「腰が痛い」を放置してはいけない!内臓疾患の可能性も?疑われる重篤な病気とは|医師が解説

 「腰が痛い」を放置してはいけない!内臓疾患の可能性も?疑われる重篤な病気とは|医師が解説
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甲斐沼 孟
甲斐沼 孟
2025-02-20

その腰痛症状は体に何か異常が起きているサインかも?!医師が解説します。

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「腰が痛い」で考えられる病気は? その1:大腸がん

腰が痛い際に考えられる疾患のひとつとしては、「大腸がん」が挙げられます。

肺がんや胃がんなどさまざまな種類のがんがありますが、大腸がんはなかでも罹患率がもっとも高いがんの種類であり、男性の11人に1人、女性の13人に1人が生涯のうちに大腸がんと診断されているほど大腸がんは、私たちにとって身近な疾患です。

大腸がんとは、大腸にできるがんのことであり、大腸とひとくくりに言うことが多いですが、実はさまざまな部位が存在し、大腸の入り口である回盲部から順に盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸、上部直腸、下部直腸、肛門管と別れています。

そして、大腸がんが原因で腰痛を起こすことがあり、大腸がんができる場所によっては、腰痛として痛みの症状が出ることがあります。

一般的に、大腸がんの症状が腰痛として表れることはそう多くは見られませんが、長く続く腰痛症状には特に注意が必要です

「体を動かしたときだけ痛い」、あるいは「同じ姿勢をしていると痛みが強くなる」など、痛いときと痛くないときの強弱がある場合は大腸がんの可能性は低いと考えられますが、動作や姿勢に関係なく腰痛が出る場合は、大腸がんが原因である場合が否定できません。

また、だけでなく体重減少や血便、貧血などが見られる場合は、内臓に何かしらの問題が起きている可能性があります。

大腸がんで体重減少が見られることは多くありませんが、完全に否定できるわけではありませんので、腰痛に加えて体重減少など随伴症状も見られる場合は、体に何か異常が起きているサインとして捉えて、大腸がん専門医を受診しましょう。

「腰が痛い」で考えられる病気は? その2:卵巣がん

腰が痛い際に考えられる疾患のひとつとしては、「卵巣がん」が挙げられます。

卵巣がんは卵巣に発生する悪性腫瘍のことを指しており、卵巣という臓器は女性ホルモンを分泌して卵子を成熟させて排卵を起こす重要な機能を有しています。

我が国においては、卵巣がんは女性性器悪性腫瘍の中でも最も死亡数の多い癌腫であり、その死亡率や罹患率は近年増加傾向を示していると指摘されています。

卵巣がんの発生頻度は10万人あたりおよそ15人程度と決して頻度が極めて高い疾患ではありませんが、進行するまで自覚症状が分かりにくいために早期的に発見することが困難であるという点で注意すべき悪性腫瘍の代表格です。

卵巣がんの明らかな発症原因は正確に判明していませんが、排卵回数の多さがその発症率に寄与していることが示唆されており、妊娠出産経験がない、あるいは初潮が早かった人、閉経が遅い人などは本疾患の発症リスクが比較的高いと伝えられています。また、最新の研究では本疾患の約1割程度は遺伝性発症する可能性が指摘されており、血縁のある親族に乳がんや卵巣がんを罹患した人がいる場合には通常より注意喚起する必要があります。

卵巣がんの約10%は、「BRCA1遺伝子」や「BRCA2遺伝子」の変異によって引き起こされていることが判明しつつあり、このような遺伝子が関連した疾患群を「遺伝性乳がん卵巣がん症候群」と呼称しています。

卵巣部に悪性腫瘍が発生しても直後に自覚症状が出現することはほとんどありませんが、かなり進行すると、大きな腫大性病変を形成するに随伴して特に下腹部中心が張って腫瘤を触れる、腰が痛くなるなどの症状が顕著に認められるようになります。

まとめ

腰が痛い症状は、大腸がんや卵巣がんの可能性があることなどを中心に解説してきました。

大腸がんと聞くと、腹痛や下血など腹部症状を想像される人が多いかも知れませんが、大腸がんでは、腰痛など、ほかにもさまざまな症状が見られます。

腰痛は日常的に見られることも多く、見過ごされてしまうことが多くあり、特に大腸がんや卵巣がんの前兆を見逃さないために注意したいところです。

卵巣がんは初期の段階ではほとんど自覚的症状が現れませんが、進行するにつれ腫瘍が大きく腫大することで、腰痛がひどくなる、下腹部に腫瘤のようなしこりを触れる、或いは下腹部の膨満感や疼痛症状などを認める場合があります。

また、知らぬ間に発育した卵巣がんは、周囲の大腸や膀胱などの他臓器を圧迫することで自然と便秘や頻尿などの症状にも悩まされることに繋がります。

腰痛症状が長引く際には、大腸がんであれば消化器内科、卵巣がんであれば婦人科など、適切な専門医療機関を受診するように意識しましょう。

今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。

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