仕事や人間関係に活かせる傾聴3つのポイントとは?臨床心理士が解説

 仕事や人間関係に活かせる傾聴3つのポイントとは?臨床心理士が解説
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石上友梨
石上友梨
2019-08-26
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傾聴の3つのポイント

それでは、傾聴するための3つのポイントについて紹介します。

アメリカの心理学者カール・ロジャーズはカウンセリングの基礎を築いたとも言える大きな貢献をした人物です。カール・ロジャーズは、論文「セラピーによるパーソナリティ変化の必要にして十分な条件」の中で、カウンセラーの態度や関わり方における大切な3つの条件をあげています。

カウンセラーの3つの基本態度が満たされている場では、クライエント(患者)は自然と自己洞察が深まり、自己成長へと繋がるといいます。 カウンセラーがどのような態度でクライエントの話を聴けば、信頼関係が築け、相手の成長にも繋がるのだろうかということです。

この3つのポイントを押さえれば、カウンセリングの場面だけでなく、相手と信頼関係を築く時に有効だと言えます。それでは、ロジャーズより相手との信頼関係を築くための傾聴のポイントをご紹介します。

共感的理解 (empathy)

相手の話を、相手の立場に立って、相手の気持ちに共感しながら理解しようとすること。相手の話を聞くときに、自分の視点ではなく、相手の視点に立ちます。相手の性格や環境なども考え、相手の立場だったらどんな気持ちになるかと想像した上で、共感をしながら理解をしようとすることです。その際に、共感できないこと、理解できないこともあると思います。共感しなければいけない、理解しなければいけない訳ではなく、しようとする姿勢が大切です。

無条件の肯定的関心 (unconditional positive regard)

相手の話を良し悪しの価値判断、好き嫌いの評価を入れずにありのまま聴くこと。相手の話を否定せず、なぜそのように考えるようになったのか、その背景にどんなことがあるのだろうと、肯定的な興味・関心を持って聴きます。相手の話が否定したいような内容だったとしても、ひとまず「なぜそのよう考えるのだろう」と好奇心を持つことです。また、regardには「心遣い」「配慮」という意味があります。どんな相手でも、思いやり、気遣う態度も大切です。

自己一致 (congruence)

聴き手が相手に対しても、自分に対しても嘘のない態度でいること。例えば、話が分からなかった時は、そのままにせず質問をして確認します。また、話を聞く中で相手に対してネガティブな気持ちを感じる時があります。その時は、ネガティブな気持ちを「感じちゃダメだ!」と否定せず、「今の自分はこんな気持ちを感じているな」と良し悪し判断せずに受け止めます。自分の中で感じることと、表出して相手に伝えることは別なので注意しましょう。自分の気持ちを大切にして、あるがままに感じることです。

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