【重要な決断は一晩寝てから行うのが最善策!】研究結果が示唆


研究によると、バランスのとれた判断を下すには、時には文字通り「寝かせる」のが最善策であることが示唆された。
「第一印象が良い方がよいのか、それとも締めくくりが好印象の方がよいのか?」デューク大学の研究チームは、昔からあるこの疑問から研究をスタートさせ、架空のガレージセールを想定した研究を行なった。
即断する場合は第一印象が強く影響
この実験では、参加者は不要品を入れた箱を一通り見て、セールに出す品物を選んだ。それぞれの箱の中身のほとんどは、古い目覚まし時計や鉢植えなど、あまり価値のあるものではない中、美しいランプやテディベアのような価値のある特別な品も数点入れられていた。参加者は選んだ箱に基づいて実際に現金を獲得するため、どの箱が最も価値があるかを見極めることに意欲的だった。しかし、参加者には知らされていないが、各箱に入っているアイテムの合計価値は同じで、異なるのは、「ガラクタ」と「お宝」の入れ方の順序だけだった。箱によっては価値が高いアイテムがすべて箱の上部に置かれており、開けると最初にそれらのアイテムが目に入るように配置されていた。また、別の箱においては価値のあるアイテムが箱の中央や底にまとめて配置されており、また別の箱においては、アイテムが雑然と混ざって入れられていた。参加者は様々な箱を開けた後、それぞれの価値を見積もり、お気に入りの箱を選んだ。 すぐに判断を下した参加者もいたが、中には一晩置いて「考えを寝かせて」から判断する参加者もいた。

結果、すぐに判断を下さなければならない場合、参加者は箱の中身全体ではなく、最初に目にした数点のアイテムを記憶し、それに基づいて判断する傾向にあることが明らかになった。参加者は価値が高い商品が上部に置かれた箱を何度も繰り返し手に取った。また、一貫して「第一印象が良かった箱」を手に取っただけでなく、その価値を実際よりも高く見積もる傾向も見られた。実際よりも10%高く評価していたのである。
一晩寝て考えた場合は合理的な決断が下された
しかし、翌日まで判断を求められなかった参加者は、こうした罠に陥る可能性が低かった。「彼らはより合理的な選択を行い、箱のどの位置に価値が高い商品が入っていても、同じように好んだ。」とシンクレア氏は述べた。「考えを寝かせた」参加者は、第一印象が良かった箱を突出して好むことはなくなった。一番下部に価値が高い商品を入れた箱も同様に好意的に評価した。この変化は、脳が報酬を得た経験の記憶を時間とともに異なる方法で処理し、統合することを示唆しており、よりバランスのとれた意思決定につながる可能性がある。

これらの発見は、直近の経験や「ピーク・エンド(ピーク時と終了時)」が人の好みに影響を与えるという、心理学や神経科学の分野で確立されたいくつかの理論に相反し、疑問を投げかけるものだ。むしろ、より繊細な側面を明らかにしている。即座の好みは第一印象に強く影響されるが、記憶が定着する時間を与えられれば、ポジティブな経験の全体的な密度に基づいて、よりバランスのとれた嗜好が形成されるのだ。

「第一印象で判断することは、その場での選択には良いことなのかもしれません。」と、デューク大学精神医学・行動科学教授アリソン・アドコック博士は言う。例えば、本の最初の数ページをざっと読むとする。こうした際の、始まりの印象に基づく素早い判断は、あまり多くの時間や労力を費やす前に次に移った方がよいかどうかを決定するのに役立つ。しかし、例えば、この人物は雇用やデートの相手としてどうかといった、より長期的な利害が関わる状況においては、「決断を下す前に考えを寝かせることは賢明な方法となります。」とシンクレア氏は述べた。次に大きな決断を迫られたときは、一晩ゆっくり休むことが、第一印象にとらわれず、本当に自分の価値観や好みに合った選択をするための魔法になるかもしれない。
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