「自分は欠陥品だ」と思う人へ|セルフ・コンパッションで生きづらさの原因「恥」の感情を癒す方法


「漠然とした生きづらさ」「自分はダメだ」「自分は欠陥品だ」等と感じることはありませんか?それは「恥」の感情が引き起こしているかもしれません。しかし、そんなときに助けになるのがセルフ・コンパッション(Self-Compassion)です。今回はセルフ・コンパッションで恥の感情を癒す方法について紹介します。
セルフ・コンパッションとは
セルフ・コンパッションとは、簡単に言うと自分を思いやる力のことです。私たちは友人が落ち込んでいるときは優しく接するのに、自分自身には厳しくしてしまいがちです。特にトラウマを経験した人は、自分を責めたり、強い自己批判をしてしまうことが多いです。ですが、恥や自己批判から抜け出すには、まず自分に優しさを向けることが大切です。
恥の感情とセルフ・コンパッションの関係
恥は、トラウマや過去の辛い経験と深く結びついています。たとえば、過去に辛い体験をしたとき、「あのときもっと違う行動をしていれば…」「私が悪いからこうなったんだ」と自分を責めたことはありませんか?恥の感情に囚われると、自己批判が強まり、心のバランスを崩してしまいます。セルフ・コンパッションは、そんな恥の感情を癒す「解毒剤」のような役割を果たします。恥は自分を攻撃するものですが、セルフ・コンパッションは自分自身を優しく包み込み、癒すものだからです。人生が生きづらくて辛いからこそ、過去にたくさん傷ついたからこそ、自分で自分を責めるのではなく、自分で自分を癒すことが必要なのです。
セルフ・コンパッションの3つの要素
心理学者クリスティン・ネフによると、セルフ・コンパッションには次の3つの要素があります。
1. マインドフルネス(Mindfulness)
恥やネガティブな感情に飲み込まれず、「これは一時的な感情なんだ」と客観的に観察すること。感情を否定せず、ただそこにあるものとして受け入れることが大切です。
2. 自分への優しさ(Self-Kindness)
自分を責めるのではなく、優しく接すること。失敗しても「ダメだな…」ではなく、「大変だったね」と自分をねぎらう姿勢が大切です。
3. 共通の人間性(Common Humanity)
自分だけが苦しんでいるわけではないと理解すること。誰でも失敗したり、後悔することがあります。それを知るだけでも気持ちが楽になります。

セルフ・コンパッションの実践方法
実際にセルフ・コンパッションを育てるにはどうすればいいのでしょうか? 以下の方法を試してみてください。
① 自分を優しく励ます言葉をかける
落ち込んだときに、親しい友人にかけるような言葉を自分にも向けてみましょう。
「大丈夫、今は辛いけど、ちゃんと乗り越えられるよ」
「よくがんばったね、無理しなくていいんだよ」
② 「共通の人間性」を思い出す
失敗したとき、「こんな失敗をするのは自分だけだ…」と考えてしまいがちです。しかし、それは違います。誰もが失敗し、後悔します。「人間だから失敗するのは当たり前」と思えたら、少し気持ちが軽くなりませんか?
③ マインドフルネスで感情を受け止める
恥ずかしい気持ちや自己批判が湧き上がったとき、それに流されず「今、私は恥を感じているんだな」と観察してみましょう。「この感情はずっと続くわけではない」と思うだけでも、落ち着きを取り戻せます。
④ 身体を通してセルフ・コンパッションを実践する

自分に優しくする方法は、言葉だけではありません。たとえば、
・深呼吸をする
・手を胸に当てる
・温かいお茶をゆっくり飲む
こうした小さな行動でも、「自分を大切にする」というメッセージを自分に送ることができます。「自分は欠陥品で手遅れだ」等と感じることがあっても、手遅れなことはありません。セルフ・コンパッションハは生まれ持った資質ではなく、育てていくものです。そして、いつからでも育て直しができます。恥を感じるのは、それだけ深く傷ついた経験があるから。そんなときこそ、セルフ・コンパッションで自分を大切にしてあげましょう。
- SHARE:
- X(旧twitter)
- LINE
- noteで書く