【40歳を過ぎると発症率が上がる】大腸ポリープができやすい人の特徴を医師が解説
大腸ポリープができやすい人の特徴を医師が解説します。
大腸ポリープとはどのような病気か
大腸ポリープは、大腸の腸管粘膜の一部がイボ状に膨れあがり、大腸壁の内腔(内側)に突出した病変を指します。
主に、40歳以降の中年層や高齢者に多く認められる疾患であり、全大腸の中でも特に高頻度で認められる発生部位としては、直腸やS状結腸であると考えられており、ポリープのサイズは数mmから数cmまで多種多様で個々のケースによって所見は異なります。一般的には、大腸ポリープは無症状であることが多く、特にポリープの直径サイズが小さい症例では、自覚症状が認められないことも往々にしてあります。サイズの大きなポリープ性病変が肛門近くに発生するケースでは、ポリープそのものが便の通り道を妨げて塞いでしまうことで腸閉塞を引き起こすリスクがあります。
また、ポリープ病変が肛門外に突出することも考えられますし、肛門や直腸部にポリープ病変が成されている際には、血液成分が混入した便(血便)が排泄されるなどの有意症状を認める場合もあります。
大腸ポリープの中でも、腫瘍性ポリープと呼ばれるタイプには、「腺腫性ポリープ」と「悪性腫瘍」が挙げられます。腺腫性ポリープは、大腸ポリープ全体の約8割程度の罹患率を有すると考えられており、腫瘍径が大きくなればなるほど悪性化する危険性が上昇します。悪性腫瘍は、いわゆる大腸がんのことを指しており、すべての大腸がんにおいて腺腫性ポリープが悪性化することで発症することもあれば、正常粘膜から直接的にポリープを経ずに発生するがん腫瘍も存在します。
大腸ポリープのなかで、非腫瘍性ポリープと呼ばれるタイプには、「炎症性ポリープ」、「過形成性ポリープ」、「過誤腫性ポリープ」などが知られており、腫瘍性と異なって非腫瘍性ポリープではほとんど悪性化するリスクは乏しいと知られています。一般的に、炎症性ポリープでは、炎症性腸疾患や虚血性腸炎、急性胃腸炎など腸管領域に何かしら強い炎症所見を呈する疾患に罹患した後で認められることが多いです。過形成性ポリープは、大腸粘膜が隆起して形成されるサイズが小さめのポリープであることが多く、年齢を重ねるにつれて発症しやすい病変であると認識されています。また、過誤腫性ポリープとは、大腸腸管の粘膜組織が過剰に発育することで発症するタイプであり、小児に認められる若年性ポリープもその範疇に入ります。
大腸ポリープができやすい人とは
大腸ポリープが発生する背景には、年齢要素だけではありません。普段の食生活などを始めとする生活習慣が大きく大腸ポリープの発症率に関連していると指摘されており、通常では肉類など動物性脂肪を多く摂取する、あるいは食物繊維の摂取が乏しい食生活の欧米化に伴って本疾患が発症しやすいと考えられています。
また大腸ポリープ発症に関する危険要素としては、日常的な食習慣以外に過剰な飲酒、長期の喫煙習慣、肥満体形、遺伝的要因なども知られています。大腸ポリープは、遺伝的な要素が大きな原因としてあげられるため、家族や血縁者に発症者がいる場合は注意が必要です。特に、遺伝性大腸がん・家族性大腸腺腫症・リンチ症候群などは遺伝が大きく関わってくるので、これらの疾患が疑われる場合には消化器内科など専門医療機関を受診して、早期の検査を受けることが重要です。
また、日々の高カロリー食などの食生活・過度な飲酒・喫煙など生活習慣も大きく関わっており、肥満なども原因のひとつとなりがちなので、日頃から気をつける必要があります。普段の食生活などを始めとする生活習慣が大きく大腸ポリープの発症率に関連していると指摘されており、通常では肉類など動物性脂肪を多く摂取する、あるいは食物繊維の摂取が乏しい食生活の欧米化に伴って本疾患が発症しやすいと考えられています。
基本的に、大腸ポリープの発症は40歳過ぎから多くなり高齢になるほど発症しやすくなります。大腸ポリープという病気は、わが国ではこの20年間で増加の一途をたどっており、おおむね40歳代ごろから罹患率が増加し始めて、年齢が上がるにつれて発症しやすくなる疾患と考えられています。したがって、特に40歳以上の方は、定期的な検査(大腸がん検査など)を積極的に受けるようにしてください。
大腸ポリープの治療予防策は?
大腸ポリープは前述した通り常日頃からの食生活などの生活習慣が関与して発症すると言われているために、日常的に栄養バランスが優れた食事習慣を持つことが重要な観点です。具体的には、肉など高脂肪、高たんぱくの食べ物を出来るだけ控えるようにするとともに、出来る限り偏食を改善して、1日3食規則正しく食べるように意識しましょう。特に、野菜や穀物、きのこなど食物繊維を豊富に含んだ食品を積極的に摂取するように心がけましょうまた、大腸ポリープの発症を予防するための一つの対処策として、過度のアルコール摂取や喫煙が大腸ポリープ罹患に関与することも指摘されているため、禁煙ならびに機会飲酒に留めておくように認識しておきましょう。
大腸ポリープには多くの種類が存在し、そのなかでも腫瘍性ポリープの一つである「腺腫性ポリープ」は放置すれば腫瘍径が大きくなって悪性化して大腸がんに進展する危険性が指摘されています。大腸ポリープの一定数は腫瘍性ポリープであるとも言われており、がん化するリスクを有している一方で、ポリープにおいては無症状で経過することも往々にして考えられるため、早期的に病変を発見できるように定期的に人間ドックやがん検診を受けましょう。
万が一、会社の健康診断などにおいて便潜血検査で陽性反応が示された場合、あるいはがん検診で大腸ポリープの病変を認めた際は、迅速に消化器内科など専門医療機関を受診して適切な治療に結び付けることが出来るように心がけましょう。
まとめ
これまで、大腸ポリープとはどのような病気か、大腸ポリープができやすい人の特徴やその治療予防策などを中心に解説してきました。
大腸ポリープとは大腸粘膜の表面が隆起した病変を指しており、本疾患の原因としては日々の食生活や腸管の炎症像などが発症誘因になると考えられています。多くは、40歳以上に発生しやすいと指摘されており、遺伝性に発症するケースもあれば、もともと体質的にポリープができやすいという場合も想定されています。
大腸ポリープは個々の病変部における特徴の違いによって様々な種類に分類されており、大きくは腫瘍性と非腫瘍性の2種類が挙げられます。特に、悪性化するポリープを早期に確実に発見して治療に繋げるためには、大腸内視鏡検査を受けることが重要なポイントであることを忘れずに記憶しておきましょう。
今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。
AUTHOR
甲斐沼 孟
大阪市立大学(現:大阪公立大学)医学部を卒業後、大阪急性期総合医療センターや大阪労災病院、国立病院機構大阪医療センターなどで消化器外科医・心臓血管外科医として修練を積み、その後国家公務員共済組合連合会大手前病院救急科医長として地域医療に尽力。2023年4月より上場企業 産業医として勤務。これまでに数々の医学論文執筆や医療記事監修など多角的な視点で医療活動を積極的に実践している。
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