療法をベースとした心理カウンセリング、セミナー講師、ライター、ヨガインストラクターなど、活動の幅を広げている。また、発達障害を支援する活動にも力を入れている。

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