「ふらつき」の原因となる身体の機能|理学療法士がヨギに知ってほしい体のこと

 「ふらつき」の原因となる身体の機能|理学療法士がヨギに知ってほしい体のこと
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得原藍
得原藍 2018-12-19
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どうしたら「ふらつき」をなくすことができるのか

頭部が揺れたり、回転したり、傾いたりすると、それを脳に伝えるために感覚器が働きます。三半規管です。耳の、鼓膜の奥にあり、聴覚器官である蝸牛(かぎゅう)と接続しています。この三半規管は三つのループで構成されていて、それぞれが90度に直交するような形をしています。まるで座標のようです。XYZの方向それぞれの加速度を検知できる形なのです。その中はリンパ液で満たされていて、頭が動くと動いた頭にリンパ液が取り残されるような形で流れが生まれます。このリンパ液の流れが有毛細胞と呼ばれる細胞の「毛」を揺らすことで、「頭が揺れている」という情報を脳に伝えているのです。

ぐるぐるバット、という遊びをしたことがありますか? バットを床に立てて、頂点に額を当てて、その周りをぐるぐる回ってそのあとまっすぐ歩く、というゲームです。この時、回転を終えてもまっすぐ歩くのは難しいですね。これは、三半規管のリンパ液の流れがすぐには止まらないからです。湯船の水をかき混ぜて水の回転が生まれるとしばらく収まらないのと同じです。

リンパ液に揺れがあると、実際に揺れていなくても、脳は身体が揺れていると判断します。またその揺れに対して、視覚情報を一致させようとする反射も起きます(冒頭でお話しした前庭動眼反射です)。そしてもちろん、実際に身体を動かせば、その身体の動きに合わせて頭部も揺れるのでリンパ液の揺れも起き、今どの程度頭部が揺れているかを正確に脳に伝えるのです。

激しく頭部を揺らすような急激な姿勢変化で、ふらつきを覚える人もいるでしょう。特に、普段揺れの刺激の少ない生活を送っている人は、急な外乱に弱いものです。ヨガを始めたばかりのとき、頭部を下へ、上へ、横へと動かすことでふらついたことがある人もいるのではないでしょうか。この、三半規管からの前庭覚の刺激は、訓練によってある程度適応していくと言われています。毎日、ヨガの練習で徐々に同じ運動や動きを繰り返すと、脳が刺激に順応して、ふらつかずに動くことができるようにもなります。

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