「水虫」は放置しても大丈夫?放置するとどうなる?実は怖い〈水虫〉と自宅でできる対策は|医師が解説

 「水虫」は放置しても大丈夫?放置するとどうなる?実は怖い〈水虫〉と自宅でできる対策は|医師が解説
Adobe Stock
甲斐沼 孟
甲斐沼 孟
2024-09-28

水虫とはどんな疾患で、放置するとどうなるのか、病院で治療した方がいい場合や自宅で行える水虫対策などについて、医師が解説します。

広告

水虫とは何か

水虫では、足裏がかゆくなる、小さなブツブツができて皮がむける、ジュクジュクする、かさぶたができるなど様々な臨床所見を呈します。

爪の中に白癬菌が入り込むと、爪が白く濁る、あるいは分厚くなって爪水虫(爪白癬)に発展します。

足水虫を治療しないで放置していたことや、治療を途中でやめてしまうことで、足についている白癬菌が、爪にうつることが主な原因と考えられます。

日常的に本疾患を診療している専門の皮膚科医でも、外表上の所見だけで診断することは難しいことがあるため、きちんと医療機関で検査して、適切な治療に繋げる必要があります。

水虫を放置するとどうなる?

「水虫」は、足にできるいろいろな病気を含んでいます。

足の水虫の多くは、人の皮膚の角質を栄養として生きるカビ(真菌)の感染症であり、白癬菌と呼ばれる菌が原因になっているため、医学用語では足白癬(あしはくせん)と呼ばれます。

水虫の症状を放置すると、皮膚の外側の角層がむけてぼろぼろになりますし、白癬菌は足のほかにも、体、頭などさまざまな部位の皮膚に感染して、手足の爪にも入り込んで感染することがあります。

白癬菌が原因の水虫の場合、同居している人との間など人から人に感染する可能性がありますので、足白癬と診断された場合には家庭内で感染対策を行うことが重要です。

足白癬は、白癬菌というカビ(真菌)の一種が皮膚の最外側の層(角層)に感染・増殖して起こります。

白癬菌の感染は、白癬菌のついた人・動物の皮膚や白癬菌が付着したものに直接触れることで起こり、プールや風呂場の脱衣所を裸足で歩く場合、あるいは格闘技やスポーツでほかの人の患部と接触してしまうと感染しやすくなります。

また、もともと足の指が太く、足指同士が接触しやすい、あるいは日常的に汗をかきやすく、靴の中の湿度が高い場合には足白癬が悪化する傾向があります。

家族に足白癬と診断された人がいる場合には、家族全員か少なくとも水虫症状のある人は皮膚科など専門医療機関を受診して、適切に診断と治療を受けましょう。

水虫
photo by Adobe Stock

病院で治療した方がいい水虫、そうではない水虫。その違いとは?

水虫では、一般的に足の指の間の皮がむけて、皮膚が湿って、足裏の皮膚の角質がむけて、厚くなってごわごわした感じになります。

患部に強い掻痒感を伴うことがありますが、かゆみがない足白癬も多く、かゆみの有無は水虫の診断にあまり役に立ちません

水虫に対しては、カビの増殖を抑える外用薬(抗真菌薬)での治療が基本であり、抗真菌薬の種類としてはクリームや軟膏、液剤などさまざまなタイプがあります。

足白癬の場合、症状がない部分も含めて足の裏や指の間からアキレス腱まで、足の裏全体に最低でも4週間程度薬を塗布します。

水虫が爪にまで及んでいない足水虫であれば、外用薬(外用抗真菌薬)での治療が基本であり、外用薬には軟膏、クリームやスプレータイプなどさまざまな種類があります。

水虫の薬は、使い始めると比較的早期に症状が軽減するのが通常であり、万が一にも2週間程度使用しても効果が見られない場合や症状が悪化した場合は、水虫ではなくほかの皮膚疾患の可能性が考えられます。

そのような場合は、水虫薬の使用を中止し、皮膚科に相談に行くことをお勧めするとともに、爪水虫は自力での治療は困難であり、内服薬での治療が必要なので、その際にも専門医療機関である皮膚科を受診するようにしてください。

自宅でできる水虫対策

水虫に伴う足裏のかゆみを防ぐには、とにかく保湿が重要であり、自宅でも出来る日々のスキンケアは大切です。

さらに、下記のようなことが重要な観点となります。

  • 睡眠を十分にとる
  • 食事を規則的に摂取する
  • 洗濯を小まめにして普段使用する寝具、衣類、靴、靴下などを清潔に保持する
  • ストレスを軽減するなど日常的な生活習慣を改善する  

また、冬場は湿度が低くなり、肌の水分が奪われてより乾燥しやすい状態に陥ることで、皮膚細胞の新陳代謝を低下させて皮脂バリア機能が軽減しますので、さらに保湿をして乾燥を防ぐことが必要です。

今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。

広告

AUTHOR

甲斐沼 孟

甲斐沼 孟

大阪市立大学(現:大阪公立大学)医学部を卒業後、大阪急性期総合医療センターや大阪労災病院、国立病院機構大阪医療センターなどで消化器外科医・心臓血管外科医として修練を積み、その後国家公務員共済組合連合会大手前病院救急科医長として地域医療に尽力。2023年4月より上場企業 産業医として勤務。これまでに数々の医学論文執筆や医療記事監修など多角的な視点で医療活動を積極的に実践している。



RELATED関連記事

Galleryこの記事の画像/動画一覧

水虫